4000万円の物件は子ども2人家計になると厳しい選択でしょうか
返済可能な範囲の額なのか知りたいです
◆相談内容
「新婚・共働き世帯です。4000万円の25年ローンで新築戸建てを希望しておりますが、どのくらい貯金が貯まれば購入可能でしょうか?また頭金はどのくらいがいいのでしょうか。これから2年以内に1人目を希望しており、できれば2人目も5年以内に欲しいと考えております。住宅購入は、夫が35歳(3年後)、遅くても40歳(8年後)までにはと考えておりますが、購入金額4000万円は高望みしすぎでしょうか。
子どもの教育資金等も含めると、どのくらい出費が増え、貯蓄ペースが落ちるのかが読めないため、どのタイミングで購入すべきか不安です。なお、私(妻・正社員)は産休・育休が可能な会社ですので、子どもが1歳になる前に復帰を希望しております。よろしくお願いいたします」
「新婚・共働き世帯です。4000万円の25年ローンで新築戸建てを希望しておりますが、どのくらい貯金が貯まれば購入可能でしょうか?また頭金はどのくらいがいいのでしょうか。これから2年以内に1人目を希望しており、できれば2人目も5年以内に欲しいと考えております。住宅購入は、夫が35歳(3年後)、遅くても40歳(8年後)までにはと考えておりますが、購入金額4000万円は高望みしすぎでしょうか。
子どもの教育資金等も含めると、どのくらい出費が増え、貯蓄ペースが落ちるのかが読めないため、どのタイミングで購入すべきか不安です。なお、私(妻・正社員)は産休・育休が可能な会社ですので、子どもが1歳になる前に復帰を希望しております。よろしくお願いいたします」
◆相談者
るかさん(33歳女性・会社員・既婚)
家族構成/夫32歳会社員 (子ども2人希望)
住まい/関東
◆現在の家計収支の状況
手取り月収/43万円(夫26万円、妻17万円)
ボーナス/120万円(夫40万円、妻80万円)
毎月の支出/約29万円
・主な支出内訳
住居費/7万5000円
車両費/1万6000円
食費/8万円(外食費・日用品込み)
光熱費/1万3000円
通信費/2万円
趣味・教養・娯楽費/5万円
雑費/1万円
保険料/1万6000円
夫:終身保険4730円(死亡保障650万、入院5000円/日)
養老保険6608円(死亡保障350万円、満期350万円 2052年まで)
*独身時代に夫が加入したものなので詳細は不明
妻:がん保険(一括200万円) 年払い2万9000円(月3000円)、県民共済2000円(入院5,000円/日)
その他/自社株:月2000円、賞与時1万円
調整予備費/子どもが5歳までは年80万円、その後は年50万円を予定
貯蓄総額/400万円
お子さんが2年後と5年後に誕生。4000万円の住宅を3年後に購入すると仮定して今後の家計状況をシミュレートします
結婚後、ご夫婦できちんとライフプランを考えていらっしゃるご様子が窺え、素敵なことだと思います。出産、育児、住宅購入が当面の大きな出来事になりますが、そうしたこともご夫婦で話し合われているのはいいですね。住宅購入のタイミング、その後の家計がどうなるのか、一緒に考えてみましょう。今回は、いただいた家計状況をもとに、2年後に第1子出産、3年後に住宅購入、5年後に第2子出産という想定でキャッシュフローを試算しました。現状の家計は、ご夫婦だけの生活費ですので、子どもの誕生で大きな変化があると予想されます。その分は、予備費を80万円に、第1子誕生後に50万円に削減することで、調整しています。
また、お子さんが1歳になるまでに復職するとのことなので、保育園を想定し、全国平均額を採用、その後の教育費は、高校まで公立、大学は公私・文理系の全国平均額で試算しています。
※保育園代:平成27年「地域児童福祉事業等調査結果の概況」(厚生労働省)
※幼稚園~中学校:平成28年度「子供の学習費調査」(文部科学省)
※高校、大学:平成30年度「教育費負担の実態調査結果」(日本政策金融公庫)
※基本生活費は変わらないものとし、出産・育児休業中の妻の収入は50%とする。物価上昇、運用利回りなどの変動率は加味せず、ゼロとしている
◆仮定の住宅ローン条件と住宅購入から30年後までのキャッシュフロー
<住宅ローンの条件>
購入希望価格:4000万円の新築一戸建て
頭金:400万円(物件価格の1割)
諸費用:200万円(物件価格の5%)
借入金額:3600万円
