空間イメージや心地よさに関わる床材
空間の中でも広い面積を占める床材は、インテリアのイメージを左右するとともに、歩いたり座ったりと肌が触れることも多く、心地よさにも大きく影響するアイテムです。選び方によっては、日々のお手入れやメンテナンスのしやすさなども異なりますし、費用も大きく変わります。床材を選ぶ際には、空間の使い方や暮らし方に合わせ、求める機能の優先順位を明確にして検討することが大切でしょう。
生活音が階下に伝わるのを抑える特殊クッション材を採用。高い防音性性能を持つマンション用床材。 [Interio ラシッサ Dフロア直張り防音床 施工例 ホワイトオークF] LIXIL
一般的な住宅に多く用いられるフローリング
一般的な住宅の居室に使われる床材は、フローリングやコルク、カーペット、クッションフロア、タイルなど多種多様。その中でも、多くの方が取り入れるのがフローリングでしょう。ハウスメーカー商品の標準仕様となっていますし、分譲住宅でも賃貸住宅でも広く用いられています。各メーカーからは、豊富な商品バリエーションが揃っているので、予算や好みに合わせて自由に選ぶことができる素材です。フローリングには実はさまざまな種類がある
フローリングとは、床仕上げ用板材のこと。いくつかに分類されますが、木質素材などの用い方(構成)では、大きく無垢材(単層フローリング)と複合(複層)フローリングに分けられます。また、多様な表面デザインや機能性などを持つタイプも揃っています。建材メーカーの商品には、一戸建て用とマンション用がラインナップされているので、施工する建物に適するタイプを選ぶことも基本です。
パーケット調のタイプを組み合わせることで空間にアクセントを。[Interio ラシッサ Dフロア 施工例 DK パーケット調+DK ナチュラルオークF] LIXIL
素材の用い方(構成)で分類される
■無垢材(単層フローリング)無垢材とは、切り出した天然木の一枚板を加工したもののこと。樹種によって異なりますが、一般的に、空気を多く含んでいるので保温性や断熱性が高いことが特徴。また、湿気の多い季節は余分な湿気を吸収し、乾燥しがちな季節は排出する調湿作用もあるので、夏は素足で歩いてもべとつかず、冬は静電気を抑えるのも魅力です。柔らかい樹種であれば弾力性もあるので、足腰への負担は少ないでしょう。
ただし、湿度の変化によって、膨張と収縮を繰り返すので、場合によっては、反りや割れなどが生じることも。最近では、耐久性や寸法安定性を高めるため、特殊な加熱処理を施した商品もみられます。 ■複合(複層)フローリング
複合(複層)フローリングは、合板などの基材の表面に化粧材を張り合わせたもの。用いる化粧材によって分類することができます。
・化粧シートタイプ
化粧シートタイプは、樹脂やオレフィン、紙などのシートに、木目や石目、抽象的な柄などを印刷したもの(プリントシート、樹脂化粧シート、特殊加工化粧シートなど)を基材に張り合わせたもの。品質や仕上がりが均一で、施工性に優れていることなどが特徴です。
・突板タイプ
突板タイプは、薄く削った天然木の単板(突板)を用いたもの。張り合わせる天然木はさまざまですが、単板の厚い方が、溝も深く木目が鮮やかです。商品によってはむく材のフローリングと区別のつかないものもみられます。
・挽き板タイプ
天然木を鋸などで挽いて切った、突板よりも厚みのある板(2mm程度)を基材に張り合わせたもの。無垢材のような質感を持ち、反りやゆがみなどの狂いがほとんどないのが魅力でしょう。
木の風合いやバラツキ感を実現できるフローリング。木目に沿った凸凹がある自然のテクスチャーを楽しむことができる。 [床材 真銘木フローリング145mm幅 施工例 うづくりオーク] パナソニック
表面に用いる材によってさまざまな表情がある
■幅広のタイプ幅があることで、高級感を得られるとともに、目地が少ないので掃除がしやすいというメリットもあります。
■パーケット
パーケット(寄せ木張り)のデザインなど、個性的なインテリアを生み出すことができる商品も増えてきています。
■石目・抽象柄
化粧シートタイプにみられるデザイン。モダンな空間や水まわりなど、清潔感のある雰囲気が魅力でしょう。
柔らかな表情を持つ、日本の石材を表現したフローリング。モダンな空間にもマッチする。[アーキスペックフロアーA 珊瑚石柄(ホワイトストーン)]
パナソニック
機能を持たせたタイプも揃う
■床暖房対応床暖房は人気の設備機器のひとつ。複合フローリングはもちろん、無垢のフローリングでも床暖房に対応可能な商品は多くみられます。また、仕上げ材であるフローリングと一体型の床暖房商品も豊富に揃っています。
■水まわり用
キッチン特有の汚れが落としやすく、掃除のしやすいタイプ。凹みなどに強い商品もみられます。洗面用のタイプは、水に濡れても滑りにくいもの、水や汚れが浸透しにくいタイプなどがみられます。トイレ用は、水や薬品に強いものや継ぎ目が少なく施工できる大判のタイプなどがあります。
■防音機能
高い防音性能を持つマンション用の床材。滑らかな肌触りの艶消し仕上げが魅力。[マンション用直張防音床材 オトユカピュアシルク40(96幅タイプ)] DAIKEN
■ペット配慮
ペットが滑りにくいように配慮されたタイプ、引っかき傷がつきにくく、お手入れしやすいものなど。また、おしっこへの対策を施したもの。アンモニアに強いもの、フッ素塗装などでシミになりにくくする工夫がなされた商品もみられます。
■ノンスリップ対応
高齢の方や介護が必要な場合など、滑りに配慮したもの。車椅子でも傷がつきにくく、水や汚れにも強いタイプがあります。
上張り(重ね張り)タイプのリフォーム向けタイプも
既存の床暖房システムの上から貼るだけのリフォーム専用床材。熱が伝わりやすいのが特徴。 [リモデル用床材 サーモプラス] DAIKEN
ショールームで実際の商品を確認すること
フローリングを選ぶ場合、実物をショールームで確認することは重要なポイント。広い面積に取り入れる素材なので、できる限り大きなサンプルで、色や柄、素材感や風合いなどの確認するようにしましょう。できれば、サンプルは床に置いてチェックすること。用いた時と同じ状態とすることで、光の具合による色味の違いや風合いなどを理解することができるでしょう。無垢と複合フローリングの素材感の違いなどは、サンプルをいくつか並べて比較を。実際に手を触れたり、実際に歩くなどして、検討することが大切なポイントです。
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