お金の悩みを解決!マネープランクリニック/貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯

32歳専業主婦。夫55歳、子どもは生まれたばかり、なのに貯蓄はゼロです(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は年の差婚の55歳夫との間に2カ月のお子さんがいる32歳の専業主婦。契約者貸付で借金をしている夫の生命保険の解約を考えるも、説得できずにいるといいます。そんな、ちいママさんのお悩みにファイナンシャル・プランナーの藤川太さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1  保険は解約し、割安な収入保障保険に加入し直す

ちいママさんが考えていらっしゃる通り、現在の保険は解約した方がいいでしょう。保険会社によっては払い済み保険にする(保険料の払い込みがなくなり、保険期間はそのままに解約返戻金額に見合った保障額に変更される)という方法もありますが、現在の状況では難しそうです。では、その理由を説明していきます。
 
まず、契約者貸付で借り入れをしているとのこと。この保険はずいぶん以前に加入した、いわゆる「お宝保険」かもしれませんが、だとすると借り入れの金利も相当高いはずです。というのは、保険の契約者貸付は契約したときの金利をもとに適用利率が決まるため、予定利率が高い保険からお金を借りると貸付金利も高くなります。また、今月は保険料が未払いのようですが、これは今月に限ったことでしょうか? 

契約者貸付制度は利子計算が複利のケースが多いので、借りたお金を返済しないと借入額がどんどん増え、解約返戻金を超えてしまうと保険契約が失効、または解除されてしまう可能性があります。そこまでいかなくても、万が一のことがあって保険金を受け取る事由が発生した場合、返済すべき金額が保険金から差し引かれますから期待通りの保険金を受け取ることはできません。念のため、解約するときは払い済み保険にできるかどうかを確認してください。
 
もうひとつ、現在の保険は2000万円の死亡保障があるのは60歳まで、ということはあと5年です。お子さんの年齢を考えたら70歳、できれば75歳までご主人にまとまった額の死亡保障を確保しておきたいもの。心配すべきは、お葬式代ではなくちいママさんとお子さんの生活ですから、この保険では保障が足りません。
 
そこで選択肢となるのは、効率的に保障を確保できる収入保障保険です。終身保険を検討されているようですが、高額な保険金額の終身保険は保険料も高くなり家計を圧迫します。必要な保障を少しでも安い保険料で確保するために掛け捨てになりますが収入保障保険を検討しましょう。
55歳男性の場合、75歳満了で基本月額15万円、年金受取総額3600万円だと保険料の月額は約1万4000円です。保障を小さくすれば保険料は安くなりますし、健康状態によっては保険料を割引してくれる保険会社もあります。たとえば上記と同じ条件で健康体なら約1万3000円、健康体でさらに非喫煙者ならば約1万円と割引幅が大きくなります。健康体の基準は保険会社によって異なるので、調べてみるといいでしょう。
 

アドバイス2 夫婦ともに健康に留意して少しでも多く、長く働き続ける

60歳以降のご主人の働き方については、手取り収入が大きく変わらなければ正社員でもパートでも構わないと思います。とにかく長く働き続けることが重要です。お子さんが小さいのですから、体が動く限り働くくらいの覚悟を持って健康管理に努めてほしいと思います。

パートの場合は年金の繰上受給を考えているとのことですが、これはできればやめてください。65歳以降の収入は年金が頼りになると思いますが、繰上受給をすると1カ月あたり0.5%、1年あたり6%減額されますから、60歳まで5年繰り下げると減額率は30%です。年金の総受給額を65歳から受給した場合と比較すると76歳の時点で下回り、その後は長生きするほど不利になります。人間の寿命は誰にもわかりませんが、厚生労働省の平成29年簡易生命表によると75歳まで生存する男性の割合は約75%。4人に3人は生きているのが現実です。
 
ちいママさんは精神疾患があるためフルタイムの勤務は難しいとのこと。もちろん健康は大切ですから過度の無理は禁物ですが、歳の差婚のご夫婦の場合、家計にとっては奥様がどれだけ働けるかがカギになってきます。子育て、家事との両立はたいへんでしょうが、少しでも多く働けるよう工夫してください。
 
共働きを続けていくためには、住環境も重要です。ご自宅は築年数が古いようですしいずれご実家を相続するのであれば、自宅を売却しお子さんが小さい間だけでも利便性の高い賃貸住宅へ引っ越すという選択肢はないでしょうか。毎月の家計だけでなく、もう少し長い目でお金の使い方を考えた方がいいかもしれません。
 

アドバイス3 教育費は行政の支援が拡大しているので上手に利用を

ちいママさんも調べていらっしゃるようですが。政府がいろいろな子育て対策を打ち出しています。まず、2019年10月からは幼児教育・保育の無償化が始まり認可保育所や幼稚園などに通う3~5歳児は全世帯で原則、無料。認可外保育施設を利用する場合は月3万7000円を上限に補助を受けられます。0~2歳児は住民税非課税世帯のみが無償化の対象です。さらに2020年4月からは、低所得世帯を対象に高等教育も無償化。授業料の減免と返済不要の給付型奨学金の2本柱で実施される見込みです。とはいえ学校納付金のすべてをまかなうことは難しいでしょうから、ちいママさんのコメントにある通り児童手当は全額教育費として貯めておくことは必要でしょう。
 
行政の支援は基本的に申請制度なので、自分で情報を調べる力が必要です。ちいママさんにはそのたくましさがありますから、きっと上手にいろいろな制度を活用していけるはずです。
 

相談者「ちいママ」さんから寄せられた感想

プロの方にアドバイスいただけてためになりました。契約者貸付は契約時の金利でいくことは全く知らなかったので、目からうろこでした。私のように年の差婚の場合どうしたらいいかあまり例が載っていなかったので、今回、アドバイスをいただけて良かったです。
 

教えてくれたのは……
藤川太さん 
 
 

 


All About「資産運用」ガイド。「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきたFP。資産運用、家計管理、マイホーム購入、不動産投資などに詳しく「普通の人」でもお金を貯める・増やせるようになる方法をアドバイスしています。

取材・文/鈴木弥生




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