年金

年金額の改定の仕組みと計算方法【2019年度版】(2ページ目)

公的年金の額は、物価の変動や現役世代の賃金水準の変動に連動する仕組みとなっており、毎年4月に改定されます。2019年度の年金額はどうなったのか、年金額の改定の仕組みと年金額の計算の仕組みを解説します。さらに、今年4月に発動されたマクロ経済スライドについても解説します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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キャリーオーバー分の調整

今年度の年金額は、2018年度から導入されたキャリーオーバー制によって、さらに前年度のキャリーオーバー分も差し引かれることになります。

今年度の年金額は、2018年度から導入されたキャリーオーバー制によって、さらに前年度のキャリーオーバー分も差し引かれることになります。

今年度の年金額は、2018年度から導入されたキャリーオーバー制(調整率の翌年以降の繰り越し)によって、さらに前年度のキャリーオーバー分も差し引かれることになります。

キャリーオーバーとは、マクロ経済スライドによる調整をできる限り早めに行うことにより将来世代の年金の給付水準の確保を図るという観点から、調整ルールを見直し、景気回復期にそれまでの未調整分も合わせて調整するものです。

ただし、高齢者の生活の安定を配慮して設定された名目下限措置を維持したものとなっています。
年金入門

マクロ経済スライドによる調整のルールの見直し(2018年4月施行)


前年度は、年金額が据え置きとなったため、マクロ経済スライドは発動されず、調整率は翌年以降に繰り越されていましたが、今年度にマクロ経済スライドが発動され、条件も整ったため、このキャリーオーバー分(▲0.3%)も今年度に差し引かれることになったのです。
 
したがって、今年度の最終的な年金額の改定率は、プラス0.1%となりました。
年金入門

2019年度の年金額改定について

 

2019年度の年金額の計算の仕組みについて

(1)国民年金編
国民年金からの老齢年金を老齢基礎年金といいます。20歳から60歳まで40年間、全ての期間、保険料を納めた人については、今年度は満額で780,100円(2019年度価格)の老齢基礎年金が支給されます。
 
780,100円(老齢基礎年金満額)
=780,900円(平成16(2004)年改正で規定された基準額)×今年度改定率(0.999)

 
会社員などで厚生年金に加入している人(第2号被保険者)や、専業主婦(夫)等の人(第2号被保険者に扶養されている配偶者:第3号被保険者)は、国民年金の保険料を直接納めてはいませんが、第2号・第3号としての被保険者期間も、国民年金の保険料を納めた期間(保険料納付済期間)となります。
 
もし、20歳から60歳までの40年間に保険料未納期間などがあったりすると、それらの期間は老齢基礎年金額には反映されません。年金額はその期間分減額され、少なくなってしまいます。

このように保険料納付済期間が480月(40年×12月)に満たない場合、年金額は以下のような計算式で求めることができます。なお、年金額の計算式は、全て月単位で計算します。

【老齢基礎年金の計算式(原則)】
780,100円× 保険料納付済月数/480月=2019年度価格

なお、保険料の免除期間があり、その後10年以内に保険料を納めなかったとしても、免除の割合に応じて年金額の計算に一部反映されます(なお、学生納付特例など保険料猶予制度は、追納しない限り年金額には反映されませんので注意が必要です)。これは老齢基礎年金には、国庫負担(税金)が2分の1投入されているからです。
 
(2)厚生年金編
会社員や公務員の人が加入する厚生年金からは、受給要件を満たせば、年金制度の2階部分にあたる老齢厚生年金が支給されます。

老齢厚生年金は現役時代の収入によって年金額が異なる「報酬比例」の年金です。つまり、入社したときから、退社するときまで(転職した場合は通算)の全期間の給与や賞与(標準報酬月額・標準賞与額)の平均額をもとにして、厚生年金加入期間と給付乗率を掛け合わせて年金額を計算します。
 
なお、平成15年4月に導入された総報酬制により、それまで年金額には反映されなかった賞与が報酬比例の年金額に反映されるようになりました。したがって、老齢厚生年金の年金額を求める計算式は、平成15年3月までの加入期間をもとにした年金額と、平成15年4月以後の加入期間をもとにした年金額を別々に計算し、合計した額となり、以下のような計算式になります。
年金入門

【老齢厚生年金の報酬比例部分の額の計算式】(本来水準)

 
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