大好きな家のリフォームに費用をかけられますでしょうか?
◆相談内容
「現在持ち家で住宅ローンは完済。家が大好きで10~15年後に家の建て替え、もしくはフルリフォームしたいと考えています。ローンに頼らず1500万~2000万円ぐらいを現金で支払いたいと思っていますが、無謀でしょうか。老後に支障をきたしたくはないので、いくらぐらいの費用をかけられるか試算いただけますでしょうか。
退職金は夫が1300万円くらい、私は確定拠出年金のみ。ここ数年は年間350万ほど貯蓄ができています。教育費は1人500万円はそれぞれ確保できると思っていますが、それ以外の費用は貯めないといけないと思っています。進路は中学までは公立、高校と大学は自宅から通える私学でもいいと思っています。
夫婦とも60歳定年ですが、65歳まで働くことができます。私(妻)は55歳ぐらいで退職、その後はパートで働きたいと思っています」
「現在持ち家で住宅ローンは完済。家が大好きで10~15年後に家の建て替え、もしくはフルリフォームしたいと考えています。ローンに頼らず1500万~2000万円ぐらいを現金で支払いたいと思っていますが、無謀でしょうか。老後に支障をきたしたくはないので、いくらぐらいの費用をかけられるか試算いただけますでしょうか。
退職金は夫が1300万円くらい、私は確定拠出年金のみ。ここ数年は年間350万ほど貯蓄ができています。教育費は1人500万円はそれぞれ確保できると思っていますが、それ以外の費用は貯めないといけないと思っています。進路は中学までは公立、高校と大学は自宅から通える私学でもいいと思っています。
夫婦とも60歳定年ですが、65歳まで働くことができます。私(妻)は55歳ぐらいで退職、その後はパートで働きたいと思っています」
◆相談者/うーたんさん(44歳女性・会社員・既婚)
家族構成/夫41歳会社員 子9歳小4、5歳年長
住まい/愛知県
◆現在の家計収支の状況
手取りの月収 65万円(夫40万円・妻25万円)
ボーナス 210万円(夫160万円・妻50万円)
毎月の支出 約45万円
・主な支出の内訳
住居費:1.2万円(月あたりの固定資産税)
食費(外食費・日用品込):10万円
光熱費:2.2万円
通信費:0.9万円
車両費:2万円
趣味・教養・娯楽費:5万円
教育費:6.5万円
雑費:5.9万円
保険料:7万円(うち学資保険2.6万円、年金保険3万円)
家族の小遣い:使った金額を家計簿に記載
年間の貯蓄金額:約350万円
ボーナスの使い道:家電の買い替え、旅行、外構のリフォーム
貯金総額:1450万円
投資総額 :約400万円
(株式25万円、投資信託140万円、確定拠出年金240万円。確定拠出年金は給与引き落とし)
15年後に2000万円のリフォーム、60歳退職で今後の家計状況をシミュレート!
すでに住宅ローンを完済された上、お子さんの学資保険や将来的なリフォーム、さらに老後資金まで計画されており、かなり優秀な家計といえますね。ご希望どおり、大好きなお家にお金をかけられるのか、念のため、確認するといったスタンスでシミュレーションしていきます。いただいた家計の収支状況を元に、今回は15年後に現金2000万円で建て替え、あるいは、フルリフォームしたと仮定して、今後20年間のキャッシュフローを計算してみました。
5年後 | 10年後 | 15年後 | 20年後 | |
---|---|---|---|---|
収入合計 | 1014 | 990 | 740 | 68 |
支出合計 | 675 | 863 | 2735 | 374 |
年間収支 | 339 | 127 | -1995 | -306 |
貯蓄残高 | 3991 | 5365 | 3670 | 5467 |
※単位は万円
教育費は子ども1人約1420万円と仮定(文部科学省「子供の学習費調査」平成28年度、日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」平成29年度より)。中学までは公立、高校は私立。大学については公私・文理系を特定せずに平均的な金額により計算しています。
また夫は60歳で退職。妻は55歳で退職後、5年間を年100万円のパート勤務としています。
※収入と基本生活費は変わらないものとします。また物価上昇や運用利回りの変動率をゼロとしています
2000万円のリフォームは現実的。試算上、貯蓄残高が5000万円を超える
ご夫婦ともに60歳までしか働かないといった極端なケースでシミュレートしましたが、結論としてはご安心いただける家計である、といえるでしょう。総務省の家計調査報告によれば、高齢無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の公的年金などの社会保障給付は1カ月約19万円。対して月々の支出は約27万円。計算上、毎月の不足分は約8万円になります。よって、老後資金を考えた場合、年間では約100万円を貯蓄などから使えるようにしておきたいところです。
仮に、老後期間が25年前後続くとなると、一般的にいわれるように、老後資金としては、やはり、3000万円程度あると安心といえます。
この点、リフォーム等に2000万円かけたとしても、ご主人の退職時には、想定される退職金とあわせて貯蓄残高が5000万円台後半となることから、特段、問題は見当たりません。
生活費や収入は据置きであり、教育費のほか、ご家族の成長とともに基本生活費自体も上昇することから、あくまで概算にはなりますが、2000万円のリフォーム等は現実的な選択であるといえます。
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「人生100年時代」を楽しく生き抜くことが肝心!
うーたんさんの場合、既に、住宅ローンを完済されるなど、お金の管理に長けていらっしゃるからこそ、2000万円の一括払いであっても現実的な試算になったといえるでしょう。
今後も、投資はローリスクな資産運用にとどめ、ご夫婦自身が「人生100年時代」を謳歌されることを期待しております。
また「人生100年時代」では、お子さんの教育を終えても、お孫さんや、ひょっとすると、ひ孫さんの教育資金についても、援助するような場面もあろうかと思います。
老齢年金のほか、確定拠出年金や年金保険、そして、これまでの蓄えを有効活用され、うーたんさんのお子さんやお孫さんたちが、益々、しあわせになるところを見届けるのも老後の楽しみといえますね。
※診断結果はあくまでも現在の家計状況からの概算です。将来を保証するものではありません。
解説・キャッシュフロー表作成
大島浩之
住宅ローンを切り口に、ライフプランニングを提案するCFP。上智大学文学部新聞学科卒業後、大手ハウスメーカーや不動産業者などを経て、現在では、FP試験の講師を務める傍ら、住宅ローンを切り口に、住宅購入をはじめとしたライフプランニングの相談を受ける。