インデックス投資の落とし穴
資産運用の手段として、インデックスファンドなど投資信託の積み立ては、あまり信頼できないと改めて感じました。というのも、長年コツコツ積み上げてきた利益も、今回のような暴落が起きれば一瞬で吹き飛ばされるからです。今からちょうど8年前に「インデックス投資だけでは勝てないと私は断言する」というコラムを書いているので、あわせてご覧ください。むろん積み立てのメリットは、「相場が高いときには少しだけしか買わず、相場が安いときには多く買える」ため、平均取得単価を下げる効果がある点です。そして相場が回復したときには、暴落時に買ったものは、確実に利が乗ることになります。だから、まだまだ現役時代が長い人にとっては、資産が増える期待はあります。
しかし老後を迎え、お金が必要となり、投信を解約・現金化しなければならないタイミングが、今回のような暴落相場だったら? お金が増えているどころか、減っているかもしれません。すると、お金を引き出せずガマンするか、損を覚悟でなくなく解約することになります。自分の老後はどんな相場になっているかは誰にもわかりません(ただし米国株は今後も上昇期待はあると考えています)。
コロナショックで大荒れの状況が続く金融相場
相場に影響されず、資産運用するには?
だから私は自分の運用は、不動産・太陽光・節税商品(idecoなど)を中心にしており、個別株は「高配当銘柄」「株主優待銘柄」をメインにガチホ(ガチンコホールディング:相場に関係なく長期保有)し、貸株対象の銘柄は貸株に出してプラスの手数料が得られるようにしています。たとえば不動産は、どんなに不況になっても自然災害が来ても、住まいが不要という人はいないからです。太陽光発電も、固定価格契約なので相場の動きとは無縁です。とはいえ、万が一富士山が噴火するようなことがあれば、火山灰が空を覆って発電しないということが起こるかもしれませんが……。
節税商品もしかりで、支払う税金が減ればより多くのお金を残すことができ、これも本人の能力には関係なくメリットを受けられます。
また特に、インデックス積み立てをよいとする人によく見られますが、「低コストのインデックスでコツコツ積立投資する」ことが「目的」になっており、利益確定という発想がない人が少なくありません。
含み益では、ガム一つも買うことはできません。含み益は砂上の楼閣に過ぎず、利益確定しなければ本当にお金が増えたことにはならないのです。だから私も、金融商品ではFXと仮想通貨のトレードをしていますが、利が乗れば確実に利確することを心掛けています。
今から積み立てを始めるのはアリかも
私は積立投資にはネガティブな立場ですが、いまから始めるのはよいように感じます。アメリカも欧州もまだ感染者数がピークアウトしていないため、さらなる下落余地は十分あります。しかし、いずれは感染者数は減り、パンデミックの終息宣言が出る日が来るでしょう。すると、自粛ストレスからの解放で一気に経済が動き出し、恐怖におびえていた投資家もリスクオンムードとなり、相場が急上昇する可能性があります。
個別株やFXであれば、トレンド転換を確認してから出動するのが定石ですが、毎月1回の積み立てでは出遅れてしまいかねません。ならばいまから積み立てを始め、回復した時に利益確定するというシナリオは十分検討に値すると思います。
実際、J-REIT(不動産投資信託)は大幅下落で分配金利回りが上昇し、魅力が高まっています。もちろんこの状況ですから、ホテル系や商業施設系は大きなダメージで、今後分配金が減る可能性はあると思います。東京五輪が中止や延期ともなれば(そうならないことを祈っていますが)、その影響は長期にわたる可能性はあります。
しかし破綻しない限り、いずれは下げ止まる日が来ます。オフィス系リートは今回の騒動で「リモートワークをやってみたら意外にいけるじゃん。大きなオフィスいらないのでは……」と気づく企業があったとしても、それが大きな趨勢になるとも思えません。
自粛ムードとはいえ物流は一部地域を除き止まっていない(欧州でも物流は止めない国が多い)ので、物流施設系リートも底堅いと思います。また、不景気になれば給料も減るから高い家賃を払えないと引っ越す人はいたとしても、前述の通り住まいが不要な人はいませんから、住居系も手堅いでしょう。
というわけで私は今回、定期預金1本だった確定拠出年金の一部をスイッチング(預け替え)し、毎月の積み立ての一部もETF系に変更しました。ほかにも運輸・交通銘柄、日経225、NYダウ、原油、金など大幅下落している銘柄がありますが、これらはまだ底が見えません。
そのため、いつ出動するかタイミングを狙っているところです。2008年のリーマンショックのときと同じく、暴落時は仕込みのチャンスですからね。
【関連記事をチェック!】