アドバイス1 死亡保障と医療保険は両方加入し、月5万円貯蓄を目標に
まず、Rさんが一番気になさっている保険についてですが、子ども1人につき死亡保障500万円、3人で1500万円は最低でも確保しましょう。シンプルに保険期間10年の定期保険でいいでしょう。併せて医療保険は入院日額5000円の保障を。生命保険と医療保険合わせても、保険料は月額8000円前後で収まります。ネット通販型の保険であれば、保険料はさらにおさえられるでしょう。一番下のお子さんは5歳ですから、保険については、できるだけ早く加入して、備えておくようにしてください。その上で、現在の家計収支では、毎月7万円貯蓄できるのですが、お子さんが成長するにしたがって、出費もかさんできます。新たに加入する保険料もありますので、毎月5万円を目標に貯蓄してください。児童扶養手当と児童手当は給料の口座とは別にするなど、できるだけ生活費とは切り離しておくことがポイントです。子どもにかかる学校関係費などは、そこから引き出すようにしておけば、手当を生活費にあててしまった、とひけ目を感じることもないでしょう。
毎月5万円。1年で60万円。すでに一番上のお子さんは中学生ですが、これから高校、大学と教育費がかかる時期が重なってきます。10年で600万円の貯蓄ですが、3人のお子さんの教育費としては、少し不足してしまうでしょう。それについては、次に解決策をご説明します。
アドバイス2 高校、大学は公的な教育費支援制度、給付型の奨学金を利用する
高校からは、「高等学校等就学支援金制度」が利用できるでしょう。これは高校の授業料を給付する制度です。来年2020年4月からは、私立高等学校の授業料も実質無償になります。さらに、授業料以外の学校費については、「高校生等奨学給付金」を受けられると思います。国公立で8万2700円、私立なら9万8500円。第2子以降は、それぞれ12万9700円、13万8000円と増額されます。ぜひ、こうした公的な制度を利用して、お子さんの進学先の選択を狭めないであげてください。大学についても、返済しないといけない貸与型ではなく、給付型の奨学金があります。これはお子さんたちの頑張り次第ですが、大学進学もあきらめないでほしいですね。そのためには、Rさんが、こうした公的な制度をしっかり調べて、利用できるものは、どんどん利用することです。
アドバイス3 今ある100万円は絶対減らしてはダメ。投資ではなく定期預金で死守
最後に投資についてですが、興味を持たれるのはいいことだと思います。でも今はダメです。せっかく貯まった100万円はお守りのようなものです。これは定期預金などに預けて、絶対に減らさないことです。少し金利のいいネット定期を利用するのもいいと思いますよ。普段使わない銀行であれば、つい引き出ししてしまうこともないでしょうから。もう少し貯蓄が増えてからでも、投資は遅くありません。今は、やるときではありませんよ。それと、やはり気になるのは、Rさんの収入。いろいろと条件があるようですが、転職して少しでも収入アップを目指してください。それと、ご両親に負担をかけたくない、ということですが、ご相談してみてもいいのではないですか? Rさんのお気持ちは大切なものですが、3人の孫のため、と思えば、ご両親も負担とは思われないのでは。ご両親に迷惑をかけたくない、ということであれば、将来、お返しするということでも。ご事情はわかりませんが、ここまで頑張ってきた、Rさんなんですから、もう少し肩の力を抜いてもいいのではありませんか。
頼れるものは、公的制度であれ、ご両親であれ、甘えてしまいましょう。まずは、月5万円を確実に貯蓄すること。これだけは、守ってくださいね。甘えた分の恩返しは将来、Rさんに余裕ができた段階からで充分でしょう。
相談者「R」さんから寄せられた感想
この度はわかりやすいアドバイスをいただきましてありがとうございました。内心ドキドキしていましたが、私の家計にきちんと向き合ってくださり、前向きなアドバイスを拝見し、ありがたくて涙が出ました。保険の入り方、貯蓄の仕方、進路、転職について、どうしたらいいのか、ただただ不安でいたところでしたが、いただいたアドバイスをもとにまた頑張っていこうと思いました。勇気を出して相談してよかったと思います。このような機会を与えていただき本当にありがとうございました。最後まで寄り添っていただき感謝申し上げます。ありがとうございました。★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
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