アドバイス1 「返せる額」を基準に物件の購入を検討しよう
住宅購入という夢実現に向けてまっしぐらに進んでいるという印象のねこさん。それ自体はとても良いことですが、背伸びをしすぎてしまわないかちょっと心配な面も見えます。まず、物件価格ですが、できれば4500万円までに収めたほうがいいでしょう。頭金1500万円と諸経費200万円を手持ちのお金から出して、住宅ローンは3000万円までに抑えるのがいいと思います。金融機関からは4000万円まで借りられると言われたそうですが、「借りられる額」と「返せる額」は違います。ローンを組む時には、無理なく「返せる額」を基準に考えることが大事です。
それからねこさんは返済期間を設定できる最長期間で考えているようですが、そうすると返済が終わるのが79歳ですよ。それはあまりにも無謀な計画です。かといってボーナス併用も現状から考えると厳しいので、ちょっと大変ですが毎月払いで25年返済でローンを組むことをお勧めします。
この条件で仮にねこさんのおっしゃるように金利0.75%でローンが組めたとすると、月々の返済額は10万7300円ぐらいになります。ただし、マンションを購入するならローンの他に管理費や修繕積立金がかかりますので、それを含めた住居費として14万円ぐらいと考えておいたほうがいいでしょう。
アドバイス2 ボーナスを中心に年100万円貯金を目指そう
この資金計画でいくと住居費は今の2倍になります。ほかの支出が変わらなければ毎月の支出は25万5000円です。収入が27万円ぐらいあるので、それでもなんとか1万5000円程度は貯蓄できる計算です。年間にすると18万円ですが、ボーナスでしっかりと貯蓄できれば、毎月の貯蓄とあわせて年100万円ぐらいの貯蓄をしてほしいですね。現在はボーナスのほとんどを貯蓄に回しているようなので、無理ではないと思います。そうすると60歳までに1400万円作ることができますから、住宅購入後に残ったお金とあわせて2700万円になります。60歳以降も仕事を続けられるようなら、そのまま継続するといいでしょう。ローンの返済が終わるまでは家計がちょっと厳しいですが、完済すれば住居費が一気に14万円から3万~4万円に減りますので、そこまで頑張ってほしいですね。あるいは、繰上返済を行い返済期間を短くするという方法も採れるはずです。一時的に貯金が減りますが、収支が早めに改善するので検討の余地はあるはずです。
アドバイス3 マイホームの購入は焦らず背伸びせず検討して
現在、不動産価格は高騰しています。とくにねこさんが希望している都内山手線沿線や内側は、場所によっても多少違いますが、過熱気味のところもあります。購入時期をずらせるようでしたら、焦らず少し慎重に検討したほうがいいかもしれません。今の住まいの更新時期にあわせて購入できれば無駄がなく一番いいのでしょうが、更新料のために数千万円のマンションを急いで買うことだけはやめましょう。といっても我慢に限界はあるでしょうから、たくさん物件を見て妥協をせず、でも決して背伸びしすぎないよう気を付けて良い住まいを探してください。また現在は、投資をたくさんしているようですが、住宅を購入するときは投資しているお金を優先して頭金に使うようにするといいでしょう。
今は投資環境が良いのでこのまま置いておきたいと思うかもしれませんが、今後転職したいと思ったときに現預金が少ないと不安です。投資しているお金は、必要な時にタイミングが悪いと損をしてしまうので、今のうちから少し現預金の割合を増やしておくようにしましょう。
相談者「ねこ」さんから寄せられた感想
この度は住宅購入資金はもちろん、老後資金まで具体的な金額を示していただき、この先厳しくもありますが、少し安心しました。焦らず背伸びをしすぎないこと、返せる額を基準に物件を探すこと、改めて自分に言い聞かせている次第です。大変貴重なご回答をいただいた深野先生、このような機会を設けていただいたマネープランクリニック様には深く感謝申し上げます。今後ともマネープランクリニックのファンとして引き続き愛読させていただきます。本当にありがとうございました。★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/堀内玲子
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