教育と老後の資金作り、保険や住宅、資産運用も不安です

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、自営業の夫に家事や育児を任せ、伸び伸びと仕事に打ち込む33歳の公務員女性。現状のままで、教育資金や老後資金が用意できるか、保険は適正か、投資の必要性等、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)
 
教育と老後の資金作り、保険や住宅、資産運用も不安

教育と老後の資金作り、保険や住宅、資産運用も不安




■相談者
ゆうママさん(仮名)
女性/公務員/33歳
九州/賃貸住宅
 
■家族構成
夫(自営業/30代)、子ども2人(8歳、0歳)
 
■相談内容
去年から、教育費と老後資金を貯めるために貯金に励んでいます。家計に関して、4つの悩みがありますので、アドバイスを頂けたら幸いです。
(1)
主人が自営業なのですが、経費がかかり実質の収入は毎月2万円程度です。子どもの育児や家事は殆ど全てを主人がしてくれているので、できればこのまま家で仕事をしてくれると、私は思いっきり仕事ができて幸せです。子どもの勉強も家庭教師並みに教えてくれるので、塾などに行かなくても長男は勉強が得意です。子ども達もお父さんとたくさん遊べて楽しいみたいで、今の生活を維持できればいいと希望していますが、今の貯蓄ペース(年間220万円)で教育費や老後資金が足りるか不安です。資金が不足するようであれば、どのくらいの収入アップを目指すべきかアドバイス頂けたら嬉しいです。

(2)
保険料が高いのですが、見直しが必要かアドバイスを頂けたら幸いです。月額の保険料は5万3000円になっています。貯蓄としての保険の割合も多いのですが、教育費と老後資金の一部になるかと思い加入しています。多すぎでしょうか。また、保障としては十分でしょうか?
 
(3)
現在賃貸の戸建てに住んでいますが、一生賃貸物件で過ごしたいと考えています。戸建ての賃貸物件に住んでみて、子ども達が独立したら大きい家は必要ないと思うので、老後は利便性の高い地方都市の、駅近の1LDKのマンションに住むことを希望しています。持ち家ではないので、老後も住宅費が必要になると思っていますが、どのくらい資金の準備が必要でしょうか。老後の1LDKのマンションは管理費込みで7万円程度と考えており、現役時代と住宅費は変わらない想定です。

(4)
リスクの高い投資などは不安があるのであまりしたくないですが、資金作りのためには、資産運用も必要になるでしょうか? その場合、どのような運用方法が良いでしょうか? つみたてNISAはどうでしょうか? 投資についてはまったく知識がありませんので、アドバイスいただけたら幸いです。
 
ご相談したい点が多く、お手数をおかけしますが、何とぞよろしくお願いします。
 
■家計収支データ
相談者「ゆうママ」さんの家計収支データ

相談者「ゆうママ」さんの家計収支データ


 
■家計収支データ補足
(1)ご主人の収入について
夫の収入は今後も継続的に得られる可能性が高い。自営による借入等はなし。
 
(2)ボーナスの使いみちについて
貯蓄100万円、レジャー費20万円、帰省費用8万円、冠婚葬祭お年玉費用7万円、医療費や家電や車両費などの臨時費用積立15万円。その他は、10万円(子どもの学校や家での勉強の教材費、書籍代、誕生日やクリスマスプレゼント代)
 
(3)加入保険について
[夫]
・医療保険(入院実費型、先進医療補償特約、5年更新)=保険料1300円
[妻]
・個人年金(満期60歳、10年確定)=保険料6000円
・定期保険(死亡保障3000万円、保険期間20年)=保険料4000円
・医療保険(入院実費型、先進医療補償特約、差額ベッド代特約、5年更新)=保険料1700円
[長男]
・学資保険(満期額300万円、17歳満期) =保険料1万9000円
・こども共済=保険料1000円
[次男]
・学資保険(満期額300万円、17歳満期) =保険料1万9000円
・こども共済=保険料1000円
 
(4)奨学金返済について
残高309万円、完済は平成40年。可能であれば繰上返済したいが、適当な時期がわからない。
 
(5)妻の勤務先の退職金と定年について
定年は65歳。再雇用制度で70歳まで勤務可能。退職金は2000万~3000万円。
 
(6)子どもの進路について
中高で私立に入学する可能性は、周辺に私立がないため、ほとんどない。ただし、大学は他県に進む可能性が大。夫婦とも国立大学理学部出身のため、国立大学理系の4年間と大学院2年間の学費と仕送り費用(月5万円程度)は負担したいと考えている。私立に進学の場合は、その差額分は本人負担とすることを本人には伝えるつもり。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 今の貯蓄ペースを維持できれば教育、老後の資金は問題なし
アドバイス2 保険は現状のままで、住宅コストは貯蓄から捻出
アドバイス3 子どもが小さいうちはリスクは避けたい
 