返済期間:25年 ローン金利:1.5%(25年固定) 元利均等・毎月返済のみ
毎月返済額:14万4000円
結果は少し心配。第2子が大学卒業してから2年で老後資金を貯められるかがカギ
3年後の住宅購入までに約800万円貯蓄できているので、頭金400万円、諸費用200万円を充てると、年間収支は一時的にマイナスになりますが、るかさんが復職することを前提に考えれば、シミュレーション上は、20年後まで大丈夫そうに見えます。しかし、その後に、子どもの大学入学などで、一気に支出が膨らみます。それまでの貯蓄で乗り切ることは可能ですが、ご主人が58歳の時点で第2子が大学を卒業。60歳で住宅ローン完済。60歳時点での貯蓄額は、約1000万円です。ここからが二人の老後資金の貯めどきになります。つまり58歳からの2年間でどれくらい貯められるか、60歳からも継続して働けるかがカギになってきます(キャッシュフロー上では60歳以降も収入がこれまでと変わらない計算になっています)。
8年後(ご主人が40歳)までには、というご希望もありましたので、現在と同じ条件でシミュレーションもしてみました。
8年後には貯蓄額は1600万円に増えている計算なので、頭金を600万円、諸費用200万円、住宅ローンを3400万円とすると、毎月の返済額は13万6000円となります。上の表からは漏れますが、ご主人が60歳時点で貯蓄は約1400万円。住宅ローン残高は約800万円で、住宅ローンの完済は65歳の時となります。こちらの試算も、老後を考えるとやや心配が残ります。
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月の返済額が重荷。毎月無理なく返せる額からローンを考えることが重要
月の返済額が多くなると教育や働き方の選択肢が狭まってしまいます
■計画だと月の住居費が今の2倍になる
現在の家賃は、7万5000円。この住宅購入の計画では、毎月返済額が14万4000円と約2倍となります。今後、お子さま2人をご希望ですから、住宅ローンの返済によって家計に余裕がなくなるのは、一番避けたいところです。
■お子さんができたら生命保険の見直し、家計・貯蓄のベースづくりが急務
またお子さまが生まれたら、現在の独身時代のままの生命保険を見直す必要もあります。住宅ローンを借りた場合、団体信用生命保険に加入するので、ローン分は、万一の時に相殺されますが、現在の保険のままでは、お子さんのための保険としては不十分に思えます。
結婚してしばらくの間は、ご家族の状況の変化もあります。お子さまのこと、るかさんの働き方、それに伴って、家計の変化も大きいものです。現在の家計は、独身の二人暮らしの状態と同じです。食費、趣味・教養・娯楽費の配分、さらにはご夫妻のお財布の中身も、再度確認してみてください。しっかりと将来のことをご夫婦で考えられるご家庭だと思いますので、住宅購入も慌てず、さまざまなシミュレーションをしてみることをおすすめします。
■貯蓄力はある家計です! 慌てずに無理のない返済計画を考えたい
おそらく、るかさんは、ご主人が60歳までに、または65歳までに住宅ローンを完済させることを意識されていると思いますが、住宅購入の段階で最も大切なのは、毎月いくらなら無理なく返済できるか、そこから借りられる住宅ローンの額を考えることです。
今の家賃プラスアルファで、仮に毎月10万円を返済額として試算すると(25年返済、金利1.5%)、無理のない借入限度額は2500万円です。これに、どれだけ頭金を加えるかで、買える物件が決まるということです。また、25年返済にこだわらず、30年、35年返済にすることで、毎月の返済額を抑えることもできます。余裕が出てきたら、ボーナスなどで、繰り上げ返済をし、ご主人が60歳、65歳での完済を目指すという考え方もできます。
お子さまの誕生を待ちながら、ご主人と夢が実現できるよう、ぜひ、楽しみながら住宅購入を検討してみてください。
※診断結果は、あくまでも現在の家計状況からの概算です。将来を保証するものではありません。
伊藤加奈子
All About貯蓄ガイド、ファイナンシャルプランナー。不動産・住宅情報誌、マネー誌の編集者を経て独立。現在は、「むずかしいお金のことをわかりやすく伝える」ことをモットーに、各種WEBサイトにマネー関連記事を提供している。自身は40歳で中古マンションを購入し、フルリノベーション。10年後に売却して、沖縄に一戸建てを建築。2013年に沖縄移住。