家計簿は何のためにつけるのか

お金に関する講演の機会があるとよく、「家計簿の誤解」というネタを取り上げます。たとえば、「記帳するのが手間ひまかかって面倒」というのは、家計簿の誤解の最たるものでしょう。今ではスマホアプリを使ってカメラで撮影すれば、レシートを手入力する必要がありません。

また、オンラインバンキングやECサイト(楽天やAmazonなど)のアカウントを登録すると、利用履歴は自動で入力されるようになります。電子マネーの多くも対応済みなので、これまた自動入力されます(費目が入力されない場合があるが、金額と日時は自動入力される)。

実は家計簿はスマホアプリを活用すれば、「レシートをもらえなかった現金払い」だけを手入力すれば、記帳できるようになっているのです。

「ムダづかいを反省しなくちゃいけないので苦痛」という誤解もあります。記帳された家計簿データからはどんな費目に、どれくらいお金を使ったかが「見える化」されます。スマホアプリだと自動的に円グラフを描画してくれますし、数カ月続けると前月比まで紹介してくれるようになります。

これをみると自分の「悪いところ」が可視化されるため、家計簿が嫌という人もいるようです。しかし、過去の反省ばかりするのは意味がありません。それでお金が貯まるわけではないからです。家計簿の目的は未来を改善することなのですから、今月や来月をよりよくすることだけ考えればよいのです。
 

家計簿の目的は「ムダづかいを見極める」だけじゃない

それでは、家計簿の目的として「ムダづかいを見極めること」と考えるのはどうでしょうか。確かに家計簿をつけることで家計の出費項目とその金額が明らかになり、ムダづかいがあぶり出されます。家計の「見える化」です。
 
家計簿

家計簿の大事な役割は、ムダを削るだけ?


これにより、なかなか節約できていなかった家計の出費を減らすことが可能になり、また貯金をするための資金を捻出することが可能になります。これは間違いなく、家計簿の大事な役割のひとつです。

家計はもう絞る余地がありません、という人でも必ず家計にはムダづかいや節約の余地が潜んでいます。「使いすぎ」なお金を削ったり、「割高」な買い物を見直したり、がんばるほどにあなたの1カ月は「貯まる家計」に変わっていくことでしょう。

しかし、家計簿をそれだけのツールだと思っているのは、マネーハック的にはまだまだです。家計簿にはもっともっと大事な役割が秘められているからです。それはいったい何でしょうか。
 

家計簿は「安心を手に入れる手段」と考えてみよう

家計簿を削る金額を見つけるだけのツールとして考えることは間違いではないのですが、そればかり考えていると、家計簿は自分を悪く責める道具になってしまいます。

自分を責めることは楽しいことではありませんので、そのためにがんばるというのは面白くありません。それでは記帳が続かなくなります。むしろ発想は逆にしてみましょう。たとえば、「家計簿は安心を手に入れるツール」「家計簿は『使ってもいい金額』がスッキリするツール」と考えてみてはどうでしょうか。

家計簿をつけたことによって家計が「見える化」します。そして、見える化されたことにより、ムダがあぶり出されるだけでなく、「このくらいの予算を立てて使うことには問題がないこと」をはっきりさせることにもつながります。

「わが家の食費を今よりちょっと絞りたいけれど、月○○万円くらいは使ってもよいのだ」とか、「貯蓄を維持することも大事だが、年に1度の家族旅行の予算を○○万円確保し、出かけることはできる」というようなことをはっきりさせられることが、家計簿のもっと大事な役割なのです。

いつまでも、「もっと絞らなくちゃいけないんじゃないか」と、おびえながら食費を出すのは楽しいことではありません。しかし、「週末のまとめ買いは、10000円の予算で効率的にやるなら問題なし!」と分かっていれば、食材選びもメニューを考えるのもちょっと楽しくなってきます。

同じ旅行でも「こんなに使ったら大丈夫だろうか」と、ヒヤヒヤしながら出かけるのでは、存分に楽しむことはできません。それよりも「この予算は織り込み済みで、ボーナスから確保されているので問題なし!」とするほうが、何倍も楽しくなるはずです。

そう考えてみることで、私たちはむしろ家計簿から「安心」が手に入れられるようになります。家計簿もずっと楽しいツールになってくるのではないでしょうか。

家計簿を嫌がるのは、とてももったいないことです。ぜひ家計簿を楽しくラクラク記帳して、その結果を安心につなげてみてください。

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