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「学校選択制」のメリット、デメリット
入学する学校を指定される「学区制」に対し、自由に選べる「学校選択制」が一部地域で導入されています
日本の従来の制度は、「学区制」が一般的でしたが、昨今、東京都や大阪府の一部の地域をはじめ、いくつかの地域で、学校選択制を実施している所があります。子どもの就学をめぐって、どちらの地域に居住するか、転居を考える家庭も最近はあるようです。
学区制と学校選択制の違いをもう少し詳しく説明します。
学区制……居住地により就学する学校が指定される
子どもが就学する公立小学校・中学校を市町村教育委員会が、居住地によって指定する制度を「学区制」と言います。就学指定される学校は、基本的に自宅から近い学校となりますが、行政区分との兼ね合いや、昨今、子どもの数の減少で、学校が統廃合や廃校となり、必ずしも一番近い学校とは限りません。学校選択制……学校を自由に選べる
「学区制」に対して、学校を自由に選べる制度が「学校選択制」です。市町村教育委員会があらかじめ、保護者の意見を聴取し、その意見を踏まえ、就学する学校を指定します。ただし「自由に選べる」と言っても、各自治体により、選択の仕方の形態が異なります。次に主なタイプを説明します。
- 自由選択制
市区町村内の全ての学校のうち、希望する学校に就学できる - ブロック選択制
市町村内をブロックに分け、そのブロック内の希望する学校に就学できる - 隣接区域選択制
従来の通学区域は残したままで、隣接する区域内の希望する学校に就学できる - 特認校制
従来の通学区域は残したままで、特定の学校について、通学区域に関係なく、市町村内のどこからでも就学できる - 特定地域選択制
従来の通学区域は残したままで、特定の地域に居住する者について、学校選択を認められる - その他
上記以外のもの
学校選択制のメリット1:通学の利便性を考え学校を選べる
一般的に学区制は、自宅から近い学校に通えるように決められているのですが、中には教育行政上の区分の仕方によって、近くに学校があっても、遠方の学校に通わなければならいことも生じてきます。そして交通量の多い道路や人気の少ない道を通らなければならない場合、親としては不安や心配を感じることもあるでしょう。ですが学校選択制であれば、通学の利便性を考え、学校を選らぶことができます。学校選択制のメリット2:子どもの個性を考えて学校を選べる
学校選択制により、各学校が独自の特色を出してきています
また学校選択制を導入している市区町村では、「特色ある学校づくり」を掲げている所が多くあります。それは単に他校との違いを出すだけでなく、地域の特色を活かしたり、自主的な学習活動を導いたり、中学校では部活動に力を入れ、強い競技種目があったりと、特色ある教育活動を行っています。子どもの得意とするスポーツや芸術などを考えて、学校を選ぶことができます。
学校選択制のデメリット1:遠方になることがある
学校選択制は、希望する学校が遠方になる可能性もあります。そうなると通学に要する時間が長くなり、安全面や体力の消耗を考えると、デメリットとなるでしょう。学校選択制のデメリット2:希望する学校に入学できるとは限らない
学校選択制の場合、あらかじめ保護者の意向を聴いて、それを踏まえて各自治体の教育委員会が入学する学校を指定します。ですので必ずしも希望する学校に入れるとは限りません。学校には、募集人数が決まっていますので、その枠を超過すると、抽選が行われます。ですので、兄弟であっても、同じ学校に通えないというケースも生じてきます。
「学校選択制」導入を通し、子どもの将来や教育環境を考える
学校選択制を導入している小学校は全体の約16%とまだまだ少ないのが現状です(「小・中学校における学校選択制殿実施状況について」文部化科学省2012年10月調査)。今後、導入を検討している所もあれば、反対に見直しを検討している自治体もあるようです。今までは、子どもが小学校入学をむかえると、教育委員会から指定され学校に就学することが一般的でしたが、これからは、公立学校の就学についても多様化してきます。親は自分が住んでいる地域は、どの制度を適用しているのかを知り、学校選択制であれば、各学校の特色を調べましょう。また学区制であっても、就学する学校の様子や地域との関わりなどを知っておきたいですね。
「学区制」「学校選択制」どちらの地域であっても、この学校選択制の導入が、子どもの性格や得意とすることなどをしっかり見極め、学校や教育環境を考えるきっかけになるといいですね。
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