住宅購入のお金

横浜民から恨み節も……子育て世帯が関東で家を買うなら東京がオトク?

東京都が豊富な財源を生かして子育てのしやすい環境を実現しつつあります。そのため子育て世帯であれば、思い切って東京でマイホームを購入したほうがお得なのではと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、東京都の子供・子育て支援の制度や実際にどれほどの効果があるのか確認していきます。また、不動産の物件価格が抑えられるお得な東京エリアはどこなのかも探っていきましょう。

執筆者:All About 編集部

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悔しがる女性

横浜民から恨み節も……子育て世帯が関東で家を買うなら東京がオトク?

東京都が豊富な財源を生かして子育てのしやすい環境を実現しつつあります。主な制度だけでも、0~18歳に1人当たり月額5000円を給付する「018(ゼロイチハチ)サポート」や、私立高校を含む全ての高校の授業料実質無償化、私立中学校の授業料助成などが用意されています。

しかも、2024年度から高校無償化と私立中学助成について、「世帯年収910万円未満」の所得制限も撤廃する方向で調整されています。このため、物件価格を抑えるために神奈川や埼玉、千葉でマイホームを購入するのではなく、子育て世帯であれば、思い切って東京でマイホームを購入したほうがお得なのではと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際、筆者の知り合いの横浜民からは「東京で家を買っておけば……」と恨み節が聞こえてくるほどです。

しかし、一般的には都内の不動産のほうが物件価格は高いため、東京以外の関東圏の物件価格と比較してしまうと、東京都の子供・子育て支援は雀の涙ぐらいにしかならないと疑問に思う人もいるでしょう。

そこで、東京都の支援が実際にどれほどの効果があるのか、それぞれの制度について確認していきましょう。また、東京都に住むメリットがあるのであれば、不動産の物件価格が抑えられるお得なエリアはどこなのかも探っていきましょう。

いったいいくらもらえるのか、都の各支援を確認!

まずは、東京都の子供・子育て支援の詳細を見ていきましょう。

・018サポート
「018サポート」は、「安心して子育てができる世の中に」をテーマに、東京都が2023年度から導入した子供・子育て支援策です。

都内に在住する18歳以下の子供に対し、1人当たり月額5000円(年額6万円)を支給することで、学びなど子供の育ちを切れ目なくサポートし、「子育てのしやすい東京」を実現するというものです。

・高校無償化
一般的に高校無償化といわれるものには、国と地方自治体の両方からの支援が含まれています。国の「高等学校等就学支援金制度」は、都立高校を含む全国の高校に在学する生徒を対象に、最大36カ月(定時制および通信制の課程では48カ月)の授業料を支援します。

この就学支援金は、学校が生徒に代わって受け取るシステムであるため、生徒本人(保護者)に対して現金が直接支払われるものではありませんが、授業料が実質タダになるありがたい制度といえるでしょう。支給額は授業料相当額ということで、例えば全日制課程であれば、月額9900円(年額11万8800円)になります。

一方、東京都独自の取り組みとして、私立高校に通う生徒への授業料軽減助成金があります。すでに述べたように、2024年度からは「世帯年収910万円未満」の所得制限を撤廃する方向で調整されており、私立高校を含む全ての高校授業料の実質無償化が実現する予定です。国の就学支援金と合わせて、保護者が負担する授業料を上限として、年間総額47万5000円までが助成されます。

・私立中授業料助成
東京都は2023年度から、私立中学に通う都内在住の生徒の保護者の授業料負担を軽減する新たな補助制度を実施しています。年額10万円を上限に、保護者が実際に負担した授業料の額が助成されます。こちらもすでに述べたように、2024年度からは「世帯年収910万円未満」の所得制限を撤廃する方向で調整されています。

実際オトクなの? シミュレーションしてみましょう!

ここまで見てきたように、お子様が中学に入学するまでは、「018サポート」の月額5000円(年額6万円)が支給されるのみのため、住宅ローンの返済額に比べれば雀の涙と思うかもしれません。

お子様が中学生になると、「018サポート」の支給に加え、私立中学に進学する場合には年額10万円が助成されます。しかし入学金など授業料以外の費用も考えると、この助成もやはり雀の涙と感じる人も多いでしょう。

お子様が高校生になると、引き続き「018サポート」の支給に加え、都立の全日制課程であれば月額9900円(年額11万8800円)、私立であれば年間総額47万5000円までが助成されます。

あくまでも助成されるのは「授業料」だけですが、私立の場合、この金額が3年間助成されると高校3年間だけでも160万5000円となります。

お子様が中学生までのタイミングでは、東京都の子供・子育て支援を目的として東京に住むメリットはそれほど大きくはありませんが、都内の私立高に進学させるのであれば、東京都の周辺県から交通費と時間をかけて通学させるデメリットも含めると、東京に住むメリットが大きくなるといえます。

都内で不動産の物件価格が抑えられるお得なエリアは?

東京都内でも不動産の物件価格が抑えられるお得なエリアはあるのでしょうか。東京を一定の基準で分けると、例えば、山手線の内なのか外なのか、河川や幹線道路などを挟んで都心に近いのか遠いのかといった具合に分けられます。特に、荒川や多摩川などの川幅が広い河川は、土地の連たん性および地域の一体性を分断するため、エリアの不動産の物件価格評価に際して、重要な要因となります。

この点を踏まえると、東京で家を買うなら、足立区、江戸川区、葛飾区や八王子市、町田市などの多摩エリアが狙い目かもしれませんね。

文:みちば まなぶ(ファイナンシャルプランナー)
大学卒業後、大手ハウスメーカーや不動産業者などを経て、住宅ローンを切り口に、住宅購入をはじめとしたライフプランニングを提案する1級FP技能士。
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