アドバイス1 支出が抑えられた家計。考え方も現実的で◎
率直に申し上げて、何を心配していらっしゃるのだろうと思うくらいきちんと管理された家計です。将来は実家に戻るから住宅購入は考えていないなど現実的な判断ができていますし、このままのペースで家計管理をしていけば何の問題もありません。教育資金と老後資金を心配していらっしゃるようですが、教育資金はご両親が援助してくださった学資保険がありますから、大学費用はこれで準備できています。中学から私立へ通うことになったり、大学生のときに下宿をすることになっても、そのための必要額以上を毎月貯められていますから、現在の貯蓄が増えることはあっても減る心配はないでしょう。老後資金についてはまだ時間があるので確たることは申し上げにくいですが、65歳まで雇用延長で働く意思があり、金額は不明ながらも退職金制度があり、奥様のパート収入も増える予定とあれば問題なく準備できるはずです。
「もう少し旅行などに支出したい」というご希望があるようですが、りいさんのようにきちんと家計管理ができる方なら、ムダ遣いはしないはず。子どもはあっという間に成長してしまい、家族の思い出を作れる時間は意外に少ないものです。ぜひ早めに実現してください。
アドバイス2 優秀な家計だが、保険だけは見直す余地あり
家計支出の中で、唯一見直しの余地があるのが保険料です。いただいている情報だけでは言い切れませんが、多分、更新すると保険料が上がるタイプの商品だと思います。現時点でも月1万8000円は高いですし、今後さらに保険料が上がるようであれば余計に見直しが必要です。加入するのは、3000万円程度の収入保障保険と日額5000円の医療保険で充分。これなら保険料は月1万円程度で収まるはずです。奥様は持病がおありとのことですが、病気によっては保険に加入することも可能です。ただし保険料は割高になりますから、保障内容をよく確認して保険料とのバランスを必ず検討してください。また、同じ病気でも保険会社によって加入の可否は異なります。検討をご希望なら、直接問い合わせをしてみるといいでしょう。
アドバイス3 投資の勉強は節税を兼ねてiDeCoで始めよう
預金ではお金が増えないいま、投資をするのはいいことだと思います。ただし、金融機関に言われるまま投資を始めることはおすすめできません。また貯蓄があるからと一度に投資をするのも、あまりいい未来が見えてきません。まずは「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」でコツコツと積み立てを始めるのがいいでしょう。投資で怖いのは損をすることではなく、心が壊れてしまうことです。まずは自分の心の相場への耐性を自覚するために、積み立てで少額の投資を始め「こういうニュースがあると相場は動くんだ」「大きく値下がりしたとき自分はこんな気持ちになるんだ」ということを体験してみてください。そうして投資の勉強を少しずつ始めていけば、60代になって時間とお金に余裕ができて本格的に投資を始めようと思ったときに苦労することがなくなります。
iDeCoもつみたてNISAも運用益が非課税になる制度ですが、りいさんは貯蓄がありますから、原則60歳まで引き出せませんが掛金が所得控除の対象になるiDeCoの方がいいでしょう。運用する商品は、全世界の株式で運用するバランス型の投資信託。まずはこれ1本から始めて値動きを体感してみてください。iDeCoを始める際の注意点は、金融機関によって取り扱う商品や手数料が異なることです。コストが安く品ぞろえも充実しているネット証券がおすすめです。
相談者「りい」さんから寄せられた感想
この度はお忙しい中、貴重なアドバイスをいただきまして本当にありがとうございました。なんとなく不安だった家計管理も現状問題なしということと先生のアドバイスのおかげで気持ちが楽になったように思います。指摘をしていただいた項目についてはさっそく妻と相談し、改善していこうと思います。投資についてはもう少し自分で勉強し、iDeCoから始めてみようと思います。教えてくれたのは……
藤川太さん
All About「資産運用」ガイド。「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきたFP。資産運用、家計管理、マイホーム購入、不動産投資などに詳しく「普通の人」でもお金を貯める・増やせるようになる方法をアドバイスしています。
取材・文/鈴木弥生
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