フランス、パリの季節と服装、イベント
春から夏にかけて花が咲き乱れるパルク・フローラル(花公園) © Paris Tourist Office - Photographe : Amelie Dupont |
四季のあるほとんどの国と同じく、フランス旅行に向いている季節は、過ごしやすい春か秋です。特に5月から6月にかけてと9月から10月にかけてはフランスで観光客が最も多くなる時期ですので、ホテル予約はなるべく早めにしたいところ。夏も日本に比べ蒸し暑くないので気候的にはおすすめですが、たまに来る猛暑の年に当たる場合があり、その間の数週間は日本の猛暑と同じくらい暑くなるので要注意。それからパリでは8月はバカンスでお店がほとんど閉まるので、パリでのショッピングやレストランを楽しみたいと思っている人はこの時期は避けた方が無難です。
フランスでの観光シーズンはサマータイム期間と同じ4月から10月までを中心にオンシーズン、それ以外をオフシーズンと設定されている場合が多く、オフシーズンでは美術館や観光スポットの開館時間が短くなったり、場合によっては休みになることも。地方の路線バスも、路線によってはオフシーズンは運行していなかったりする場合もあります。ホテルも、オン/オフシーズンでの値段も差があるところがあり、このオン/オフの期間設定もホテルにより違いますので、事前に確認をして下さい。
冬のクリスマス時期にはイルミネーションが始まり、夜の街が華やかに彩られますが、やはり寒さや日照時間の短さのせいか少し寂しい印象を受けます。特に南仏ではミストラルという強い季節風が吹き一層寒さが厳しくなりますので、南仏特有ののんびりとした空気を味わいたかったら冬以外を選ぶことをお薦めします。が、その他の地方では、ぶどうの収穫を祝うワインのイベントが多く開催されたり、生ガキやジビエなど、フランスならではの食材を美味しく味わえるのは秋から冬にかけて。グルメがテーマの旅なら冬のフランスも悪くないかもしれません。
ちなみに、フランスの祝日はカトリックの国であることから宗教にちなんだものがほとんどで、年によって日付が違う移動祝祭日があります。文中で日付が記載されていない場合は移動祝祭日ですので、こちらで確認してください。日曜日と祝日は年中無休のカフェやファストフード店を除き、ほとんどのレストランやブティックなどのお店がお休みになりますので注意が必要です。美術館などの観光スポットは定休日以外は開いていますのでご安心を。
フランスでは、一年を通して面白いイベントも数多く行われます。興味のあるものは事前にチェックし積極的に参加すれば、普通の観光旅行よりも充実したものとなること必至。それでは、月毎に行われるイベントと祝日を紹介していきましょう。
1月(パリの平均気温4.0℃)
新年のフランスは、クリスマス休暇が長い分年明け2日から早くも動き出します。まず、新年早々始まるセールは絶対に逃せないイベント。洋服だけでなく、雑貨や家電など、ありとあらゆる商品がセールの対象となるので、この時期にまとめ買いするというのがフランス人の常識。最近では、この冬のセールまでクリスマスプレゼントを買うのを待つ人も増えています。- 祝日:1日(元旦)
- イベント:2日以降の最初の水曜日から(セール)
2月(パリの平均気温4.6℃)
2月のイベントといえばやはりバレンタインデー。日本と違い女性が男性にチョコレートを贈るという決まった習慣は特にありませんが、プレゼントを贈りあったり、愛のメッセージを掲示板に表示したりしてカップルたちがお互いの愛を確認します。郵便局では、毎年有名デザイナーによるバレンタイン用の切手を発売しているので、日本への絵ハガキに貼って送るのもステキ。パティスリーでは、パレンタイン用のお菓子を限定発売するところも多いので、スイーツ好きは要チェックです。
3月(パリの平均気温7.0℃)
まだまだ肌寒さが残る3月の大きなイベントといえば、パリコレです。パリの色々な場所で行われるブランドの新作発表会(これがいわゆるパリコレ)の他、ファッション関連の見本市も同時に開催。世界中のファッションピープルが集結し、パリはファッション一色になります。ホテルの値段が上がるということはありませんが、この時期は非常に部屋がとりにくくなるので、半年以上前から予約する必要があります。- イベント:上旬(パリコレ・婦人服秋冬)
4月(パリの平均気温9.5℃)
徐々にあたたかくなってくる4月は、中旬にあるパック(英語でイースター、復活祭)という休日を利用してプチバカンスに出かけるフランス人も多いようです。復活祭には、卵の殻に装飾をして飾り付けるという習慣があり、ショコラティエやパティスリーなどのウインドウには卵の形の美しいディスプレイがあちこちで見られます。スーパーでも、卵の形のチョコレートがたくさん売り出されるのでお土産にも最適です。- 祝日:復活祭の翌日の月曜日
5月(パリの平均気温13.5℃)
天気の良い日はテラスで過ごす© Paris Tourist Office - Photographe : Arnaud Terrier |
