お金の悩みを解決!マネープランクリニック/子どもが小さくて妻が働けない・妻の収入が下がった夫婦

45歳で第2子出産、貯金は630万円。今後のやりくりが心配……(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、45歳で第2子を出産された会社員女性。住宅ローンを抱える中、教育資金や老後資金を同時に用意していく必要がありそう……。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 ご主人55歳のため老後資金の意識も同時に必要

お子さんが2人になって、教育資金と住宅ローンの返済、さらにご主人の年齢が55歳ですから、同時に老後資金も意識しておく必要があるというのが現状です。それを踏まえて、今後のキャッシュフローを見ていきます。
 
現在、育児休暇中のため、職場復帰する来年までは収入減となり、ボーナスから捻出していた生活費は貯蓄から引き出す形になるため、その間、実質貯蓄は増えないとします。

復帰後ですが、生活費としてアップとなるのは、MMさんの小遣いが3万円増。第2子の保育園費用も加算されるはず。夫婦共働きとなるため、食費等も増えるでしょう。対して、給与は手取りで5万円アップとなりますが、家計収支は月間ベースで現在より1万~2万円ダウンします。

普通預金に4万8000円、復帰後は財形貯蓄2万円の積立を再開するとのことですが、他の生活費が変わらなければ、実質の貯蓄ペースは月2万円ほど。つまり、普通預金への貯蓄はそのまま生活費として引き出すことになります。結果、ボーナスからの貯蓄20万円と合わせて年間44万円。ご主人が定年となる4年間で176万円。今ある金融資産と合わせて836万円(投資商品は評価額は変わらないとする)。ただし、2022年に400万円の繰上返済を予定されていますので、ご主人定年時の手持資金は436万円(ご主人の退職金は考慮せず)となります。
 
ご主人は定年後も働くことが予想されますが、収入は不確定。また、借り入れの返済がいつまで続くかは詳細がわかりません。したがって、便宜上、65歳までは再雇用で働き、70歳までは年金とアルバイト等で、ともに現在と同じ月5万5000円を家計に入れられるとします。その場合、MMさんが50~60歳までの10年間で、生活コストが変わらなければ、途中児童手当の減額分を差し引くと、貯蓄できる額は300万円。これにMMさんの退職金と貯蓄等を加算して、手持資金は2350万円ほど。
 
ただし、ここから大学費用を差し引きます。私立文系なら大学にかかる費用は平均2人で800万円。さらに2人とも高校も私立なら600万円。計1400万円が目安として発生します。

ただし、ご主人の終身保険の解約返戻金を教育資金に充てるとのこと。さらにこの間、家計収支に上のお子さんの教育費、月3万4000円計上しています。一方、下のお子さんの小、中学の教育費は考慮されていませんので、それらを勘案すると、実際、先の貯蓄額から教育費として別途差し引くのは、900万~1000万円。結果、MMさん60歳のときの手持資金=老後資金は、概算で1400万円ということになるわけです。
 

アドバイス2 家計管理の意識を高めればもっと貯蓄は可能

老後資金1400万円が足りるかどうかは、まだ判断はできません。試算で用いたお子さんの教育費も、70歳までのご主人の収入もあくまで仮定の話です。そこまでコストがかからないことも、結果的にもっと負担増になることも考えられます。
 
ただ確実にいえることは、公的年金と老後の生活費の差額が老後資金を考える上でのポイントだということ。その差額分をカバーするのが老後資金ですから、毎月3万円不足なら年間36万円。25年間(90歳まで)なら900万円必要となります。不足額が月5万円に増えたなら、25年間で1500万円。また、先の試算では触れませんでしたが、1回もしくは2回のクルマの買い替え、さらに住宅も購入時に築15年とのことですから、早い時期に修繕やリフォームの必要性が出てきます。
 
そう考えると、リスクに備えるために老後資金は少しでも増やしたいところ。幸い、MMさんにまとまった収入があります。家計管理の意識を今以上に高めれば、もっと貯蓄率は上がるはずです。
 
とくにポイントとなるのはボーナス。データでは貯蓄分は年間20万円ですが、できれば約半分の60万円は貯蓄に回したい。それだけで、老後資金は先の試算より600万円増えます。また、住宅ローン控除により還付された税金もしっかり貯蓄に回す。これで少なくとも、クルマの買い替え費用や一般的な住宅のリフォーム費用は用意できたと考えていいでしょう。
 

 アドバイス3 繰上返済は計2回、退職金で完済を

あと、家計について気になる点をいくつか。まず保険については、ご夫婦とも死亡保障が不足しています。ともに保険期間10年、死亡保障1000万円を割安な定期保険か、同程度の保障の収入保障保険で確保するといいでしょう。保険料は合わせて1万円前後です。
 
家計としては負担増ですが、奨学金の返済が終われば、その返済分をそのまま保険料に充てることができます。また、もし奨学金も利息がつくタイプであれば、すぐに完済していいのでは。年齢からして、返済期間はあと数年でしょうから、一括して返済しても貯蓄が大きく減ることはないはず。それで支払利息が軽減されれば、その方が家計にはプラスです。
 
最後に住宅ローンの繰上返済について。想定されているとおり実施すれば、返済期間は5年2カ月短縮(軽減される支払利息は55万円前後。金利は変わらないとして試算)されますから、完済は18年後、ご主人73歳のとき。これでも十分効果がありますが、できればあと1回、MMさんが退職金を受け取ったタイミングで完済してしまってもいいと思います。このときのローン残高は200万円台前半でしょう。

 
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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