「脂肪燃焼効果がある食べ物」は栄養学的には存在しない!
食べるだけで体の脂肪を燃焼する? そんな食品は実在するのでしょうか
学術的な専門用語にはないため推測になりますが、通常、「脂肪燃焼」という概念が出てくるのは運動です。運動することでエネルギーを使い、そのエネルギー源は糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質のいずれかになります。そのため、脂肪がエネルギー源となっている場合は、「運動によって脂肪燃焼できる」という言い方はできるかもしれません。ですので、「食べて脂肪を燃やしたい!」と考えているダイエット中の方は、少し遠回りに感じられるかもしれませんが、「脂肪を燃焼させることができる筋肉を発達させる栄養素」を多く含む食材を意識的に摂ることが、長期的に見てより確実な脂肪燃焼効果につながると考えてよいかと思います。
脂肪を燃焼させる筋肉を発達させる栄養素……タンパク質とビタミンD
筋肉を発達させる栄養素は「タンパク質」です。スポーツ選手の場合、筋肉をつけるために摂る栄養素としては、タンパク質、特にアミノ酸の「ロイシン」と、ビタミンDを意識的に摂取しています。これらの栄養素を摂取した上で運動を行うと、筋力アップに効果的だと考えられているので、アスリート以外の人たちもタンパク質(アミノ酸の「ロイシン」)とビタミンDを意識してみるとよいかもしれません。さらに健康的に運動することを考えると、骨を丈夫にするカルシウム(+ビタミンD)も有効でしょう。
ただし、さらに厳密なお話をしてしまうと、タンパク質やビタミンDだけで筋肉が発達するわけでもありません。実際には筋肉もさまざまな栄養素が絡み合ってできているので、「栄養のバランスを考えた食事」を摂ることが、実は最も「脂肪燃焼効果がある」食事だということもできます。そのことを踏まえた上で、タンパク質とビタミンDを意識した食品例を挙げてみましょう。
脂肪を燃焼させる食品は? ロイシンやビタミンDを多く含む食品例
■タンパク質(ロイシン)を多く含む食品肉、魚、卵、湯葉など。肉は脂身の少ないものの方がよいでしょう。
■ビタミンDを多く含む食品
いわし(みりん干し、丸干)、しらす(半乾燥品)、さば(開き干し)、乾燥しいたけ(天日干し)など、日光浴をして乾燥させた食品に多く含まれています。
脂肪燃焼の近道は「健康的な食生活」と「こまめな運動」を続けること
栄養学に基づいた知識でも、その解釈や使い方は異なる部分があるかもしれません。私が考える「脂肪燃焼」は、冒頭に述べた通り、運動によってもたらされるものです。運動というと身構えてしまう方は少なくないと思いますが、一般の方にとっての運動は、スポーツウエアを着てしっかり活動することだけではありません。通勤途中の駅の乗り換えや、仕事中の書類を受け渡しに行くための移動なども軽い運動に含まれます。こういった日常活動の動きは毎日のことですから、大した運動にならないと侮ってはいけません。健康的な食生活で、なるべくこまめに動いてしっかり筋肉をつけることが、楽しく長続きするダイエットになるのではないかと思います。一般的によく紹介されている「脂肪燃焼する食事」や「脂肪燃焼スープ」ですが、実際には脂肪燃焼して健康的にやせるというよりも、やつれるイメージに近いものも多く含まれていると感じます。とはいえ、温かいスープを飲めば身体が温まり、運動時にケガをしづらくなるといったメリットはあります。健康的なスープをダイエットに活用したいのであれば、食材のはたらきで脂肪燃焼を期待するのではなく、冬の運動前に身体を温めるために飲んで、しっかり運動するのが一番でしょう。