10年後にアメリカから帰国し早期リタイアしたい

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、現在家族でアメリカ在住中で10年後に夫婦で日本へ帰国し早期リタイアを希望している43歳の女性です。いつまでにどの程度の資産ができれば希望するライフプランの実現が可能なのか知りたいとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

 
資産はある程度貯められたと思いますが早期リタイアは可能?

資産はある程度貯められたと思いますが早期リタイアは可能?




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■相談者
電気スタンドさん(仮名)
女性/現在パート、数か月後に正社員/43歳
アメリカ/持ち家(1戸建て)
 
■家族構成
夫(会社員/43歳)、子ども2人(12歳・7歳)
 
■相談内容
現在家族でアメリカ在住です。10年後の末っ子の大学入学を機に夫婦で日本への帰国と、早期リタイアを検討しています。家計の支出はメリハリをつけて、必要なもの(帰国費用や教育費)には出し惜しみせず、一方で普段の家計(食費や娯楽費、こづかいなど)は、かなり切り詰めています。目標とすべき貯金額が分からないため、漠然とした不安が貯金への強迫観念となってしまっています。いつまでにどの程度の資産形成が必要なのかの目安を是非ご教授ください。
 
■家計収支データ
相談者「電気スタンド」さんから寄せられた感想

相談者「電気スタンド」さんから寄せられた感想



 
 
■家計収支データ補足
(1)家族について
・夫は現地企業に勤める会社員。定年は65歳で退職金はありません。
・10年後、帰国してからは早期リタイアを検討しているが、必要に応じて再就職も可能。ただし、アルバイトなどの短時間労働を希望。
 
(2)住宅費について
購入時の物件の状況: 新築  ※帰国する際は、売却予定。売却時は5000万円になる
 
借り入れ時期 2018年
物件価格 4700万円
諸費用 100万円
頭金 1000万円
ローン残高 3300万円
借り入れ期間 35年
金利のタイプ 固定、金利4.1%
固定資産税 43万2000円
 
(3)加入保険について
♢夫/積み立て型生命保険(終身タイプ、53歳払込み終了、死亡保障500万円、54歳時解約返戻金330万円)=毎月の保険料1万2500円
 
♢夫/積み立て型生命保険(終身タイプ、53歳払込み終了、死亡保障500万円、54歳時解約返戻金330万円)=毎月の保険料1万6600円
 
♢夫/掛け捨て型生命保険(10年定期、49歳払込み終了、死亡保障6500万円)=毎月の保険料2200円
 
♢夫/掛け捨て型生命保険(20年定期、59歳払込み終了、死亡保障1500万円)=毎月の保険料1300円
 
(4)年金について
・過去に日本の厚生年金加入  65歳以降月額7万円受け取り予定
・アメリカの確定拠出年金加入 65歳以降月額30万円受け取り予定
・私(妻)のこの夏からの正社員登用 に伴って、さらに確定拠出年金に加入することは可能です。
 
(5)教育費について
・教育費5万円の内訳: 体操教室4万円 水泳教室 1万円
・子ども2人は今後現地の公立高校へ進学予定(学費無料)。大学は2人ともアメリカで大学進学予定。(州内大学への進学の場合の授業料年額85万円)必要に応じて大学院への進学をサポートしたい。下の子どもは10年後に、夫婦が帰国後はアメリカの大学に進学予定で、年間300万円の学費と仕送りを予定している。
 
(6) 貯蓄について
・普通預金700万円
 
(7)投資2500万円の内訳について
・株30%、ファンド70%をドルベースで運用
 
(8)ボーナスの主な使いみちについて
・すべて貯蓄
 
(9)車両費と雑費について
・車は2台保有。各車を6年に一度新車へ買い替えするので、毎月その予算を積み立てしている(4万円/月)。車のローンはありません。
・雑費4万円については、家具、車のメンテナンスなど突発的な支出。
 
(10)日本に帰国後の住まいについて
都内のマンションを購入あるいは郊外の小ぶりな一戸建ての購入を検討している

 
FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 まずは10年後の資産総額を計算してみよう
アドバイス2 確定拠出年金はいつまでいくらもらえるか確認を
アドバイス3 生活レベルを落とせれば早期リタイアは可能ですが…
 

アドバイス1 まずは10年後の資産総額を計算してみよう

収入も多く、資産もそこそこあって一見余裕がありそうな電気スタンドさんのご家庭ですが、よくよく見ていくと早期リタイアをするためにはさまざまな問題がありそうですね。

まず、10年後に早期リタイアが実現できるのかどうか、現在の資産と貯蓄状況から具体的にいくらの資産が準備できるのか計算してみましょう。

最初にマイホームですが、「アメリカでは不動産が日本ほど経年劣化しない」とのこと。それはその通りかもしれませんが、4700万円で購入したものの資産評価額を5000万円として考えるのは楽観的過ぎるような気がします。円建てで考えた場合為替リスクもありますし、もし10年後に円高になってしまったら、資産はぐんと減ってしまうことも考慮しておく必要があります。

