お金の悩みを解決!マネープランクリニック/40代独身の人のお金の悩み

43歳一人暮らし。中古マンションを超割高の2700万円で購入し、後悔しています(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、割高なマンションを買ってしまったという43歳の一人暮らしの男性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 現時点で住宅ローンを一括繰り上げ返済しても大丈夫

マンション購入については、事前に確認できればよかったと思いますが、買ってしまったものは仕方ありません。今、売却してもローンが残るようであれば、現状を受け入れて、快適に暮らせることを一番に考えたほうがいいでしょう。文面を拝見すると、マンション購入、住宅ローンでストレスを抱えているように思います。そこで、最初のアドバイスとしては、思い切って、住宅ローンを一括繰り上げ返済し、すっきりされることをおすすめします。
 
Kさんの現在の金融資産は3750万円です。住宅ローンの残りが2500万円。現段階で一括繰り上げ返済しても、1250万円残ります。住宅ローンがなくなれば、支出を大幅に減らすことができ、このあと定年退職まで17年ありますから、相当な金額を貯めていくことができます。
 
現在の収支でも毎月貯蓄ができていますから、このままでも経済的に困ることはないでしょう。しかしながら、いつまでも、くよくよ悩むよりも、早めに清算して、前向きに日々の生活を楽しまれるほうが、精神衛生上も、金銭的にも健全ではないでしょうか。
 
一括繰り上げ返済が難しいようなら、投資信託を段階的に解約し、500万円単位で繰り上げ返済するなど、いずれにしても、早期に完済してしまうほうがいいでしょう。住宅ローン控除が受けられなくなりますが、減税の恩恵にこだわるよりは、できるだけ早く、前を向いてほしいと思います。
 

アドバイス2 住宅ローンがなくなれば年間186万円貯蓄可能。早期退職も可

仮に、現段階で、一括繰り上げ返済をするとして、その後の家計、貯蓄がどうなるか試算してみましょう。
 
住宅ローンの毎月返済額が不明ですが、おそらく家賃並みということでローンを組まれたと推測でき、修繕積立金と管理費で3万円程度とすると、住宅ローン分が削減され、現状の家計でも毎月の支出は13万円に抑えられます。さらに、住宅ローンと関係ない部分で、通信費は一人にしてはやや高く、▲5000円はできるでしょう。また保険については、医療保険も介護保険も割り切れれば解約でいいでしょう。何かあっても貯蓄でカバーできるからです。解約すれば▲1万4000円。つまり家計を少し見直せば、さらに2万円程度の削減も可能となります。
 
そうなると、毎月の支出は11万円。収支差は14万5000円となります。これをまるまる貯蓄に回すことができますが、Kさんの場合、一番心配なのは食生活です。余裕がないわけではありませんし、何よりも栄養の偏りが心配です。食費はプラス1万5000円とし、食生活の改善を図ってください。都合、収支差は13万円です。すべて貯蓄できれば、年間で156万円貯めることができます。
 
ボーナスについては、固定資産税が10万円、予備費として10万円。残り30万円は貯蓄でき、毎月の貯蓄分と合わせれば、年間186万円ということになります。
 
定年退職の60歳までの17年間で3162万円。繰り上げ返済後の貯蓄1250万円を加えると、4412万円。これに退職金の540万円が加算され4952万円。60歳時点での金融資産は約5000万円となります。
 
55歳で早期退職なさるとすると、55歳までにできる貯蓄額は3482万円。これに退職金の360万円を加えて3842万円となります。55歳以降、公的年金受給までの10年間は、貯蓄からの取り崩しになりますが、毎月の支出11万円、年間で132万円なので、10年で1320万円。それでも65歳時点での金融資産として、約2500万円は残る計算になります。
 
公的年金は月額10万円の見込みで、それに加えて複数の個人年金がありますので、65歳以降、貯蓄を取り崩すことなく、生活していくことも可能ではないでしょうか。
 

アドバイス3 健康でいることが、何よりも大事。食生活の改善も必要

今は、マンションのことであれこれ悩まれてしまうのは、わかりますが、こうして一つひとつ確認していくと、Kさんが将来にわたって経済的に困ることはないと言えます。
 
マンションについては、設備などの買い換え費用やリフォームなどの費用は見込んでおくといいでしょう。また、築年数が経っていますので、今後、大規模修繕などもあるでしょう。管理組合の積立金で賄えればいいですが、所有者負担が発生する可能性もあります。マンション全体の管理・修繕計画については、確認されておくといいでしょう。
 
また、55歳での早期退職も可能で、その後も経済的に困ることはありませんが、社会とのつながりを持ち続けるために、アルバイトなどはなさったほうがいいでしょう。
 
Kさんの場合は、健康であることが一番です。食費をあえて増額して試算しても、老後資金で困ることはありません。健康を害してしまえば、医療費負担だけではなく、収入も減ってしまうかもしれません。安心して生活が送れるよう、どうぞ、健康にだけは、気を付けてください。
 

相談者「K」さんから寄せられた感想

アドバイスを拝読し、少し安心できました。食生活については、確かに改善しなければならないと感じています。住宅ローンの一括繰り上げ返済は、手持ちの資産を大きく取り崩すことになるため、考えていませんでしたが、具体的な金額の試算までして下さり、前向きに検討してみようと思いました。まだまだリタイアまでは長く、何が起こるか分かりませんが、現状の収入を維持して長く働けるよう、先ずは健康には気を付けたいと思います。ありがとうございました。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など




取材・文/伊藤加奈子

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