睡眠

徹夜すると気分がハイに?徹夜明けの昼寝・仮眠のコツ

【医師が解説】徹夜明けや夜勤明けは、気分がハイになり眠気や疲れを感じにくくなることがあります。しかし自覚できていないだけで体は疲れているので、適切にうまく回復させることが大切です。徹夜翌日の上手な昼寝・仮眠のコツを解説します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

夜勤や徹夜明けに眠気を感じにくくなるのはなぜ?

徹夜明けの退社

徹夜明けの朝……眠気と疲れのピークを越えると、なぜか眠気を感じなくなることがあります


徹夜明けや夜勤の後はなぜか気分がハイになり、眠気をあまり感じないことがあります。特に夜勤明けの場合は、そのまま休日モードで遊びに行ってしまいたくなる人もいるようです。

でも、ちょっと待ってください。

気分がハイなのは、一晩寝ていないからです。うつ病の治療法の一つに「断眠療法」というものがありますが、ここからもわかる通り、徹夜の後は通常の状態でも気分がハイになりやすいのです。

また、徹夜明けに気力が漲っているような気がしたとしても、本当に調子が良いわけではありません。自覚できていないだけで、本当は眠気もたくさん溜まっています。眠気は「体内時計」と「睡眠物質」によってコントロールされており、体内時計による眠気は朝になると自然と減りますが、睡眠物質は一晩分が溜まっています。眠気を感じにくくなっているだけで、実は眠らなければいけない状態なのです。
 

徹夜明け・夜勤明けの回復法……上手な昼寝のコツ

私たちの体温は1日の中で1~1.5度ほど上下します。早朝に最も低く、夕方から夜のはじめに最も高くなります。体温が高いときや体温が上がっているときは、眠気が減ります。夜勤明けで家に帰ってくる午前中は体温が上がってきているので、生理的に眠りにくい時間帯なのです。

ですから、この時間に一度眠るためには、少し工夫が必要です。
  • 徹夜明け・夜勤明けはサングラスなどをかけ、朝の強い光を避けて帰宅する
  • 自宅でも遮光カーテンや厚手のカーテンで部屋を暗くする
  • 眠る時間は午前中の数時間。翌日から通常通りの場合は夜の睡眠に悪影響を及ぼさないよう、遅くとも午後3時頃には起きるようにする
  • 夕方以降に眠気が残る場合、10分以内の軽いうたた寝で眠気をとる
勤務時間が不規則だったり夜勤が続いたりする場合、眠りたいのに眠れずに健康を害してしまうことがあります。その場合は、かかりつけ医に相談して睡眠薬を処方してもらうのもよいでしょう。ただし、この場合の睡眠薬は不眠症で飲む量の半分程度にとどめておきましょう。また、睡眠薬を飲んだ日は、自動車の運転など危険な作業を避けてください。
 

徹夜前・夜勤前・夜勤中もできれば仮眠を

午後の仮眠は、夜の睡眠を先取りする働きがあります。ですから徹夜になることがわかっている日や夜勤入りが決まっている日は、夜になる前に90分くらいの昼寝をしましょう。これまでの研究で、50~120分の昼寝には夜勤中の眠気を減らす効果があることが認められています。また、わずか20分の仮眠でも効果があったとする報告もあるので、夜勤前に少しでも眠っておくことが大切です。

徹夜中や夜勤中も、できれば完全に徹夜するのではなく、少しだけでも仮眠をとることが大切です。勤務中でも眠気が減ることで作業能率が高まり、注意力が保たれるので事故やミスも少なくなります。どの時間帯にどれだけの長さで仮眠を取ればよいのかは、まだはっきりわかっていませんが、予定や仕事内容・職場の実情と自分の体調に合わせて、少しでも仮眠をとれるように工夫してみてください。
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