初めての生理=初潮のこと、子供に説明するのはいつ?
いつか生理が来るとはわかっていても、あまり実感がわいていない娘に、親は何ができるでしょう?
女の子に初めて生理(月経)が来ることを「初潮を迎える」といいます。
早い子で小学校中学年くらい、遅い子では高校でという場合もあります。個人差は大きいですが、多くは小学校高学年から中学に入った頃に迎える子が多いようです。
少量の出血から始まることが多いようですが、いきなり大量に出血する子もいます。出血は病気や事故を連想させますので、予備知識を持っていたとしても驚くし、これから自分の体がどう変化していくのか不安にもなります。
ですから、月経が始まるのは、女の子にとって正常な現象なのだと早めに教えておきたいものです。
子どもの発育が良くなったため、初潮年齢は低下の傾向にあります。そのため、「6年生の修学旅行の前」や「5年生の宿泊体験学習の前」では間に合いません。学校が性教育で月経について教えるのは、とても大切なことです。しかし、学校まかせというのも、違う気がします。では、いつ頃、教えるのがいいのでしょうか。
生理のことを説明する時期……早い分にはOK
筆者としては、早めに教えても何も問題はないと考えています。自分の体が今後どのように変化して大人の女性の体になっていくのかは、子どもの素朴な関心事なので、機会を見つけて話しておきましょう。「大人になっていくと、女の子はだいたい月に1回、1週間くらい、うんちの穴とおしっこの穴の間にある、女の子にしかない特別な穴から血が出るようになるよ。でも、それは病気ではなくて、大人の女の人にとっては普通のこと。大人のからだに成長しているサインだから、心配しなくていいよ」
そんなふうに小さい頃から教えておくと、外出先で突然初潮が来ても慌てずに済みます。小学校3~4年生位になったら、ナプキンの使い方を説明し、ナプキンにかわいいラッピングをして、1つランドセルに入れておくようにしましょう。あわせて、「でも、持っていなくても大丈夫だよ。学校で始まったら、保健室の先生に『生理が来たみたい』と言ったら、ナプキンを貸してくれるからね」と伝えておきましょう。
小学生女子の疑問や関心事をテーマにしている、「女の子って。」というコミックスがあります。絵もかわいくて読みやすいので、父子家庭の娘を持つお父さんなど、自分でうまく説明する自信がない時は、活用しましょう。読んでおくように渡すだけでもいいと思います。子どもの本棚に入れておけば、おそらく勝手に読みます。
初潮を祝う?祝わない?
我が子が初潮を迎えた時には「おめでとう!」と笑顔で言ってあげたいものです。自分のからだの変化を喜ばしいものとして、肯定的に受け止められるように。ただ、初潮をお赤飯で祝うという風習については、意見が分かれるようです。自分が初潮を迎えたときに赤飯を炊いてもらったことを肯定的に受け止めているママもいますが、筆者は「いやだった」という感想の方をよく耳にします。
筆者もいやだったクチです。初潮が来る時期は思春期とも重なっています。母に「お父さんには言わないで」と固く口止めしたにも関わらず、その晩は赤飯に、私の好物のハンバーグでした。なにそれその組み合わせ、と、心の中で激しくツッコミつつ黙々と食べたことを覚えています。性に関することは「恥ずかしいこと、タブー」とされていたため、余計に戸惑ったのかもしれません。
親子の関係性にもよりますし、その子の性格、初潮を迎えた年齢や、上に姉がいるかどうかなど、状況はその子によって違うでしょうが、赤飯というわかりやすい形でお祝いをするかどうかは、子どもの気持ちを尊重する方がいいのではないでしょうか。
自分の体が、自分の意思とは関わりなく変化していくというのは不安なものです。「あ、きたのね」くらいの反応の薄さの方が、かえって「自然なこと」だとサラリと受け止められる子もいるかもしれません。
「初潮」は大人になったサイン?
初潮を迎えると「子どもを産める体になった」「大人の女性の体になった」と思われがちですが、そうではありません。月経周期が安定するまでは何年もかかります。月経周期が安定するというのは、女性ホルモンの分泌が安定するということでもあります。つまり初潮は、大人の女性の体になっていくための通過点でしかありません。中学生の妊娠出産が危険だといわれているのは、女性としての体ができあがっていないうちに大きな負荷をかけるからです。月経が安定するまでは、思春期の不安定さとの相乗効果で、イライラしたりカリカリしたり激しく落ち込んでみたりと、メンタル面での影響も強く出てきます。
30代の半ば以降に娘を産むと、女性ホルモンが増えるために起こる娘の不安定さと、逆に減っていくために起こる母親の不調の時期が重なることになります。「思春期 VS 更年期」で、イライラをぶつけ合うことにならないよう、母と娘で月経について話をする機会を多く作れるといいですね。
先月発売された、生理のつらさをわかりやすく描いたマンガ「生理ちゃん」は、女性にとっては自分自身がどのように生理に翻弄されているのかを客観視することにもなりますし、一生、生理のつらさを経験することのない男性に理解してもらうことにも役立ちます。
ちなみに、作者は男性です。だから、男性にも伝わりやすい表現になっているのかもしれません。
とはいえ、月経はポジティブに捉えたい
何かと面倒くさくて不快な月経。「痛いし、気持ち悪いし、プールには入れないし、男子にはジロジロ見られるし」と、月経はネガティブに捉えられがち。でも、月経は男性にはない「月に一度のデトックス」でもあります。女性の心身の不調は月経トラブルとして現れやすいため、それまでの自分の生活を振り返り、調整し直し、心とからだをリセットする機会でもあります。
最近の基礎体温計はスマホアプリと連動できるものもあります。毎朝基礎体温を測るのが面倒であれば、無料のアプリで月経日を記録し、ついでに月経痛の強さや不正出血などを記録するだけでも、自己管理に役立ちます。
月経前に「なんだかわからないけど、気持ちの浮き沈みが激しくて、感情のコントロールができない!」というのは自己評価を下げます。不安や怒りが高まって、悲観的になったり攻撃的になったりして後悔した経験も、多くの女性にあるのではないでしょうか。また、月経痛やだるさで思うように動けず、悔しさや自己嫌悪を感じたこともありますよね。
しかし、月経リズムによる心身への影響を自覚できていると「生理だし、仕方がないか」と、しんどい自分を受け入れられるようになったり、気持ちの揺れもいったん棚上げしておくことができるようになっていきます。それは、精神的な強さを育てることに役立ちます。
何十年もつきあっていかなければならない月経。初潮を迎えた娘が、自分のからだを大切にしたいと思えるような援助をしていきたいものですね。
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