スコティッシュフォールドの性格は? どんな猫?
折れた耳が愛くるしいスコティッシュフォールドは、日本でも人気がある猫種です。しかし、飼育時の注意点やなりやすい病気などを知っている方はまだまだ少ないのではないでしょうか。
そこで今回は特徴や歴史なども含めながら、スコティッシュフォールドについて詳しく解説していきます。
猫種の歴史
スコティッシュフォールドのような折れ耳を持つ猫は古くから存在していたと考えられていますが、現在残っている最も古い記録は1961年のだといわれています。当時、スコットランドのテーサイド州コウパーアンガス(現在のパース・アンド・キンロス)に住んでいた友人宅を訪ねたウィリアム・ロスは農場の納屋で折れ耳を持った白いメス猫を発見しました。
ブリティッシュショートヘアのブリーダーをしていたウィリアムはその猫に興味を持ち、「スージー」と名付けて飼育をすることに。後にスージーは耳が折れた子猫を産んだため、ウィリアムは育種を開始し始めました。ウィリアム宅で生み出された猫たちは、現在のスコティッシュフォールドの基盤になっているといわれています。
こうしてスコティッシュフォールドは1966年にイギリスの愛猫協会であるGCCFに公認されましたが、1970年代初期に、耳ダニの寄生や難聴の疑いがあるとのことで一度登録が取り消されました。しかし、後にこの疑念は後に正しくなかったとこが明らかになります。
一方、アメリカでは1970年から、スコティッシュフォールドが注目され始めました。マサチューセッツ州ニュートンビルで遺伝子に関する研究をしていたニール・トッド博士は3匹のスコティッシュフォールドを交配させ、研究を行っていました。
結果的に研究はうまくいきませんでしたが、この時生まれた子猫はマンクスのブリーダー・サーレ・ウルフ・ピーターズの手に渡り、スコティッシフォールドの基盤が築かれていくようになったのです。
その後、アメリカのブリーダーたちは猫種としての公認を得るため、先天性疾患に関する報告をまとめたり、異種交配させる猫種をブリティッシュショートヘアとアメリカンショートヘアに絞ったりしていきました。こうした努力が実り、スコティッシュフォールドは1978年にCFA(愛猫協会)やTICA(猫血統登録機関)に公認されるまでになったのです。
スコティッシュフォールドの身体的特徴
頭部は360度、どの角度から見ても丸くなっています。頬や顎周りもふっくらとして見えるでしょう。スコティッシュフォールドは折れ耳と立ち耳のどちらも産まれますが、立ち耳タイプの耳はそれほど大きくなく、やや離れ気味についています。
対して、折れ耳タイプの子は耳が前方に折れているでしょう。目は真ん丸で、色は毛色によって異なります。鼻はやや横に広く、他の猫種よりも短くなっています。ボディは丸みを帯びていますが、筋肉はしっかりとついています。
上から見ると、肩と腰は同じくらいの幅をしています。四肢や尻尾は、ボディとバランスがとれる、適度な長さに。被毛は密に生えそろっており、ふわふわとした手触りが楽しめるでしょう。長毛種の場合は首や耳、足先、後ろ足に飾り毛が見られます。
長毛も短毛も! スコティッシュフォールドの毛種・毛色
スコティッシュフォールドは長毛も短毛も生まれ、長毛種の場合は「スコティッシュフォールドロングヘア」と呼ばれることもあります。しかし、スコティッシュフォールドの長毛種は毛足がそれほど長くなく、セミロング程度の長さです。ちなみに立ち耳の子は「スコティッシュストレート」と呼ばれる場合もあります(立ち耳×長毛は「スコティッシュストレートロングヘア」)。
スコティッシュフォールドはブラック、チョコレート、シナモン、レッド、ブルー、ライラック、フォーン、クリーム、ホワイトといったすべての被毛が生まれます。
スコティッシュフォールドの目色
目色はグリーン、ヘーゼル、イエロー、ゴールド、オレンジ、カッパ、サファイヤブルー、ブルーが現れます。アクアのスコティッシュフォールドはいませんが、オッドアイ(左右で瞳の色が異なる)を持つ子は誕生します。
平均体重は3~6kg程度
スコティッシュフォールドは、ボディや尻尾、胴体がやや長い「セミコビータイプ」。平均体重は3~6kgほどだといわれており、一般的な猫と同じくらいの重さです。しかし、筋肉質であるため、抱き上げたときにずっしりとした重みを感じるでしょう。
平均寿命は10~13歳程度
スコティッシュフォールドは短命だといわれることもある猫種ですが、正しいブリーディングで交配された子の平均寿命は10~13歳程度だといわれています。一般的な猫の平均寿命は15歳なので少し短く感じられるかもしれませんが、寿命は飼い主さんのお世話の仕方によっても変わってきます。
スコティッシュフォールドの性格……人間のような座り方も!?
