お金の悩みを解決!マネープランクリニック/50代以上の家庭のお金悩み相談

53歳パート。別居の夫は月30万円振り込んでくれますが、離婚して老後暮らしていけるか心配です(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、夫と10年以上別居していてお金は毎月振り込まれているが将来離婚する可能性があり、老後が不安という53歳のパート女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 あと10年、現状維持だとすると、80歳時点で資産ゼロに

離婚の可能性があるとのことですが、その時期が未定であり、文面を拝見すると、あと10年ぐらいはこの状態が続くものと仮定して、今後の家計、資産の推移を試算してみます。
 
あと10年、ご主人がちょうど60歳になるまでですから、現状の収入、生活が維持できるとします。また、お母さまの介護と、ご自身の健康不安もあるため、パートを辞めるとします。年間の貯蓄額は、ボーナスからの100万円と毎月5万円(現在は毎月10万円ということですが、パート収入がゼロになるため)とすると、年間で160万円貯蓄できます。10年後には、現在の資産の3500万円に1600万円を加えて、5100万円になっています。
 
10年後、あずささんが63歳の時点で、どのような生活になっているでしょうか。
 
毎月の支出のうち、離婚後は夫の分の支払いはなくなるため、現在から少し減って、毎月25万円とすると、年間で300万円の支出です。収入はゼロですから、63歳から毎年300万円を資産から取り崩していくことになります。5100万円の資産は、17年、あずささんが80歳の時点で、ゼロになってしまいます。公的年金額が不明ということですが、仮に月7万円程度の年金が受給できるとしても、5100万円の資産は84歳の時点でゼロになります。
 
もしも、10年経たずして、離婚することになれば、資産を貯める期間が短くなりますから、上記の試算より厳しい事態になると思われます。
 

アドバイス2 生活のコンパクト化を今から実行し、資産をできるだけ残す

80歳時点で資産ゼロになる、ということに、驚かれたことでしょう。でも、これからの、あずささんの気持ち一つで、資産を増やし、老後生活の不安をなくすことはできます。
 
まず、今すぐにでもとりかかって欲しいのは、生活のコンパクト化です。厳しい言い方になりますが、実質一人暮らしの生活にしては、お金をかけすぎています。
 
保険については、夫分も含まれているようなので、夫からの収入があるうちは保険料を払うのは、仕方ないでしょう。ただ、ご自身の保険については、医療保険のみ残して、あとは解約しても問題ありません。医療保険も、入院日額1万円から5000円に減額。これだけで2万円近く削減できます。食費は外食も含まれているのでしょうか。趣味娯楽費は、毎月の家計に残りがあれば、さらに遊興費に使うとのこと。
 
車についても、離婚前に買い換えの場合は、夫負担でということですが、その後の保有コストは、車両価格に比例します。高額の車は本当に必要でしょうか?
 
いつ離婚になるかわからないということであれば、それまでに、夫の収入から、できるだけ貯蓄に回して、資産として残すしか対策はありません。今の生活スタイルを今一度見直して、削れることは何か、毎月いくら貯蓄できるかを確認して、可能な限り貯蓄してください。
 

アドバイス3 経済的なことではなく、社会とのつながりのためにパート継続を

実際のところ、お母さまからもらっている小遣いの総額がどのくらいあるのか、65歳からの年金がいくらなのかがわからないなど、不明な点が多く、もしかしたら、現状の生活のまま、100歳まで安心なのかもしれません。
 
あずささんは、これまでそれほど経済的に困ったことがなく、夫まかせ、親まかせにしてきたということはありませんか? これからは精神的にも自立し、収入がないなかで生活していくという覚悟を持ってほしいと思います。パートについては、経済的なことよりも、社会とのつながりを持ち続けるという意味で、少し休んでから、働き続けたほうがいいでしょう。
 
最後に、もう一つアドバイスするとしたら、あずささんの場合、離婚後、マンションと車は財産分与されるということなので、生活のコンパクト化として、マンションもコンパクトサイズに買い換える、車もいったんは高額の車に買い換えたとしても、下取りに出して、コンパクトカーに乗り換えるといったことも、老後資金を残すことにつながります。こうした交渉事についても、これからは一人で対応していかなくてはなりません。そうした力を身に付けるために、まず、不明なままの保険の中身、年金の受給額の確認などできることから、はじめてみてはいかがでしょう。
 
資産をいつまで持たせられるかは、あずささん自身にかかっていますよ。
 

相談者「あずさ」さんから寄せられた感想

アドバイスありがとうございました。頭を殴られた気分で、眼が覚めました。漠然とではなく、専門家の方が見てやはり資金ショートするとわかり、今から対策を練ることにいたします。ご指摘通り、これまで経済的なことをあまり考えない生活をして参りました。更には先々のことも漠然とした不安はあるものの甘く甘く考えておりました。アドバイスを元に生活を今からダウンサイジングしていきたいと思います。この度は本当にありがとうございました。
 
★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
★「お金のことで悩む人に、貯金のコツを伝授!貯蓄達人の貯めワザ」コチラ


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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