仮に10年後に4500万円で売却できたとしても住宅ローンが2500万円ぐらいのこっているはずなので、これを差し引くと2000万円です。私は1500万円ぐらいで考えておいたほうがいいと思いますが、間を取って1750万円と仮定しておきましょう。

そのほかの資産は、現在貯蓄と投資で700万円+2500万円=3200万円あり、月々16万円ちょっととボーナスから100万円の貯蓄をしているとのこと。このペースなら年間約295万円ずつ貯蓄が増えるので、10年後には6150万円に増えている予定です。

さらにこれに学資保険200万円、教育費づくりとして加入している貯蓄型の終身保険などが700万円あるので、これらをプラスすれば7050万円になります。それにマイホームを売却したお金が1750万円できるとしてこれを合算すると8800万円が10年後の資産合計額です。

ここから下のお子さんさんの教育費として年間300万円を仕送りするとのことなので、4年間の合計1200万円、上のお子さんは大学卒業している頃ですが大学院への進学を希望するならサポートしたいとのことなので、その分を400万円とっておいたとして教育費は合計で1600万円必要と考えられます。これを差し引くと7200万円がご夫婦の早期リタイア後に使えるお金の総額です。
 

アドバイス2 確定拠出年金はいつまでいくらもらえるか確認を

10年後にご主人53歳、電気スタンドさん53歳で日本に帰国し早期リタイアしたとしてその後の資産の増減を考えてみましょう。

住居は都内マンションか郊外一戸建てを希望していますが、都内に家を買うとなると小ぶりな家でも少なくとも4000万円は必要です。それをキャッシュで払ったとしたら、金融資産は一気に3200万円に減ります。住宅購入すれば毎月の家計から住居費の支出はなくなりますが、そのほかの生活費や固定資産税などの家計支出はざっくりととらえて月々25万円、年間で300万円ぐらいでしょうか。アルバイト程度は働くことも考えているとのことなので、夫婦で年100万円ぐらいずつアルバイトで稼いだとしたら、毎年の取り崩し額は100万円です。

それが65歳まで続くと約1000万円資産が減少します。年金をもらい始める段階で手持ち資産は1700万円になります。

65歳から公的年金と確定拠出年金が受給できるとのことですが、このうち確定拠出年金は一生涯もらえるわけではないということに注意しなければいけないですね。あくまでも自分で積み立てたお金を取り崩して年金として受け取るものですので、いつまでもらえるのかよく確認しましょう。また、早期リタイアすれば公的年金ももらえる額は少なめと考えられます。1700万円の資産では、65歳以降も心許ないといわざるをえません。
 

アドバイス3 生活レベルを落とせれば早期リタイアは可能ですが…

早期リタイアを希望しているということで最低限の支出で試算をしていますが、現状の生活から考えると、何もしない生活が電気スタンドさんご夫婦にできるかどうかということも考えてみてください。現在車を2台持っていますが、この試算では車も持てません。帰国後も車を保有するとしたら当然支出はもっと増えます。ゆとりができた時間を楽しむためのお金も必要ではないでしょうか。そう考えると10年後の早期リタイアは、現実的ではないような気がします。

今の家計の内容からすぐにできることは、まず保険の見直しです。ご主人が保険に加入しすぎているので、終身保険はすべて払い済みにして、掛け捨ての6500万円の保険も不要なので解約します。これらを見直すだけで月々3万円強貯蓄を増やせます。さらに電気スタンドさんご自身の収入も増える予定なので、その分も貯蓄に回せれば、もっと貯蓄ペースを上げられます。

一方、今現在持っている金融資産ですが、10年後に帰国を予定しているなら、リスク資産はもう少し少なめにしておいたほうが安心です。家計はメリハリをつけているとのことですが、強迫観念といってる割にけっこう使っている印象もあります。日本とは状況が違って周りから見ると厳しめなのかもしれませんが、そのままの生活を日本に持ち込んでも通用しない可能性があります。

必要に応じて再就職も可能とのことなので、私の提案は帰国後に年収300万円ぐらいもらえる会社に就職し、厚生年金を少しでも増やすことです。ご主人は退職金がもらえないとのことなので、できる限り公的年金を増やしておくことが重要でしょう。
 

相談者「電気スタンド」さんから寄せられた感想

この度は的確なアドバイスをありがとうございました。これまで漠然と感じていた不安や強迫観念が、これからは目標達成への原動力となってくれそうです。為替のリスクや確定拠出年金の受給期間等、これまで考えもしませんでした。今回頂いたアドバイスを元に将来設計を練り、15年後のリタイアに向けて頑張りたいと思います!ありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/堀内玲子



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