家計管理がうまくできない人は、キャッシュレスはオススメできない?
10月から、消費税が上がりました。「キャッシュレスでポイント還元! お得になります!」と現金よりも「キャッシュレス」を進める大宣伝がされています。やりくり上級者で、計画通りに貯蓄ができる人でない限り、このキャッシュレス化は、かえって家計の支出が増える原因になるのではないかと心配しています。
クレジットカードを上手く使えるのはやりくり上手な人
家計管理がうまくできない人は、キャッシュレスでの買い物をすることで、「お得さ」に引きずられて、必要以上に買ってしまう危険性は大いにあります。もちろん、増税になっても購買意欲を衰えさせないための施策なので、買わせる側もなかなか魅力的な誘い文句で、お買い物をさせていこうとしています。
消費税が8%の段階でも「貯まらない」系のご相談者の傾向として、日常の買い物を「クレジットを使うことで、ポイントを貯めている」ことが家計の足しになる、と誤解している人は多いですから。
これが「●●ペイで支払うと、還元率は●●%!」と大宣伝されれば、自分もやってみれば、お得になるのではないかと心は動きます。
実際、10月以降のご相談者の中には、「SNSでお友達が『キャッシュバックされた』『ポイントが1000円当たった』と発信しているので、自分もやり始めたが、還元されたラッキーなお金はすぐにお菓子などを買ってしまうので、家計的には、お得になったかがわからない」という方もいらっしゃいます。
デビットカードとの連携で、その場で、銀行口座から引かれる仕組みであれ何であれ、やりくりの初級者にとっては、家計の全体を把握しづらいという点で、管理がやりにくくなっているのが、相談を受けていて、よくわかります。
私は、以前から相談にいらした「お金を貯めるのが苦手な人」「やりくりが下手な人」には、クレジットカードを使うのをしばらくの間、やめてもらっています。
やりくりの基礎ができていない中で、クレジットカードを使うということは、「今、ここにないお金」を先取りして使ってしまうことになり、家計の把握ができなくなるからです。
キャッシュレス化が今後若い世代に浸透していくのは止められないかもしれませんが、クレジット破たんのようなことにつながらなければよいと願うばかりです。
そのためにも、若いうちからお金をコントロールする力を身につけて、将来のやりたいことのために貯蓄をし、今のささやかな幸せのために、お金を使えるようにしてほしいと思います。
具体的には、収入の範囲の中で、予算を立て、予算を守るという生活を身につけていくことで、それが可能になります。
シンプルですが、「予算を立てる」作業は簡単ではありません。しっくりくるまでには、数カ月は、試行錯誤するかもしれません(そこから先は、楽になりますけれどもね)。
何故ならば、予算を配分する作業は、自分の1カ月の暮らし方を宣言するものであり、「何に、どのくらいお金を使いたいのか」を考える作業だからです。自分の中の優先順位に従えばよいのですが、ふだん、自分お金と向き合っていない人は、自分の中の優先順位が定まるまで、少し時間はかかるでしょう。
「子どもがいるから」という理由で自分のやりたいことを後回しにする人生もあるでしょうし、「子どもがいても」自分のやりたいことを週に1時間でも作る人生もあります。
どちらかが良いとか悪いとかではないです。自分なりの優先順位がわかっていれば、お金の使い方に後悔はなくなります。
自分の幸せのためのにお金を使う、予算を立ててみよう
相談現場で、私の見る限り、お金を貯めるモチベーションが続くのは、わずかな額しか使えなくても、自分の幸せのためにお金を使うような予算を立てた場合です。この2つを考えることが大事です。
・自分がどこに向かって、何に向かって人生を進んでいるかがわかること。
・自分の「幸せ感」はどういうところで、どのようにしたら味わえるかがわかること。
ここを考えずに組んだ予算で生活をしていても、どこかで不満が爆発! 「チリも積もれば山となる」はずだった貯金も「チリは積もっても風で飛ぶ」ことになってしまいます。
貯蓄は、「使うために貯める」のです。
意味もなく貯めるのではないのです。
貯めたお金は「自分の幸せのために」使うのです。
それを忘れては、貯蓄は思うように貯まりません。では、実際に予算を立ててみましょう。あらら、「家計簿をつけていないから、いったいいくら使っているのか、わからない」という声が、どこからか聞こえてきますね(笑)。
実際のところ、家計簿をつけることが苦手な方は、実に多いですが、私の知る限り、単に家計簿をつけているだけでは、お金は貯まりません。「家計簿つける=お金が貯まる」ではないのです。逆に言えば、家計簿をつけていなくても、お金は貯まります。今までのお金の貯まらない家計簿による支出データが仮にあったとしても、貯まるための予算を立てることとはあまり関係ありません。
家計簿をつけていなくても予算は立てられますので、前に進みましょう。
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