お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

40代子どもは2人、貯金は500万円。共働き時代に高めの住宅ローンを組んでしまいました(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、共働きだった時に高い住宅ローンを組んでしまい、これから子どもにお金がかかるので不安だという40代の主婦の方からの相談です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 毎月の貯蓄とボーナスからの貯蓄を先取りで確保する

M子さんがパートで収入を得られるようになったのは、今後の家計を考えると、とてもよかったと思います。パート収入が安定していないようですが、ここから貯蓄プランをしっかり立てていってください。
 
現在、収入が46万円としても収支差が8万7000円あります。毎月4万~7万円の貯蓄ということ。確かに、毎月、なにかしら予定外の出費はありますが、そうした予備費も家計に予算組みし、残りの費目で調整することが大事です。
 
そのためには、毎月の貯蓄額を決めてしまい、収入から先取りして、確実に貯蓄してしまうことです。ボーナスも同じで、残ったら貯蓄ではなく、あらかじめ出費が想定できる税金や保険料などを除き、いくらなら貯蓄できるかを決めてしまい、残ったお金で、家電の買い替えや旅行・帰省費用に充てるようにすれば、使いすぎることはありません。
 

アドバイス2 教育費と車の買い替えで60歳時点の貯蓄はなくなる可能性も

現在の収支で今後、子どもの教育費や車の買い替え、老後資金がどうなるのか、試算してみましょう。あまり余裕は、ありませんよ。 
 
毎月の貯蓄は8万円。ボーナスからは30万円。これで年間126万円の貯蓄です。ご主人が60歳になるまでの13年間で貯められるのは、1638万円です。これに現在の貯蓄500万円、お子さんの学資保険の260万円を加えて、2398万円。約2400万円です。
 
この間、お子さん2人の教育費として、全て国公立とすれば1100万~1200万円かかります。さらに、車の買い替えが2回あるとして、現金で200万円×2回で400万円の出費もあります。そうなると、60歳時点での残りは、最大で900万円程度ということになります。
 
お子さんの進路は大学まで国公立とのことですが、もし大学が私立となると、さらに400万円程度教育費が増え、残りは500万円程度、突発的な支出が増えるなど想定外が起これば、60歳時点の貯蓄はゼロ、ということもありえないことではありません。退職金はあてにしないと書かれていますが、老後資金としては、退職金が生命線になるといえます。
 
さらに、一戸建てなので、住宅の修繕費もかかってくるようになります。住宅ローンの残りは、60歳時点でも1300万~1400万円程度あるのでは? 退職金が2000万円だとしても、住宅ローンを一括繰り上げ返済してしまうと、老後資金は700万円程度しか残らないことになります。
 

アドバイス3 収入アップと家計の見直しで現役の今、貯蓄の上積みを

60歳以降もご夫婦で働き、65歳からは年金が月額13万円ほど。その収入の範囲で生活をし、生活費の不足分を貯蓄から取り崩しをしない、ということであればいいのですが、そこまで生活をダウンサイジングできるのか、老後資金が700万円程度で大丈夫か、ということも、ご夫婦で話し合ってみてください。
 
まだ遠い先のように思えるかもしれませんが、60歳以降は貯蓄ができなくなりますから、今できることをやっておくほかありません。
 
最初の話に戻りますが、M子さんは、さらに収入アップを目指してほしいと思います。あと3年すれば、上のお子さんは中学生です。パート勤務からフルタイム勤務にシフトできれば、その分、貯蓄を増やすことができます。さらに、フルタイム勤務であれば、厚生年金への加入など社会保障が充実します。これは老後の公的年金の受け取り額にも影響があります。
 
もうひとつは、やはり現状の家計支出をもう一段、絞ることです。毎月8万円貯蓄するとしても38万円は支出に使えます。各費目の予算配分をもう一度検討してみてください。趣味娯楽費、家族の小遣い、車は買い替えの際にはローンは組まず、その時点で現金で買える範囲とするなど、出ていくお金をシビアに見直すことです。

もし収入アップと家計の見直しで毎月5万円を貯蓄増できれば、10年で600万円貯まり、老後資金に上乗せすることができます。お子さんの手がかからなくなったときから、ご主人の定年退職までに、どれだけ貯蓄を上乗せできるかによって、老後の生活は変わります。
 
家計を絞る一方で、心配なのは保険です。ご主人の親御さんが払っている共済や、会社で加入している保険の中身次第ですが、データに書かれている保険では保障が不足しています。ただ、共済や会社の保険の保障内容によっては、逆に、今、加入している保険は重複しているかもしれません。重複していれば、解約して、保険料は貯蓄に回せます。保障の中身については、再度確認してみてください。
 
最後に、年金についてですが、毎月の貯蓄のうち、いくらかはM子さん名義でiDeCo(個人型確定拠出年金)にしてもいいでしょう。全世界株式型やMSCI(国際株式インデックス)を指標とする投資信託を選べばいいと思います。ご主人の会社で企業型を導入していれば、すでに加入されていることになります。勤務先で導入されていなければ、M子さんと同様、個人型に加入となります。勤務先に確認されてみてください。
 
お子さんとのお出かけで、楽しい思い出を積み重ねることは、とても大事なことです。でもお金をかけずともできることはあります。遠出の旅行であれば、予算を立て、貯蓄プランに影響のない範囲で行くなど、ご主人と工夫しながら、やってみてください。何を優先するかは、ご夫婦でしか決められないことです。
 

相談者「M子」さんから寄せられた感想

この度はアドバイスをくださり、ありがとうございました。今までもやもやと感じていたことが、はっきり言葉になって改めて反省いたしました。「現状の家計支出をもう一段しぼる」「出て行くお金をシビアに見直す」など先生のお言葉ひとつひとつが刺さりました。家計簿もさぼりがちで、なんとかなると甘えていましたが心を入れ替えて、主人と話し合いもし、自分ももっと収入を増やせるよう、がんばります! お忙しい中、貴重な機会をありがとうございました。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子



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