社交的な性格をしており、人間が大好きであるため、人見知りもあまりしません。飼い主さんと遊ぶことを好み、忠実な態度も見せてくれるでしょう。温和なので、他の動物や同居猫、小さなお子さんとも仲良くできます。
また、頭が良くてしつけもしやすいため、初めて猫を飼う方でも飼育しやすいはず。鳴き声が静かであるため、集合住宅での飼育にも向いています。なお、人間のように上半身のみを起こして座る「スコ座り」を見せたり、水を手ですくって飲むのが好きな子も多かったりし、ユニークな行動も見せてくれたりもするでしょう。飼い方やその注意点
折れ耳のスコティッシュフォールドは耳の通気性が悪いため、3~4日に1回、耳掃除を行ってあげましょう。通気性が悪いと雑菌が繁殖しやすくなり、皮膚病や外耳炎が引き起こされる可能性が高くなります。
耳掃除は専用のイヤークリーナーを使用するのもよいですが、嫌がる場合は耳掃除シートで耳介(猫耳部分)を優しく拭いてあげましょう。耳掃除中に猫が暴れてしまうと危険であるため、綿棒は使用しないよう、心がけましょう。
また、長毛種の場合は2週間に1回シャンプーを行い、グルーミング時に大量の抜け毛を飲みこんでしまわないように注意していってください。ブラッシンングを行うときはコームを使い、毛の絡まりをしっかりと解いてあげると嫌がりにくくなります。ブラッシングの頻度は1日2回が目安です。短毛種の場合は1日1回のブラッシングで、抜け毛をケアしていきましょう。
骨軟骨異形成症に注意! スコティッシュフォールドがなりやすい病気
スコティッシュフォールドは「骨軟骨異形成症」の発症率が他の猫種よりも高いとされています。そもそも、スコティッシュフォールドの折れ耳は、優性遺伝子が耳の軟骨に影響を与えることで現れています。そのため、折れ耳の子と立ち耳の子を交配させると50%の確率で折れ耳の子が産まれます。
折れ耳の猫同士を交配させると、子猫にも折れ耳が受け継がれる確率は高くなりますが、「骨軟骨異形成症」を持って生まれてくる可能性も高くなってしまうのです。骨軟膏異形成症は、骨や関節に異常が現れる病気です。この病気は生涯に渡り、病気が進行することもあり、四肢や尻尾、背骨に症状が現れることが多いとされています。
重症な場合は関節に硬いこぶ(骨瘤)ができてしまうので、歩行が上手くできなくなったり、痛みを感じたりもします。この病気は耳折れの子に見られることが多いとされていますが、立ち耳の子も発症する可能性はあるので注意しましょう。
ちなみに、近年ではスコティッシュフォールドとマンチカンの特徴を併せ持った「スコマンチ」も生み出されていますが、スコマンチは遺伝性疾患が現れる可能性が高い猫種であるとされているので、十分検討してからおうちに迎えるようにしましょう。
適している飼い主の性格
スコティッシュフォールドは人間に構われることを好む猫種なので、猫とのスキンシップを多く取りたいと思っている方におすすめです。遊び好きな一面もあるので、1日数回遊びの相手をしてあげられる方だと、なおよいかもしれません。おうちに迎えたときは、スキンシップをたっぷりとっていきましょうね。
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