貯蓄と株式などで、資産は4900万円ほどあります

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、数年前に大病をしたことからアーリーリタイアを考える54歳の会社員男性。約4900万円の金融資産と実家近くに所有する貸家収入でリタイアは可能かというモグラスカルさんのお悩みに、ファイナンシャル・プランナーの藤川太さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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数年前に大病をしたことから早期リタイヤを検討している

数年前に大病をしたことから早期リタイヤを検討している



 
 
■相談者
モグラスカルさん(仮名)
男性/会社員/54歳
関東/持ち家(マンション)
 
■家族構成
妻(パート・60代)
 
■相談内容
早期リタイアをしたく相談させて頂きました。現在は妻(パート勤務)と二人暮らし、子どもたちは成人し独立しており地方に居住しています。持家は中古マンションをキャッシュで2年半前に購入、ほかに実家(東北)から車で30分程の場所に17年前に注文住宅を購入しました。当時は転勤族で現在は貸し出しています(2年前に簡易査定で1500万円程、現在は1200万円くらいでしょうか。ローン残債は約280万円で家賃収入も手取り月収に加算してあります。2軒の固定資産税は合わせて年間約12万円)。
 
■家計収支データ
相談者「モグラスカル」さんの家計収支データ

相談者「モグラスカル」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)居住している物件について
築36年、リフォーム済みのマンションを現金で購入。3年以内にユニットバス交換、インナー窓の設置を100万円程度で行う予定。固定資産税は7万6000円。
 
(2)賃貸中の物件について
賃料は8万円、管理費(地元不動産に依頼)年2万8000円、住宅ローン返済額 1万9000円、完済時期2035年、固定資産税 4万6000円
 
(3)加入している保険の内容
・県民共済:夫 =毎月の保険料 4000円
・個人年金保険:夫 加入時に一括支払い済み(150万円)
・県民共済:妻 =毎月の保険料 2000円
・生命保険:妻 =保険金は一括支払い済み(11万3000円)
 
(4)各費目の支出内訳
・趣味、教養、娯楽→夫 7000円 本購入・異業種交流会での行事プライベート参加等
妻 8000円 パート仲間との食事、CD・ブルーレイ・本等を購入
          
・家族のこづかい→夫 5万円(昼食代、被服費含む)
妻 2万円(被服費含む) 
 
(5)リタイア後の運用方針
投資信託などについてはいまのスタンスで続ける予定。ただし、リタイアした後の毎月貯蓄額は5万円程度と考えている。
 
(6)早期リタイアの時期、妻の今後の働き方
相談者コメント「病気になったのは、いままで転勤を含め、ハードな仕事をしてきたツケが回ってきたのだと思います。現在は統括業務と新規事業の責任者として兼務しており、ちょっとハードな状況です。新規事業はある程度、波に乗るまでと思っていますが、現実的にはあと1年程でリタイアしたいのが本音です。妻はいまの週5回パートから段階的に週4回、3回と減らしていくことを想定しています(来年頃から)」
 
(7)退職金の有無、夫婦の年金の受給予定額
退職金はほとんどない(あっても数十万円程度)。年金は夫(仕事を60歳まで続けたら)約14万円。妻は61歳から約1万2000円、65歳から約7万円。ほかに、個人年金で夫が2019年3月より毎月1万5000円支給を10年間、妻が2020年12月より月5万円支給が15年間
 
(9)今後のライフイベントや、相続する資産について
相談者コメント「子どもたちについて長男は結婚予定。長女は未定です。相続資産は実家(土地160坪、建物115坪)と金融資産がありますが、基本的には母の生活のための資産として対応しています。現在の費用は年金で対応できますので大きく目減りすることはないと思いますが、母が他界した際に最終的に残るのは1500万円くらいではないかと思っています」
 
 
■ファイナンシャル・プランナー藤川太の3つのアドバイス
アドバイス1 アーリーリタイアは早すぎる。働き方を変えてみては
アドバイス2 資産構成を見直すことがアーリーリタイアへの道
アドバイス3 まずは株式と賃貸中の不動産の売却を検討すべき
 
 

アドバイス1 アーリーリタイアは早すぎる。働き方を変えてみては

1年程度でアーリーリタイアをしたいとのこと。ハードワークから病気になったことをきっかけに、株式の評価額が3000万円近くになっていることもあり大丈夫ではないかと考えたのでしょうが、ファイナンシャル・プランナーとしては1年後のリタイアは早すぎるといわざるを得ません。
 
