アドバイス1 今の貯蓄ペースを維持できれば教育、老後の資金は問題なし
(1)の教育資金と老後資金ですが、まずは今後のキャッシュフローを考えてみましょう。毎月の貯蓄額は10万円、ボーナスからは100万円。加えて、iDeCoで月1万2000円積み立てています。ゆうママさんが定年となる65歳までの32年間、このペースで貯蓄と投資を続けると、今ある資産と合算すると貯蓄が7340万円、iDeCoは約340万円(積立は60歳まで。投資商品の評価額は購入時と変わらないとする)となります。このうち、教育資金は貯蓄からの捻出となります。また、貯蓄以外に学資保険の満期金として計600万円、用意できていることになります。
一方、かかる教育費ですが、大学以降については、国立大学理系と大学院にかかる学費と仕送り費用(5万円)は親が負担するとのこと。学費は6年間で380万円ほど。これに仕送り費用が360万円。計740万円の2人分ですから1480万円。これを貯蓄から差し引いて、残るのは6460万円。
もちろん、高校まででも教育費が現時点での1万円では済みません。食費や水道光熱費等の生活費も当然、増えていきます。そういった子育てにかかる費用を考慮してもまだ5000万~5500万円は残るでしょう。その意味で、教育資金は今の貯蓄ペースで十分足ります、収入アップを考える必要はありません。
次に老後資金ですが、65歳の定年時までに、教育資金等の子どもにかかる費用以外では、クルマの買い替えが大きな支出となります。回数はあと3~4回。車種によっても金額が大きく異なりますが、仮に毎回200万円を要するとして、4回なら800万円。一方、支出も途中、奨学金を完済したり、保険料負担が減ったり、お子さんが家から出るといったことで、生活費も下がります。結果、少なくとも5000万円は手元に残るはず。これに退職金2000万円、iDeCoの積立分340万円を加算した額の7000万円台半ばが、いわゆる老後資金となります(他に年金額の不明な個人年金保険あり)。
では、これで老後資金は足りるかと言えば、一般的な老後を過ごすなら十二分に足ります。現在の生活費とほぼ同程度の支出とすると、老後の生活費は月25万円程度(旅行、クルマの費用等、ボーナスから捻出していたコストは月割りで加算)。年金の受給額は不明ですが、不足分は月7万~10万円。仮に10万円としても、90歳までの25年間で3000万円。半分以上が残ります。介護や病気等の医療費、あるいは長生きリスクを想定しても、まず心配はないでしょう。
アドバイス2 保険は現状のままで、住宅コストは貯蓄から捻出
(2)の保険については、支払い保険料だけを見れば、確かに高額です。しかし、うち4万5000円は貯蓄と同じ。純粋な保険料としては月8000円ですから、決して高いとは言えません。保障額については、死亡保障は定期保険で上手に確保されていると思います。医療保障もさほど過大にはなっていません。あえて言えば、こども共済は不要ですが、家計に余裕がありますので「安心料」として続けてもいいでしょう。
(3)の住宅ですが、一生賃貸という選択について、何ら問題はありません。お子さんが独立したら、利便性の高いエリアに引っ越すという考えも合理的です。そのための資金も、家賃が現状とさほど変わらないなら、あえて用意する必要はありません。先の貯蓄ペースが継続できれば、そこからかかる経費(引越し代等)を十分捻出できます。
アドバイス3 子どもが小さいうちはリスクは避けたい
最後に(4)の資産運用ですが、効率よく資金づくりをするなら、確かに「増やす」という意識も大切です。ですが、お子さんが2人いて、まだ小さいことを考えれば、収入は高くとも、リスクは取りたくはありません。現在、iDeCoをされていて、掛金は月1万2000円。実際に買われている商品の内容はわかりませんが、投資は今のところこれで十分だと考えます。iDeCo同様、つみたてNISAも売却益や配当金等が課税されませんが、iDeCoには節税という大きなメリット(掛金が全額所得控除となる)があります。その点でも、現状のままでいいでしょう。
相談者「ゆうママ」さんから寄せられた感想
いつもオールアバウトの記事を拝見して、先生方のアドバイスを参考に工夫して家計管理に取り組んできましたので、今回、尊敬する深野先生から直接アドバイスをいただけて本当に嬉しかったです。我が家は、主人が自営業兼主夫の為、収入アップする必要があれば、主人と子どもとの時間を削るべきなのか家族で悩んでいました。深野先生からアドバイスをいただき、現在の貯蓄額を維持できれば、教育費と老後資金が確保できそうだと分かり、安心して子どもとの時間を過ごせます。保険は、子どもの共済は保障内容などを確認して再検討してみます。投資は不安がありましたので、今はリスクをとる必要はないとの事で、今まで通りコツコツと貯蓄を続けていきます。賃貸のままでも住宅費用に問題が無さそうだと教えていただき、安心しました。今回は貴重なアドバイスをいただき本当にありがとうございました。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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