映画

家族のために頑張ることを教えてくれる実話に基づくストーリー

在宅介護には「家族をサポートする」という固い決意が求められます。介護福祉士ガイドの小山朝子さんは、1本の映画に出会ったことでその決意を固めたそうです。家族のために頑張る人に見てほしい1本として、その映画をイチオシしてくれました。

小山 朝子

執筆者:小山 朝子

介護福祉士ガイド

rorenzyo

あきらめない心を持ち続けることの大切さを伝える名作
 

高齢者介護の専門家として仕事の依頼を受けるようになり20年近くの歳月が過ぎました。そもそも私がこの仕事に就いたのは、同居していた祖母の在宅介護を始めたことがきっかけです。クモ膜下出血を発症して自宅で倒れた祖母は、一命はとりとめたものの自力では起き上がれず、会話もままならず、生活のすべてに介助が必要でした。加えて体内には複数の管が入っており、医療的な処置も必要でした。

わが家が在宅介護を決めた当時は介護保険制度が始まる前。病院の医療相談室にいるMSW(メディカルソーシャルワーカー)や地域の保健師からは「このような重い状態の方を介護している家族はあまりいませんよ」と言われた記憶があります。

自宅で介護をすることが家族にとってどれだけハードなことか想像ができず、在宅介護をするという決断を下すまでにはしばらく時間がかかりました。最終的に決心した理由はいくつかありますが、なかでも映画『ロレンツォのオイル』は迷っていた私の背中を押してくれた1本です。この映画を観ていなかったら、介護ジャーナリストである現在の私は存在していなかったかもしれません。
   

実話をもとに夫婦の努力を描いたストーリー

ニック・ノルティ演ずる夫とスーザン・サランドン演じる妻の間に生まれたロレンツォは、副腎白質ジストロフィー(ALD)という遺伝性の難病であると告知されます。夫妻はロレンツォの改善を願い、治療を試みるも効果は出ませんでした。

もはや医師や学者に頼ることをあきらめた夫妻は独学で治療法を見つける決意をします。そのすさまじい努力が実り、息子がALDの診断を受けてから28ヶ月後、夫妻はALD治療薬を考案したのです。夫婦の努力の結晶、それがまさに映画のタイトルになった『ロレンツォのオイル』です。

奇跡のようなこのストーリーは実話に基づいています。5歳の時点で「あと2年」と余命宣告を受けていたロレンツォ少年は30歳まで生き、2008年、誤えん性肺炎で亡くなったそうです。
 

この映画を励みに約10年在宅介護を続けて

この映画のテーマは高齢者の介護ではありません。しかし、この映画に登場する夫妻の「医師や学者に頼らず自分たちでなんとかしよう」という気概は、この映画を観た当時の私自身の気持ちとピタリと重なったのです。

在宅介護を始める前、入院していた病院で院内感染や褥瘡(長時間同じ姿勢でいることにより皮膚に損傷を受けた状態)に見舞われ、祖母の状態は日に日に悪化しました。それを見て、「祖母の命を守るにはもはや在宅で看るしかない」と覚悟を決めたのでした。

在宅介護を決心した後もこの映画の夫妻の姿を思い出しては自分を励まし続け、約10年にわたる祖母の介護を続けることができました。家族のために必死で頑張っているアナタにぜひイチオシしたい1本です。
 
DATA
『ロレンツォのオイル』

監督:ジョージ・ミラー
出演:ニック・ノルティ、スーザン・サランドン
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