最大の理由は資産の大半が株式で、しかも1銘柄だということです。IPO株ということもあり大きく評価額を増やしているようですが、これから先、何十年も続くリタイア生活の間には景気の波が何回も来るでしょう。いまのような上昇相場がずっと続くことはあり得ませんし、××ショックのようなことが起こったら半分以下まで下落してしまうかもしれません。経済全体の動きはもちろんですが、企業業績もずっと好調が続くことは難しいですから株価の値下がりはもちろん配当金が減ることも考えられます。くわえて、貯蓄額は個人年金保険の受取額も含めてとのことですから、すぐに資金化できる現預金はそれほど多くありません。
 
現在の支出から考えると、夫婦ともに公的年金を受け取るようになれば生活費はまかなえそうですが、それまでは資産を切り崩さなくては生活していけません。4900万円の資産があれば……と思うかもしれませんが、自宅のリフォームや子どもの結婚、旅行など、アーリーリタイアをすると若くて元気なだけに仕事をしていたら使わないお金を使うようになり、あっという間に減っていきます。将来、介護が必要になるかもしれませんから、ある程度の余裕資金を残しておく必要もあります。
 
そこで提案ですが、激務からは離れ、健康と相談しながらラクな働き方をするということは考えられないでしょうか。これから財産を築く必要はありませんから、取り崩さなくて済む程度で構いません。そんな働き方を60~65歳くらいまで続け取り崩す時期を1年でも遅らせることができれば、資産寿命を伸ばすことができます。
 

アドバイス2 資産構成を見直すことがアーリーリタイアへの道

アーリーリタイアを希望するのであれば、まず必要なのが資産構成の見直しです。現在の資産構成は、客観的に見てリスクを取り過ぎ。給料がなくなることに代わる収入を確保しなくてはいけないのですから、保有する資産は継続的な収入が期待できるインカムゲインであることが必要になります。リタイアまでには株式の配当金、債券の利子、不動産の家賃といったインカムゲイン中心に組み替えていきましょう。すでに株式の配当金が中心になっていますが、生活費等で資産を取り崩すとそこから生まれる配当金も減ってしまいます。ですから、資産そのものは取り崩さなくていいように設計することが大切です。

これまでは資産を増やす方向に巡航し、幸運にも大きく増やすことができました。しかし、ラッキーはそうそう続きません。働いているうちは収入がありますから多少のことには耐えられますが、リタイア後に大きくクラッシュすると心が壊れてしまうかもしれません。
 

アドバイス3 まずは株式と賃貸中の不動産の売却を検討すべき

モグラスカルさんが保有している資産の中で、あまりにも危険といわざるを得ないのが株式です。資産の約3分の2が株式1銘柄に集中しているのはリスクが高すぎます。たとえば、リーマンショックの際に日経平均株価は60%超も下落しました。3000万円は1200万円程度になる計算です。これを持ち続けて、株価が持ち直すまで待つことができるでしょうか。徐々に売却し、保有数を減らすことをおすすめします。
 
もうひとつ気になるのが、東北の賃貸中の持ち家です。不動産はインカムゲインが得られますから、本来はおすすめできる資産。ただし不動産の場合は、立地や物件などによってその状況は大きく変わってきます。賃貸中ということは現時点では需要がある地域と推定できますが、これから世帯数の減少が始まり地方であればあるほど家余りの状態になっていきます。

また築年数が古くなると修繕が必要になり、経費もかさんでいきます。売却価格から見ても東京都心部は上昇と下降を繰り返していますが、地方はよほどの特殊事情がない限り下げ止まる時期はあっても上昇はあまり期待できません。不景気になると売りにくくなりますから、需要があるうちに売却することをおすすめします。一般的に入居者がいると売却しにくいといわれますが、ある程度の利回りが見込めるのであれば売却できる可能性が高いです。管理を依頼している不動産会社に相談し、有利な条件で売却できる方法を検討してみてください。
 

相談者「モグラスカル」さんから寄せられた感想

アドバイスありがとうございます。先生の仰る通り株式に関しては運が良かっただけと認識しておりますので株価の動向を見ながら徐々に売却を行っていきたいと思います。仕事に関しても、全く何もしないということではなく、身体・メンタル的にも負担の少ない仕事をと考えております(知人からの誘いもあり)。また、賃貸中の不動産においても早い段階での売却を視野に入れていくことを、改めて認識させて頂きました。いままで、多くの事で悶々としておりましたが先生のアドバイスにより、自身としても行うべき方向性も見えてまいりました。ありがとうございました。

教えてくれたのは……
藤川太さん 
 
 

 


All About「資産運用」ガイド。「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきたFP。資産運用、家計管理、マイホーム購入、不動産投資などに詳しく「普通の人」でもお金を貯める・増やせるようになる方法をアドバイスしています。

取材・文/鈴木弥生




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