お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

33歳貯金200万円。子どものお金、住宅資金、老後資金、すべて不安です(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、共働きゆえ収入はあるが、生活費も何かとかかる33歳の会社員女性。結果、いっこうに貯蓄が増えず、教育資金、住宅資金、老後資金すべて不安とのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 現状のままなら住宅購入はリスク大

まずは教育資金から考えてみましょう。
現在加入している学資保険は、下のお子さんが2本加入で、満期金は満期時期が異なりますが計320万円。対して、上のお子さんが1本加入で200万円。高校までは公立だとすれば、事前に用意すべきは大学費用。進路を私立文系とすれば、大学にかかる費用は4年間でざっと400万円。したがって、満期金の不足分は280万円となりますが、ちょうど今ある貯蓄と同額ですから、学資保険の保険料は満期まで支払うということで、教育資金はほぼ用意できることになります。
 
では、住宅資金はどうでしょう。
いただいたデータでは、現在の貯蓄ペースは毎月の7000円(投資分2000円を含む)のみ。ボーナスからも貯蓄に回るのは5万円とのことですから、結果的に年間13万4000円の貯蓄となります。5年貯めても67万円。結果、まとまった住宅資金は用意できず、全額ローンということになります。

夫婦とも正社員ですから、おそらく金融機関は全額貸してくれるでしょう。そして、ローンの返済も含めたランニングコストが現在の家賃を上回らなければ、家計は赤字になりませんが、当然、それには無理があります。老後資金がまったく用意できない上、定年後もローンの支払いが続けば家計は一気に赤字になる可能性が高いからです。
 

アドバイス2 家計を見直せば年間200万円の貯蓄も可能

無理なく住宅購入を実現させるには、家計の見直しが必須となります。逆に言えば、それさえしっかりできれば住宅購入も十分可能と考えています。
 
最初に手をつけたいのが、実際の支出の把握です。
現状ですが、データ上での支出が約45万3000円。これに貯蓄7000円を加えると、46万円。対して世帯収入は50万9000円ですから、約5万円の行方が不明です。

また、ボーナスの使いみちについて「残りは生活費の補てん」とあります。これを計算すると年間で80万円。その中には突発的なコスト、不定期で発生する生活コストも含まれてはいるでしょうが、月割りにすると月6万7000円。これだけ大きい金額ですから、定期的、習慣的な支出があるとも考えられます。
 
ここで重要なのは、そういう支出の実態を把握しているか、ということです。何に、どれだけ支出しているかを認識できていないなら、それは使途不明金です。そしてそれが本当に必要な支出かを考えていく。その作業をしていかないと貯蓄はなかなか進みません。
 
具体的な貯蓄プランですが、毎月の収支で発生する行方不明の5万円、これは全額貯蓄に回るとします。

加えてデータに挙がっている支出からも5万円を削ります。候補となる費目は食費、趣味娯楽費、雑費と保険料(詳細は後述)あたりでしょうか。教育費もお子さん2人が小学校に上がれば、今よりぐっと下がるはず。結果、月10万円貯蓄に回すことができれば年間120万円。さらにボーナスから生活費の補てんの必要がなくなれば、年間で70万~80万円は貯蓄も可能。そして、年間で計200万円貯蓄できれば、5年間で1000万円貯めることができます。
 
貯蓄には、具体的な貯蓄目標と明確な目的、モチベーション(住宅購入など)が必要ですが、それをしっかり持てば、このくらいの高い貯蓄ペースも実現できると考えます。つまりは、それだけの世帯収入があるということです。
 

アドバイス3 家賃+3万円程度の住宅コストは対応できる

住宅ですが、貯蓄が1000万円となる(今ある貯蓄は教育資金に充てるので手をつけない)5年後に購入とします。そのときご主人41歳。住宅ローンを25年返済とすれば、完済は66歳。できれば60歳完済としたいところですが、高めの返済額はリスクがありますから、このくらいの期間はほしいところ。途中、貯蓄や退職金代わりの確定拠出年金を原資に繰上返済をすることでカバーしたいと思います。
 
自己資金ですが、1000万円のうち、住宅ローンの頭金に600万円、購入の諸経費に100万円を充てるとします(残りは手元におきたい資金)。現在の家賃と同等の返済額とすれば、月10万円。25年返済で金利をやや高めに2.0%(全期間固定、団体信用生命保険料込み)と設定すると、借り入れ可能額は2300万円ほど。頭金600万円を加えれば、購入可能な物件価格は2900万円。返済額を月12万円に引き上げれば3400万円となります。この物件価格で、あとはどれだけ希望に沿った物件を探すか、ということになるでしょう。
 
一戸建てを希望されていますので、マンションでの管理費や修繕積立金、駐車場料金は発生しませんが、固定資産税と将来の修繕費用を別途準備する必要があります。それらをランニングコストとして月割りで2~3万円とすれば、それに住宅ローンの返済額を加算した額が、毎月の住宅コストです。先の家計の見直しが引き続き可能なら、同コストは月15万円までなら返済に無理がなく、老後資金もそれなりにまとまった額が貯められると考えます。
 
最後に保険について。
ご夫婦がそれぞれ職場で加入されている生命保険ですが、保障内容から考えて、計2万6000円超の保険料は割高に思えます。例えば、夫婦それぞれ定期保険で死亡保障2000万円(保険期間15年)を確保すれば、保険料は計6000円ほど。さらに入院5000円の医療共済か医療保険に加入しても、夫婦で4000円ほど。1万~1万5000円は保険料が節約できます。加えて、こども共済も不要だと思います。検討してみてください。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武

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