アドバイス1 今の貯蓄ペースを維持できれば教育、老後の資金は問題なし

(1)の教育資金と老後資金ですが、まずは今後のキャッシュフローを考えてみましょう。毎月の貯蓄額は10万円、ボーナスからは100万円。加えて、iDeCoで月1万2000円積み立てています。ゆうママさんが定年となる65歳までの32年間、このペースで貯蓄と投資を続けると、今ある資産と合算すると貯蓄が7340万円、iDeCoは約340万円(積立は60歳まで。投資商品の評価額は購入時と変わらないとする)となります。
 
このうち、教育資金は貯蓄からの捻出となります。また、貯蓄以外に学資保険の満期金として計600万円、用意できていることになります。

一方、かかる教育費ですが、大学以降については、国立大学理系と大学院にかかる学費と仕送り費用(5万円)は親が負担するとのこと。学費は6年間で380万円ほど。これに仕送り費用が360万円。計740万円の2人分ですから1480万円。これを貯蓄から差し引いて、残るのは6460万円。
もちろん、高校まででも教育費が現時点での1万円では済みません。食費や水道光熱費等の生活費も当然、増えていきます。そういった子育てにかかる費用を考慮してもまだ5000万~5500万円は残るでしょう。その意味で、教育資金は今の貯蓄ペースで十分足ります、収入アップを考える必要はありません。

次に老後資金ですが、65歳の定年時までに、教育資金等の子どもにかかる費用以外では、クルマの買い替えが大きな支出となります。回数はあと3~4回。車種によっても金額が大きく異なりますが、仮に毎回200万円を要するとして、4回なら800万円。一方、支出も途中、奨学金を完済したり、保険料負担が減ったり、お子さんが家から出るといったことで、生活費も下がります。結果、少なくとも5000万円は手元に残るはず。これに退職金2000万円、iDeCoの積立分340万円を加算した額の7000万円台半ばが、いわゆる老後資金となります(他に年金額の不明な個人年金保険あり)。
 
では、これで老後資金は足りるかと言えば、一般的な老後を過ごすなら十二分に足ります。現在の生活費とほぼ同程度の支出とすると、老後の生活費は月25万円程度(旅行、クルマの費用等、ボーナスから捻出していたコストは月割りで加算)。年金の受給額は不明ですが、不足分は月7万~10万円。仮に10万円としても、90歳までの25年間で3000万円。半分以上が残ります。介護や病気等の医療費、あるいは長生きリスクを想定しても、まず心配はないでしょう。
 

アドバイス2 保険は現状のままで、住宅コストは貯蓄から捻出

(2)の保険については、支払い保険料だけを見れば、確かに高額です。しかし、うち4万5000円は貯蓄と同じ。純粋な保険料としては月8000円ですから、決して高いとは言えません。

保障額については、死亡保障は定期保険で上手に確保されていると思います。医療保障もさほど過大にはなっていません。あえて言えば、こども共済は不要ですが、家計に余裕がありますので「安心料」として続けてもいいでしょう。
 
(3)の住宅ですが、一生賃貸という選択について、何ら問題はありません。お子さんが独立したら、利便性の高いエリアに引っ越すという考えも合理的です。そのための資金も、家賃が現状とさほど変わらないなら、あえて用意する必要はありません。先の貯蓄ペースが継続できれば、そこからかかる経費(引越し代等)を十分捻出できます。
 

アドバイス3 子どもが小さいうちはリスクは避けたい

最後に(4)の資産運用ですが、効率よく資金づくりをするなら、確かに「増やす」という意識も大切です。ですが、お子さんが2人いて、まだ小さいことを考えれば、収入は高くとも、リスクは取りたくはありません。現在、iDeCoをされていて、掛金は月1万2000円。実際に買われている商品の内容はわかりませんが、投資は今のところこれで十分だと考えます。

iDeCo同様、つみたてNISAも売却益や配当金等が課税されませんが、iDeCoには節税という大きなメリット(掛金が全額所得控除となる)があります。その点でも、現状のままでいいでしょう。
 

相談者「ゆうママ」さんから寄せられた感想

いつもオールアバウトの記事を拝見して、先生方のアドバイスを参考に工夫して家計管理に取り組んできましたので、今回、尊敬する深野先生から直接アドバイスを頂けて本当に嬉しかったです。我が家は、主人が自営業兼主夫の為、収入アップする必要があれば、主人と子どもとの時間を削るべきなのか家族で悩んでいました。深野先生からアドバイスを頂き、現在の貯蓄額を維持できれば、教育費と老後資金が確保できそうだと分かり、安心して子どもとの時間を過ごせます。保険は、子どもの共済は保障内容などを確認して再検討してみます。投資は不安がありましたので、今はリスクをとる必要はないとの事で、今まで通りコツコツと貯蓄を続けていきます。賃貸のままでも住宅費用に問題が無さそうだと教えて頂き、安心しました。今回は貴重なアドバイスを頂き本当にありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武
 



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