個性派揃いの輸入車コンパクト
このクラスもクロスオーバーSUV人気がすさまじく、“背の低い”フツウのハッチバックモデルの影はどんどん薄まってきた。なかでもCセグメントは、そもそも近年になって“高級化と大型化”が進んでおり、結果的に中途ハンパなセグメントになってしまったような気がする。それに、なんだかんだ言って、このクラスの王者はVWゴルフなわけで、ゴルフがモデル末期を迎えた昨今、Cセグ市場が盛り上がってこないのもある意味当然なのかもしれない。 Bセグメント以下も、“安くて旨い”Kカーが幅を利かせる日本市場では厳しい戦いを強いられている。このクラスの王者であるVWポロが18年にフルモデルチェンジしたというのにこの体たらくだから、昔のようにちょっと洒落た小さな高級車、ファッショナブルなコンパクトカーに乗りたいなどという欲求自体がめっきり減ってしまったのかもしれない。実用実利優先、となれば国産Kカーにははるかに及ばないのは火を見るより明らかだ。
だからといって、輸入車がダメというわけじゃない。むしろ、以前に比べてもいちだんと個性派が揃っている。
Bセグ以下は“定番”がオススメ
■フォルクスワーゲン 多くの人にオススメできるのは、やっぱりポロ。フルモデルチェンジで、若干だけど若作り。走りのスポーティさを強調するあまり、乗り心地が損なわれた面もあるけれど、依然、完成度は高く、やっぱりこのクラスのスタンダードだと納得させられる。■MINI
コンセプトやエッセンスをクラシックミニから引き継ぎつつ、現代のニーズに対応した現代のMINI。3ドア(238万~450万円)に加え、コンバーチブル(373万~523万円)や5ドア(271万~407万円)もラインナップする
■フィアット トゥインゴやフォーフォーなど個性派も揃うなか、ある意味もはや個性派の定番となったフィアット&アバルト500も捨て難い。今さら、という感もあるけれど、ポップな色と組み合わせたフィアット500や、レーシーなサウンドを響かせて走るアバルト595の魅力は健在だ。
Cセグ以上は目新しさが重要
■メルセデス・ベンツ Cセグメントの最新モデルといえば、メルセデス・ベンツのAクラスだ。新型ゴルフが登場するまでの間、まずはAクラスを軸にしてこのセグメントの状況は推移していくと思う。で、Aクラス。苦節ン年、メルセデスがようやくFFをモノにしたようだ。従来型にはどこかしら“こんなんベンツちゃうがな”という不満があった。特に乗り味にベンツらしさのカケラもなかった。ところがどうだ、新型はけっこう“ベンツしている”。これならA(もしくはB、もしくはその他FF派生モデル)からCへのユーザーステップアップも望めそう。いつかはSクラスという夢を、Aクラスのユーザーも抱けるというものだ。
■フォルクスワーゲン 対向できるのは、正直、熟成したゴルフか、ゴルフ同等の乗り味を有するメガーヌもしくは308だけれども、目新しさが重要なこのセグメントでは、熟されただけじゃ正直辛い。
今買わなければならない、というなら、黙ってAクラスから選んだ方がいいだろう。
じっくり探すなら、人気モデルのモデルチェンジ待ち
いや、そんなに慌てて買い替えなくてもいいんだ、なんていう方は、ぜひ、ボルボとVW、そしてBMWの3ブランドが出す新型Cセグモデルを待ってみて欲しい。いずれも来年もしくは再来年早々に上陸するはず。新型のV40とゴルフ、そして1&2シリーズだ。V40に関してはだいたいの想像がつく。XC40の背の低い版だから。で、XC40がなかなかのもので、COTYを授賞したくらいだから、当然、そのスタンダード版にも期待が集まるというもの。
想像がつくという意味では、1シリーズと2シリーズの次期型もX2あたりを低くしたデザインになるのではないか。BMWもMベンツと同様にFFをモノにしつつあるから、楽しみな一台である。
そして、ゴルフだ。VWの最新路線から想像するに、より豪華になることは決定的。サイズも少し大きくなるはずで、そういう意味では“中途ハンパ”さがいっそう強まるという言い方もできるが、これが世界的潮流だから致し方無いところ。なんといっても人類は上にも横にも肥大中。ならばそれに合わせて、となるのは必然というわけだ。
新型ゴルフ(8)、おそらく、走りのみならず燃費対策も万全に登場するはずだ。
オススメはオールマイティか最後のチャンスか
■MINI 今、ボクが個人的にCセグメントを買うとしたら、何を狙うか。マジメな線で言うと、MINI JCW。乗って楽しい、買って楽しい、趣味的であり実用的でもある。何かとオールマイティな1台。オプション込みの車両価格がかなり高くなるのが難だけれど。■BMW もうこの先新車では買えないFRのCセグ、BMW 1シリーズも熟成極まって素晴らしい。乗るなら118dか、いっそ気張ってM140。次期型1シリーズはほぼFF化で決定した。このセグメントを後輪駆動で楽しむ最後のチャンスだ。
■アルファロメオ 買えない!という意味では、すでにディーラーでの発注販売が終了したアルファロメオミトもそう。アルファロメオはCセグのジュリエッタ以上に特化するらしく、ミト後継の次世代モデルはないらしい。探せばきっとどこかのディーラーに在庫があるはず。欲しいなら、急いだ方がいい。