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とはいえ、節約経験が浅い人からすると、「節約が大事なのは分かるけど、何から手をつけりゃよいのさ……」と、疑問を抱くようです。そこで今回は、節約に先立って済ませたい事前準備、「予算の立て方」についてお話しします。
まずは予算を立てることから
お金持ちは「予算」を考える
たとえば僕の場合は、首都圏に夫婦2人で暮らす平均的な家庭です。1カ月あたりの予算は25万円ほどと、平均的です(1)。年間の支出額としては、300万円あれば十分でしょうか。生活費の内訳としては、家賃が月11万円、食費が月6万円、光熱費が1万5000円、通信費が2万5000円、消耗品費が2万5000円~4万円くらいです。
都市部に住んでいるので家賃が高いこと。2人暮らしとはいえ、ささやかながら贅沢な暮らしをしていること。これらの点を踏まえると、これくらいが相場だと思います。
住宅費、食費、保険料など、主要な支出を知らないと、予算を立てることは不可能です。「今月の生活費は3万円に抑えるぞ~!」なんて意気込んでも、現状に即していなければ意味がありません。
つまり、予算を立てるには、現状の支出状況を詳しく知る必要があります。当然、予算は楽観的過ぎてはいけません。現実的な予算を知るには、目をそむけたくなるような現実(=大きな支出)にも目を向ける必要があります。
億万長者研究で有名なトマス・スタンリー氏の調査(2)によると、「お金持ちは予算を立ててからお金を使う」ことが確認されました。逆に、お金持ちでない人は予算を立てず、自分が何にお金を使っているのか、実態を知らずに過ごす人が多いのだとか。
好き嫌いに関わらず、お金に好かれる人はお金の現実を直視し、管理しているということでしょう。
予算を立てるのは難しい?
たまに、「予期せぬ支出が出てくるのだから、予算を立てても仕方がない」と言い訳をする人がいます。ですが、こういう言い訳をする人はたいてい、予算を立てる目的を捉え違えています。予算を立てる際、予定外の支出を無理やり予測する必要はありません。予測よりも大事なのは、「予定外のことに備えて、できる限り家計の余裕を大きく作っておく」ことでしょう。
過去2~3年の支出をもとに月々の支出を調べ、目先2~3年に予測可能なイベントを洗い出しておくだけでも十分でしょう。
たとえば僕らは、地震に備えて自分の家の立地や避難経路を確保します。ですが、「いつ地震が来るか?」は予測しません。予算を立てるのも同じで、目的は「未来の予測」ではなく「現状を正しく理解し、将来に備えること」です。
それに、「予算を立てたら変更してはいけない」というルールはありません。人生は移り変わるものなので、ベストな予算編成は状況に応じて変わります。
それでも予算が大事なのは、「今この瞬間に、ベストだと思うお金の使い道や、必要額はいくらなのか?」を理解し、準備しておくべきだからです。
現状を知ることで、改善点がわかる!
予算を立てられるようになると、自分の支出の癖も見えてきます。そして、現状を知ることで改善点が見えてきます。たとえば僕の場合は、都市部に住んでいるため家賃が高め。通信費も格安SIMなどを使えば削れそうな金額です。
家計を改善する際は、「都市部に住む必要があるか?」「格安SIMに乗り換えるならいつがよいか?」といった点を検討するのがよいでしょう。
一方、我が家は保険の契約をしておらず、支出がほぼありません。また、自動車も持たないので維持費はゼロです。これらは、他の家庭と比べると、かなり上手にやりくりできていると思います。
自分の支出の癖が分かれば、あとは好みに合わせて直すだけです。「直す必要がない」と判断したなら、現状維持でもよいでしょう。
ざっくりでOK! まずは通帳を開いてみよう
家計管理というと、「全ての出費を家計簿に書かなきゃ!」と意気込む方が多いのですが、いきなり全てを管理するのはハードルが高いです。だから、まずは「大まかな支出をつかむ」ところから始めましょう。コツは、「ざっくりと調べ、分かる範囲で穴埋めしていくこと」です。隅から隅まで支出を管理するのは難しいので、「分かる範囲で」進めていくのが大事です。
具体的には、
1. ここ1年間の収入額を調べる
例:500万円
↓
2. 1年前から今までの貯金額の「変化」を調べる
例:100万円→150万円(+50万円)
↓
(貯金額の変化は「収入」-「支出」で決まるので)
3. 「1と2」をもとに1年間の支出額を調べる
例:収入500万円のうち貯金は50万円→支出は450万円
↓
4. 支出額のうち、すぐに分かる費用(固定費など)で内訳を埋めていく
という流れが便利でオススメです。
大事なのは「全てのお金の動きを管理すること」ではなく、「大まかにでも家計を理解し、改善すべきポイントを見つけること」です。どんぶり勘定でも、大まかな方向性さえ分かれば十分です。そのうえで、概ね妥当な予算を立ててみましょう。
節約の第一歩は「予算決め」です。かなり地味ですが、のちのちボディブローのように効いてきます。節約の仕方が分からない方は、まずは、大まかな支出から調べてみてはいかがでしょうか。
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【参考文献】
- 調査:ゼクシィ新生活準備調査2016
- 書籍:トマス・J・スタンリー, ウィリアム・D・ダンコ, 2013, 『となりの億万長者 成功を生む7つの法則(早川書房)』