メキシコのチョコ事情。チョコレートはドリンクです。
チョコレートは「固形」と認識している私たち日本人にとって、メキシコのチョコレート事情は意外です。メキシコの人は、ほとんどチョコレートを「食べ」ません。チョコレートを「飲んで」いるのです。例えば…… 私がステイしたオアハカのホテル「Casa de Mis Recuerdos」の美しいセニョーラは毎朝、モリニーニョと呼ばれる棒で丁寧に泡立てチョコレートドリンクを作ってくれました。これは特にトラディショナルな演出でなく、日常的なことだそうです。 また、タパチュラ(ソコヌスコ地方)のスーパーマーケットでは、チョコレートの棚の8割以上がドリンク用チョコレート。固形のチョコレートバーはごく僅かです。
オアハカ在住の方に尋ねると「メキシコで『チョコラテ(スペイン語のチョコレート)』と言えば、場合にもよりますが大抵ドリンクのことですよ。食事の席で『チョコラテ欲しい?』と聞かれたら十中八九ドリンクのことで、朝食や夜のための『チョコラテ』もドリンク。カフェで『チョコラテください』と注文されたら、誰もがドリンクをイメージしますよ」とのこと。 首都のメキシコシティでは状況が異なり、世界の大手メーカーのチョコレート、ボンボンショコラを見かけましたが、それでもメキシコの広い範囲でやはり「チョコラテ(チョコレート)」といえば一般的に「飲む」ものです。
チョコレートの街 オアハカへ行こう!
そんなメキシコのチョコレート事情を知るために、訪れた街が「オアハカ」。チョコレート好きな方にはぜひお勧めします。私に同行してくださったオアハカ在住のガイド・佐藤さん曰く「メキシコでチョコレートの街、といえばオアハカですよ!」とのこと。地図で位置をご覧ください。
オアハカは“ザ・メキシコ”を体感できる都市です。世界遺産が2つもあり(1987年に認定されたオアハカ市内の旧市街と郊外にあるモンテ・アルバン遺跡)、メキシコで先住民族が最も多い州です。 アメリカの富裕層向けマガジン『トラベル+レジャー』の「世界で訪れたい都市」ランキングで世界2位を獲得するほどの人気都市で(ちなみに5位が京都)、チョコレートはオアハカの最も人気の高いお土産だそう(うれしい!)。
■ーーーーー■ オアハカへ行く方法 ■ーーーーー■
メキシコシティ国際空港から国内便で、オアハカ空港まで1時間ちょっと。空港から中心部までは車で30分ほど。
チョコレートの街「オアハカ」のチョコレート店とは?
世界遺産であるオアハカの旧市街を歩いていると、いくつものチョコレート店があります。が、日本人の私たちがイメージするチョコレート店とは異なり、典型的な店内はこんな感じ。 え??これがチョコレートショップ?という感じですよね?そうです。オアハカのチョコレート屋さんはほぼこんな感じ。「チョコレート=お湯またはホットミルクで溶かして飲むもの」なので、「チョコレートドリンクの素」をその場で作ってくれるお店が存在します。自宅に常備するため、オーダーは2キロ以上がほとんど。 各種ブレンドがメニュー表にあり、「1×2×2×2」のように書いてある4つの数字は「カカオ・砂糖・シナモン・アーモンド」の割合です。甘さの度合いや、細かいブレンド方法は色々。ローストした皮付きカカオがスタンダードで、皮なし(Pelado)も選べます。お店によっては、発酵・ローストした豆(Fermentado)か、未発酵豆(Lavado)かを選べることも。
オリジナルブレンドチョコレートを作ってみた!in オアハカ
「あなたの好みに応じたカスタマイズもOK」とのことでしたので、それならばと作っていただきました。Peladoで砂糖抜きで。甘すぎが苦手な私向け「ノンシュガー・Ayumiブレンド」です。 2キロスーツケースに入れて持ち帰るのもどうか?と冷静に考え、1キロオーダーしました。まずはカカオ、シナモン、アーモンドが手際よく計量され、マシーンに入れられ、ガーーーーっという音とともに即ミックス。熱々のチョコレートが流れ落ちてきます。それをヘラできれいにすくい取り、(砂糖を入れる場合は再度マシーンに通して、2度ガーーーーっ)、ビニール袋や、プラスチックパックに入れられ、はい、3分くらいで完成。早い。 出来上がりは熱々のペースト。早めに自宅に帰って、温かいうちに小さいサイズに丸めたり切ったりして小分けしないと大きなまま固まってしまうので注意(お餅のごとく)。小さく冷え固まったら、瓶等に保存します。それを常に自宅に常備し、朝はお湯を加えてホットチョコレートにしたり、料理のソース(モーレ)に使うのがメキシコ流。
お土産用・忙しい人用には、すでにミックスしたものの量り売りや、小分け済パックの販売もあります。 お店にいると、次々と(なぜかお父さん?的な男性を多く見かけましたが)「2キロでいつものこのブレンドをお願い」という感じで人が訪れてきました。
そして地元の各家庭で、代々好みのチョコレートのブレンドを受け継いでいる、というのは心温まる話でした。
「おばあちゃんの代はとても甘かったから、私の代は少し砂糖を減らしているのよ」という女性がチョコレートドリンクを作ってくれましたが、それでも私にはわりと甘め(笑)。メキシコの方は甘いものが大好きです。
オアハカ郊外、オコトラン市場では、山盛りにして売られているカカオを見ました。こんな光景は、日本の日常ではありえませんよね?
ここでは多くの女性たちがお買い物をしていました。買ったカカオ豆は自宅で炒って、砂糖やシナモンと一緒にすりつぶしてチョコレート(もちろんドリンク用、時々料理用)を作るそう。この国で、カカオは何も特別なものではありません。飾らぬ日々の食卓に、いつものようにあるのです。
メキシコで生産され、収穫されるカカオは、ほとんどメキシコ国内で消費されますが、その理由はこの国の人々の暮らしにチョコレートが欠かせないからです。
メキシコからスイーツケースに入れて持ち帰った「Ayumiブレンドのチョコラテ」は東京の自宅の冷蔵庫に入れてあります。
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