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補色とは? 色相環からわかる効果・意味・反対色との違いを解説

補色とは、色相環で正反対に位置する関係の色の組合せのこと。補色や反対色はメリハリの効いたコーディネートに適しているといわれます。補色の効果や意味を解説し、代表的な補色の組合せをご紹介します! 補色を意識したカラーコーディネートをしてみては?

松本 英恵

執筆者:松本 英恵

カラーコーディネートガイド

補色とはどんな色? 効果・意味とは

補色とは?反対色・効果・意味との違いを解説

黄色の色相を起点に色相差の関係を示した図


補色とは、色相環で正反対に位置する関係の色の組合せのこと。上図の色相環は、黄色を起点に色相差の関係を示したものです。黄色の正反対に位置するのは青紫なので、黄色と青紫は補色の関係にあります。

同じように、色相差が12の関係になる、黄緑と紫、緑と赤紫、赤と青緑といった組合せも補色に該当します。補色とは、コントラストの強い配色です。
<目次>

色相環とは

色相環(hue circle)とは、基本の色を環状(輪っか)として配置したもので、色を体系化する際に用いる方法の一つです。色というものは、光を吸収する波長の違いによって赤・橙・黄・緑・青・紫というように連続的に変化して見えます。この変化を波長の長さの順番に並べたものを色相環といいます。
 

補色と反対色の違いとは

対立する性質をもつ色どうしのことを反対色といいます。色の性質は、色相(色みの違い)、明度(明るさの度合い)、彩度(あざやかさの度合い)の三属性によってあらわすことができます。

色相に着目すると、補色や補色の近い関係の色を反対色と言います。上図の色相環では、色相差8以上の対照色相から、色相差が12の補色色相までが、反対色に該当します。
トーンの関係を示した図。隣り合うトーンは類似の関係、2つ以上離れたトーンは対照の関係になります

トーンの関係を示した図。隣り合うトーンは類似の関係、2つ以上離れたトーンは対照の関係になります

上図のトーン図では、上に行くほど明度が高く、下に行くほど明度が低くなります。白と黒、ライトトーンとダークトーンといった関係は反対色になります。

彩度に着目すると、上図のトーン図では、右に行くほど彩度が高く、左に行くほど彩度が低くなります。ビビッドトーンと無彩色、ディープトーンとグレイッシュトーンといった関係も反対色にあたります。
 

補色同士を混ぜると灰色になる? 補色対比・物理補色・心理補色

補色には、主に次の3つの効果があります。

■物理補色
補色の効果1:物理補色

補色の効果1:物理補色

補色どうしを混色すると無彩色になります。これを物理補色と呼びます。理論上は黒になりますが、絵の具やインクといった身近な色材を混色すると、真っ黒にはならず、濁った灰色になります。

■心理補色
補色の効果2:心理補色

補色の効果2:心理補色

補色の一方の色をしばらく見つめた後、白い紙などに目を移すと、残像として補色のもう一方の色が現れます。これを心理補色と呼びます。

たとえば、外科手術を行う医師は、血液の赤を長時間見つめるため、緑色の残像に悩まされてきました。視線を動かすと残像も一緒に動くため、手術中の医師にとって大きなストレスとなるからです。

1925年、米国の化学系企業デュポンは、補色残像を和らげる効果がある色として、薄い緑色の塗料を提案しました。現在では、外科手術室の内装だけでなく、手術着にも薄い緑色が採用されています。
身近な商品にも、補色の効果が利用されている

身近な商品にも、補色の効果が利用されている

補色の効果は身近な商品にも取り入れられています。たとえば、牛乳のパッケージに青が使われる理由のひとつは、補色残像の黄色が白い牛乳を濃厚に見せる効果があるからです。

■補色対比
緑のマットの上に赤い肉を並べると、補色対比で肉の赤身が強調される=より新鮮に見える

緑のマットの上に赤い肉を並べると、補色対比で肉の赤身が強調される=より新鮮に見える

補色の関係にある色どうしを並べて置くと、より彩度が高くなったように色のあざやかさが強調されます。これを補色対比と言います。たとえば、精肉売り場のショーケースには、緑色のマットが敷きつめられていることがあります。これは、補色対比によって肉の赤みが強調され、肉の鮮度が高く感じられるからです。
 

色相環でチェック! 補色の組み合わせ・代表的なもの

補色のビビッドトーンを組合せた6つの配色例

補色のビビッドトーンを組合せた6つの配色例

上図は、補色(色相差12)のビビッドトーンを組合せたものです。本記事の冒頭の図で示したように、色相環の上に位置する黄色は明度が高く、下に行くほど明度が低くなります。

6つの配色例のうち、黄色と青紫は明度差が最も大きい組合せで、明瞭性も高くなっています。一方、青緑と赤は明度が近似しており、グレア(ギラギラと眩しく感じるような見えにくさ)が生じています。グレアを緩和するには、彩度を下げたり、明度差で変化をつけるとよいでしょう。
6つの補色について、トーンを基準にした3つの配色方法を適用した配色例

6つの補色について、トーンを基準にした3つの配色方法を適用した配色例

上図は、6つの補色について、同一トーン配色、類似トーン配色、対照トーン配色の例を示したものです。

ファッション通の方はお気づきかもしれませんが、青と橙の組合せは、イタリアの男性が好む色の組み合わせである「アズーロ・エ・マローネ」に通じます。イタリア語で、アズーロ(AZZURRO)は空色、すなわち青のこと。マローネ(MARRONE)は栗色、すなわち茶色を意味します。

カーキ色は黄色や黄緑の色相なので、紫との組合せは補色になります。橙(茶)と青、黄・黄緑(カーキ)と紫といった組合せが、おしゃれに見えるのは、色彩調和の観点からも理にかなっています。

メリハリの効いたカラーコーデを楽しみたいときは、補色同士の組合せをおすすめします。
 

よくある質問

Q. 12色相環とは?

A. 色相環の色数は、10色、12色、24色などがあります。色彩検定で用いられるPCCS色相環は、円周上に心理4原色の(赤・黄・緑・青)を時計回りに配置し、その4色の対向位置にそれぞれの心理補色を置いて8色相にし、その間が等間隔になるようにさらに4色を補間して12色に、さらにそれらを2分割にして合計24色相となっています。オストワルトの色相環は、基本8色相(黄・橙・赤・紫・青・青緑・緑・黄緑)をさらに各色相を3つに分けた24色相からなります。

Q. マンセル色相環とは?

A. マンセル色相環とは、基本5色相(赤・黄・緑・青・紫)の中間色相(黄赤・黄緑・青緑・青紫・赤紫)を加えた10色相からなります。マンセル・カラー・システムは、測光・測色を利用して、色相(H)・彩度(S)・明度(V)の異なる色票を順番に並べ、それぞれの色を数値として表すことで誰がみても共通の認識を得られるようにされた国際的な指標となる色相環です。

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