お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

41歳貯金1500万円。娘が中学受験をすることになりましたが、お金について不安で眠れません(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、娘さんが中学受験することになり、教育費と老後資金が賄えるか不安でたまらない、と悩む41歳の会社員女性です。塾代やリアルな今後の教育費の負担が見えてくると不安で眠れない、といいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 心配しすぎ。家計に無駄はないので、家計の棚卸しを

結論から言えば、心配しすぎです。家計を拝見すると、無駄な出費がありませんし、住宅ローンは繰り上げ返済や借り換えなど、きちんとメンテナンスをされています。車も1台処分するなど、地に足がついた生活をされていることが窺えます。さらに、住宅ローンの返済をしながら、現在の金融資産が1560万円あり、ここまで堅実にやってこられたのでしょう。大丈夫です。このままのスタイルでいけば、何の心配もいりません。
 
ただし、お金の出どころが重複しているものがあります。保険に関しては、一度見直しをし、家計を再度整理してみてください。
 
年払いの保険料はボーナスから支出されており、毎月の支出としても月換算で計上されていますが、これは重複していますね。毎月の保険料はガン保険の4950円のみとなるはずです。それによって、毎月の貯蓄額が16万円としながらも、内訳を見ると、学校費用の引き落とし用、年払い保険料用も入っており、これは実質すぐに出ていくお金です。
 
確実に貯蓄としてできているのは、財形貯蓄と積立定期の4万円ということになってしまいます。財形貯蓄も、基本的には、給与天引きですから、手取り収入からの貯蓄ではありません。
 
しかしながら、家計データの収支差は支出を30万円としても14万円のプラス。さらに、月換算で計上していた保険料分2万8000円を加えれば、16万8000円が余剰金となります。
 
結果的には、毎月16万円貯蓄できているのは、そのとおりかもしれませんね。Tさんが不安に思われるのは、出ていくお金ばかりに気をとられているからではないでしょうか? 今一度、お金の出どころを明確にし、将来に向けての毎月の貯蓄額とボーナスからの貯蓄額を把握すれば、不安は一気に解消すると思いますよ。
 

アドバイス2 貯蓄が継続できれば、教育費も車の買い換えも、旅行もOK

毎月の貯蓄額15万円(学校費用の引き落とし分を除く)は、教育費や老後資金など、将来に向けての貯蓄としてください。銀行口座などを使い分けるなど、分かりやすい管理の仕方がいいかもしれませんね。
 
ボーナスからの貯蓄については、年払いでかかる支出を差し引くと、残りは39万円程度となります。ただ、保険を見直すことで、10万円近く、貯蓄を増やすことが可能です。
 
現在加入の保険のうち、変額保険については、夫婦ともに払い済みでいいでしょう。住宅ローンが、あと2年でローンは完済しますので、万一のことがあっても、住居についての心配はいりません。Tさんご自身の収入もありますし、夫婦どちらかに万一のことがあっても、収入保障保険のみで保障は十分だと思われます。金融資産もありますので、Tさんの場合は、過剰に保険に頼る必要はありません。
 
以上のように、家計を整理していくと、毎月15万円、ボーナスからは46万円(ボーナスから100万円は使うお金)の貯蓄が可能で、年間226万円、ご主人が60歳になるまでの16年間で、約3600万円貯めることができます。現在の金融資産1560万円、学資保険と養老保険の満期金370万円を加えると、5530万円が60歳までに貯められるお金ということになります。
 
ここから、子どもの教育費、車の買い換えなどの支出がありますが、教育費については、仮に年間120万円、今後12年間で1440万円、約1500万円かかったとしても、4000万円ほど残ります。車を10年ごとに250万円の予算で3回買い換えがあるとして、750万円。十分対応可能です。さらに、2年後には住宅ローンの返済が終わりますので、その分も貯蓄に回すとすれば、1000万円上積みできます。
 
順調に行けば、60歳時点で残る金融資産は、4000万~4200万円となります。余程、突発的な多額の出費がない限り、心配することはないでしょう。旅行もこれまでどおり大丈夫ですし、Tさんが60歳でリタイアしても大丈夫です。
 

アドバイス3 60歳以降にかかる生活費のコストダウンだけは意識して

老後資金については、4000万円に退職金が加わります。65歳の公的年金受給までの5年間をどう過ごすかで、金融資産の目減りの仕方は変わってきます。
 
60歳以降の収入は、現状より少なくなりますが、支出は今よりかなり削減できます。少なくとも、住居費、教育費、保険料の支払いはありませんので、毎月の支出は14万円程度になるのではないでしょうか?
 
ご夫婦で65歳まで何らかの形で働き、収入を得られれば、65歳まで収支プラスマイナスゼロで過ごすことも可能でしょう。仮に、Tさんが60歳でリタイアし、生活費の不足分が7万円ぐらいあっても、貯蓄からの取り崩しは、5年で420万円です。65歳からは、公的年金が2人で月額20万円あり、Tさんの確定拠出型年金もあります。生活費のコストダウンを意識すれば、心配する必要はありません。払い済みにした米ドル建ての終身保険もありますから、解約すれば、それなりの資金にもなるでしょう。
 
この先、優先すべきは、お子さんの教育費ですが、現状の家計を維持でき、貯蓄することができれば、何も不安に思うことはありません。今後、もしも家計に変化が起きたときは、家計の棚卸しを忘れずにしてください。お金の流れが整理できれば、Tさんのしっかり家計であれば、問題もクリアしていけると思います。安心して、お子さんの受験と仕事を前向きに頑張ってください。
 

相談者「Tさん」より寄せられた感想

深野先生からアドバイスを頂けて感激です! 今まで私が堅実にやってきたとのお言葉、今後も心配ないとのこと、本当に嬉しく安心して涙が出そうになりました…。最初勧めておきながら娘を心底応援できず、お金の心配と自分の負担ばかり気にする自分が母親としてたまらなく情けなかったのですが、このアドバイスを励みに受験も仕事も前向きに頑張れそうです! 支出の矛盾などご指摘の内容も言われてみれば全くその通りで、専門家へ相談する大切さを痛感しました。手取りからの貯蓄の考え方が以前から分からなかったのですが、今回整理できました。結論としてご指導いただいた金額の貯蓄を継続する、老後の生活サイズに注意する、この2点を守れば大丈夫というコメントも非常に分かりやすかったです! 本当に心が軽くなりました! ありがとうございました!
 
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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