一年を通してフランスが最も過ごしやすい季節、それが5月です。日により寒暖差が激しい4月と、暑さが厳しくなってくる6月以降の間の、ちょうどいい穏やかな気候。交通機関を使わずに、あえて時間をかけて歩いて移動したり、お昼をテイクアウトして公園でのんびり食べたり。そしてフランスに来たら一度は体験してほしいテラスでのお茶や食事。そんな過ごし方ができるのもこの季節ならではです。ガイド個人では、フランス旅行は5月がベストシーズンだと思っています。
- 祝日:1日(メーデー)、8日(1945年5月8日戦勝記念日)、昇天祭、聖霊降臨祭の翌日の月曜日(6月の場合あり)
6月(パリの平均気温16.3℃)
夏のバカンス前に行われるビッグ・イベント「フェット・ド・ラ・ミュージック(音楽祭)」。ライブハウスはもちろんのこと、公園にライブ会場を設置したり、道端だったり、とにかく街中が音楽で溢れかえり、朝方まで賑わいが続きます。メトロ新聞(地下鉄の駅構内にある)の、音楽祭の1週間ほど前から出る号をゲットすれば当日のプログラムがわかります。ちなみに、フランスには日本と違い梅雨のような雨期はありません。ですが、夏は夕立のようなにわか雨が多く、晴れていても急に天気が変わったりするので、常に折り畳み傘は必携です。
- イベント:21日(音楽祭)、最終水曜日から(セール)
7月(パリの平均気温19.0℃)
7月の大きなイベントはやはり革命記念日。当日はパリのシャンゼリゼ通りでフランス軍の行進が行われ、夜にはエッフェル塔で花火があがります。日本の花火に比べ派手さはイマイチですが、近くのシャン・ド・マルス公園では花火見物をするフランス人で大変賑わいます。花火はパリだけでなくフランスの各都市でも行われます。革命記念のお祝いイベント以外にも、入場無料になる美術館などの文化施設があるので、利用しない手はありません。
- 祝日:14日(革命記念日)
- イベント:下旬から(パリプラージュ)
8月(パリの平均気温18.6℃)
8月になると、フランスは各地で本格的にバカンスモードとなります。特にパリでは、美術館などの観光スポットや年中無休のファストフード店を除き、カフェやレストラン、ブティックは一斉にお店を閉め始め、2~3週間のお休みに突入。日本のお盆とちょうど重なる時期ですが、レストランやショッピングを楽しみたい人なら、この時期は避けたほうが良いかもしれません。ちなみにバカンスも全てのお店が一斉に同じ時期にとるわけではないので、お目当てのお店がある場合は事前に確認しておきましょう。一方パリでは、2004年から始まったセーヌ川沿岸の期間限定人口海岸、パリプラージュが毎年7月下旬から8月下旬にかけて約1ヶ月間続きます。年々規模が大きくなってきていて、コンサートやショーなどのイベントが充実したり、セーヌ川以外のサンマルタン運河にまで拡大しています。パリジャンに混じり、パリにいながらにしてバカンス気分を味わうことができますよ。
- 祝日:15日(聖母被昇天祭)
- イベント:下旬まで(パリプラージュ)
9月(パリの平均気温16.0℃)
バカンス明けの9月はフランスでは新学期にあたり、1年の始まりの季節です。中旬には文化遺産の日があり、大統領官邸(エリゼ宮)など普段は一般公開されない施設を見学できたり、一部有料の美術館が無料になるという貴重な週末も。同じころワイン収穫祭もフランス各地で行われ、チーズやハムなどのおつまみと一緒にワインを味わうイベントも多数見られます。
- イベント:第3週末(文化遺産の日)
10月(パリの平均気温11.4℃)
少しずつ寒くなってくるこの季節ですが、サマータイムが解除され、夜が長くなりはじめるころにパリで行われるのがニュイ・ブランシュ(白夜)というイベント。土曜日の夜から日曜日の朝にかけて一晩中アートの展覧会やイベントが行われ、賑やかな「眠らない夜」になります。そして下旬には、チョコレートをはじめスイーツ好きには欠かせないイベント、サロン・ド・ショコラがパリのポルト・ド・ヴェルサイユ(※ヴェルサイユ宮殿がある所ではありません)の見本市会場で開催されます。人気ショコラティエやパティスリーの新作が並び、試食もできるというお菓子のパラダイスとなっています。
- イベント:第1日曜日(ニュイ・ブランシュ)、上旬(パリコレ婦人服春夏)、下旬(サロン・ド・ショコラ)
11月(パリの平均気温7.1℃)
日本でもすっかりお馴染みとなった11月の第3木曜日に解禁されるボジョレーヌーボー。この日はほとんどのレストランにボジョレーヌーボーが置かれ、ワインバーやカフェでは解禁を祝う酔っぱらいで賑やかになります。下旬からは、シャンゼリゼ大通りを皮切りに各地でイルミネーションが始まり、早くもクリスマスの雰囲気に。長い夜を華やかに彩ってくれます。
- 祝日:1日(諸聖人の祝日)、11日(第一次大戦休戦記念日)
- イベント:第3木曜日(ボジョレーヌーボー解禁)、下旬から(イルミネーション)
12月(パリの平均気温4.3℃)
街中が光で溢れるイルミネーション© Paris Tourist Office - Photographe : Marc Bertrand |
25日のクリスマス当日は、街は驚くほど静かになります。フランス人は家族と過ごし、深夜12時には近くの教会のミサに出かける人も。反対に31日の大晦日は、気のおけない友人たちと朝までどんちゃん騒ぎをし、新年を祝うというのがフランス流ニューイヤーの過ごし方です。
- 祝日:25日(クリスマス)
- イベント:上旬から(クリスマス市場)