妊娠の基礎知識/妊娠週数・出産予定日の数え方

出産予定日いつわかる?月経日やCRLでの計算・確定方法

出産予定日が確定すると、妊婦健診や母親学級のスケジュール、産休入りの日などが決まります。赤ちゃんの発育が順調かどうかの診断にも必要です。では、出産予定日はいつわかるのでしょうか? 最終月経初日、排卵日、受精日、胎児心拍確認など、妊娠初期のイベントや、胎児の「頭殿長(CRL)」から計算する、出産予定日の確定の流れを解説します。

赤岩 明

執筆者:赤岩 明

妊娠・出産ガイド

出産予定日は、いつ、どのように確定するのでしょう?最終月経初日、排卵日、受精日、胎児心拍確認などの妊娠初期イベントや、胎児の「頭殿長(CRL)」から計算する、出産予定日確定の流れを解説します。
 
出産予定日(分娩予定日)とは
妊娠初期イベント
頭殿長(CRL)で出産予定日を計算する方法
出産予定日はいつどのように確定する?
妊婦健診の初回受診
 

出産予定日(分娩予定日)とは

古代ギリシャの医師ヒポクラテスが、「人間の平均妊娠持続期間は40週(280日)である」と記録していますが、現在の出産予定日の定義も、「最終月経初日に280日(40週0日)を加えた日を出産予定日とする。月経周期が28日を大きく外れている場合には、そのずれた日数を修正する」となっています。
出産予定日

出産予定日と週数別分娩数比率(1997年~2001年)


このグラフは、妊娠42週まで積極的な分娩誘発を行わなかった場合の、週数別分娩数比率です(1997年~2001年)。出産予定日を中心に、妊娠37週0日~41週6日の正期産が93%、妊娠22週0日~37週0日未満の早産が4%、妊娠42週0日以降の過期産が3%となっています。

妊娠週数を基準にして、流産・早産予防、赤ちゃんが小さい・大きいの判断や、分娩誘発が行われます。そのため出産予定日が不正確であれば、正しい判断はできないので、できるだけ正確な予定日を決める必要があります。

ちなみに、現在は妊娠41週の内に分娩誘発を行うことが多く、42週以降の過期産はもっと少なくなっています。

 

妊娠初期のイベント
最終月経初日、排卵日、受精日、妊娠反応、胎嚢確認、胎児心拍確認

下記は、月経周期が28日型の方の妊娠経過です。
最終月経

最終月経と分娩予定日

 
  • 最終月経初日を0日として、満で数えて280日目が出産予定日。妊娠週数は満、妊娠月は数えで表す。例えば、妊娠2ヶ月は妊娠28~55日目、妊娠4週0日~妊娠7週6日。
  • 排卵日は、14日目。
  • 受精日 排卵日が受精日。精子は子宮内で5日以上生きており、性交した日とは限らない。
  • 予定月経日 もし妊娠していなかったら、月経が始まっていた日
  • 妊娠反応陽性 妊娠していれば、予定月経日頃に妊娠検査薬は陽性になる。
  • 胎嚢確認 妊娠4週末以降に子宮の中に見える袋。
  • 胎児心拍確認 妊娠6週0日頃から心臓の拍動が確認できる。
  • 頭殿長(CRL) 胎児の頭部および殿部の最先端を結ぶ直線距離。CRLが13mmは8週0日43mmは11週3日に相当し、この間のCRLが予定日を決めるのに適しています。
 

頭殿長(CRL)13mm~43mmの間で出産予定日を計算

 
頭殿長(CRL)超音波写真(妊娠初期)

【頭殿長(CRL)超音波写真】CRL23.0mm  妊娠9週2日相当(妊娠66日目、妊娠3ヶ月)出産予定日は214日後


妊娠反応が陽性、胎嚢を確認できても、約15%の人は流産になります。妊娠8週、CRL13mmになれば、流産の可能性は約2%に減ります。

妊娠初期の胎児は生命の歴史をたどるとされています。CRL13mmは生命が海から上陸した時期に相当しており、魚のような鰓(えら)や尾のある頃が終わり、哺乳類の心臓、肺や手足の元ができ始めます。
妊娠初期の頭殿長(CRL)の成長の様子

妊娠初期の頭殿長(CRL)13mmまでは、地球上の生命の歴史をたどる(進化発生学)


CRLが43mmを越えると、胎児自身が丸くなったり、背伸びをしたりするので、長さが正確に測れなくなります。出産予定日は、流産の可能性が減り、計測誤差の少ないCRL13~43mmの間で標準値から妊娠週数を判断し、計算します。

 

出産予定日はいつ言われる?どのように確定?

  • 月経が順調で最終月経が正確に分かっている場合……
    最終月経初日から280日目が予定日
  • 月経が不順な人、最終月経が不明な場合……
    CRLが13~43mmで診察し、妊娠週数を判断して、予定日を計算する
  • 排卵日・受精日が推定できる場合……
    基礎体温、人工授精、体外受精、胚移植などの情報で推定される受精日から266日目を予定日とする
いずれの場合も、CRL13~CRL43mm(8週0日~11週3日)の間で診察し、妊娠週数と一致するかを確認します。もし、5日以上ずれている場合には、予定日を修正することもあります。どの程度のずれで予定日を変更するかは、施設や先生によって異なります。

 

妊婦健診の初回受診はいつが良い?内容は?

初回の妊婦健診受診で妊娠を確認し、次の健診で、妊娠初期検査、妊娠週数の確認、出産予定日の決定を行います。つまり、妊娠反応が陽性に出てから妊娠11週までの間に、最低2回の受診が必要です。

■最終月経が確かで、月経周期が順調な方
月経が遅れて2週目頃の初回受診がお勧めです。心配な方は、いち早く受診しても悪くはありませんが、早すぎると診断がはっきりしないこともあります。

■最終月経が不明、月経周期が不順な方
妊娠反応が陽性に出たら、2週間以内で早めに受診してください。もし、2ヶ月以上遅れている場合には、出産予定日が不正確になることもあります。  

■出産を考えている施設が分娩を制限している場合
分娩制限のある施設では、出産予定日の決定、妊娠初期検査は、自施設で行うと決めているところも少なくありません。他院での不正確な予定日決定や、検査項目の不備により苦労されたからだと思いますので、その方針は理解できます。責任を持って出産を担当するためですから、その施設の指示に従って早めに受診しましょう。最近、大阪でも妊娠8週頃までに初回受診しないと分娩予約が取れない周産期センターがあります。

■不妊症専門施設で治療を受けておられた方
不妊治療で妊娠された方は、治療内容にもよりますが、かなり正確に出産予定日が決定されています。妊娠反応が陽性に出て、自己判断で産科施設を受診するのではなく、まず、不妊治療を受けていた施設を受診し、産科施設への紹介状を持って初回受診して下さい。


出産事情は地域差があり、都会では分娩を制限している病院も増えています。妊娠反応が陽性に出たら、まず、地域の情報を手に入れましょう。
現在、その施設が提供・発信している情報を確認します。ネット情報の中には古いものもあります。里帰りを考える人は、里帰り先の事情も確認してください。実家の母親の経験や、友人の過去の情報は役に立たないこともあります。

 

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