お金を優先すべきか、それとも時間を優先すべきか
もうすぐ10連休となるゴールデンウイーク。おそらくテレビのニュースでは、高速道路の長い渋滞の映像が流れると思います。その渋滞に飛び込む人もいれば、避けようとする人もいます。そのどちらが良い悪いではなく、自分の時間を使ってお金を節約するのか、お金を使って時間を買うのか、そのどちらの判断が合理的なのかを考えることは、生活の全方位に影響し、自分の人生を決定づけるかもしれないことに、敏感になる必要があると私は考えています。
たとえば「家族全員分の新幹線代を払って行くより、渋滞につかまってもクルマの方が断然安上がり」と考える人もいれば、「新幹線だと小さな子どもたちが騒いだり走り回ったりして大変なので、クルマのほうがラク」と考える人もいます。
あるいは、「旅費が高くついても新幹線で行くことで、道中は本を読んだり時間を有意義に使える」「新幹線なら車よりも移動の疲労が小さくて済むし、事故の心配もほとんどない」と考える人もいるかもしれません。
そこに自分なりの合理性、つまり自分の時間とお金の価値を理解したうえでの判断を積み重ねていけば、納得性の高い生き方につながります。しかし、ただ「お金がもったいないから」という理由だけで自分の時間を投入するとしたら、そのほうがもったいない。なぜなら、その時間を使えばできたはずの他のことができなくなるからです。
逆に、ただ「面倒くさいから」という理由だけでお金を払うとしたら、それももったいない。なぜなら、そのお金があればできたであろう他のことができなくなるからです。
時間とお金の価値は状況によって変わるもの
たとえば数億円の取引につながる可能性のある商談に遅れそうという場合、タクシーを使ってでも時間を買ったほうがよいでしょう。逆に、仕事帰りで特に急ぎの予定もないという場合は、電車代節約と健康維持を兼ねて、最寄り駅から1駅手前で降りて歩いて帰るなどすればよいわけです。家に書棚が必要だというとき、家具店で買って業者に設置してもらうか、ホームセンターで材料を買ってきて自分で作るか。他にもっと重要なやるべきことがあれば、既成品を買ってでも時間を捻出したほうがよいし、急ぎで重要性の高いタスクがなければ自分で作って安く上げようという判断になります。
あるいは、仕事を多く抱えている状況での出張であれば、集中できる環境を買うため新幹線はグリーン席に乗るほうが合理的かもしれません。しかし、出張からの帰り道、疲れて仕事をする気力もなく、ビールを飲みながら弁当でも食べようという場合は、普通席で十分だし、「のぞみ」ではなく値段の安い「こだま」でもいいでしょう。
優先すべきは時間かお金か、状況に応じて考えるべき
このように、時間のほうが重要な局面もあれば、お金のほうが重要な局面もあります。つまり、「今の自分の時間価値・お金の価値」は一定ではなく、状況に応じて変わっていくということです。にもかかわらず、「お金がもったいないからタクシーは使わない」とか「新幹線はつねにグリーン車」という硬直的な発想では、時に大切な時間を失い、時に大切なお金を失ってしまうということになりかねません。
「今の自分の状況を考えたとき、お金を優先すべきか、それとも時間を優先すべきか」という2つの軸で冷静に考える必要があると思っています。
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