家の2大トラブルはひび割れと雨漏り
(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターが発表する、新築や中古住宅にまつわるトラブルの事例のここ10年間を調べてみました。第1位はひび割れで20~25%、第2位が雨漏りで15~20%でした。次が性能不足で10%なので、いかにひび割れと雨漏りが、トラブルの主な原因になっているかがわかります。
特にひび割れは築1年未満に多く発生し、雨漏りは年数が経過しても不具合が起きる特徴があります。
ひび割れが築1年未満に多く発生する原因は、使われた材料が乾燥することによるひび割れが多いのです。もし、これが構造的な欠陥などによって発生するひび割れであれば、とても大きな問題になります。
雨漏りの原因はデザインを重視するあまり、雨仕舞の納まりを軽視し、不具合が起きる原因となったりします。鉄筋コンクリート造などでは防水の専門業者が施工するのですが、住宅の場合は専門会社ではないので、シーリング材(構造物の防水性や気密性を保持するために継ぎ目や隙間に充填する材料)に施工不良が起きやすいということもあります。
新築するにあたって、どんなことに注意すればよいのかアドバイスします。
ひび割れは3段階で程度を確認
ひび割れは0.3mm、1mm、3mmの段階でひび割れの幅を確認して判断することです。・0.3mm以下(ヘアクラック)
髪の毛のような細いひび割れで、塗膜の乾燥時間が不適切など、施工によるものが多いです。このくらいであれば心配しなくて大丈夫です。ただ、ひび割れの状態や進行しないか定期的にチェックしておきましょう。
・1.0mm以上(乾燥クラック)
外装材をモルタルなどで仕上げる際、水分の蒸発などにより収縮が起こり、それがひび割れの原因になります。
・3.0mm以上(構造クラック)
このくらいの幅になるとかなりひび割れが進行していますので、すぐに補修が必要です、早急に専門家に相談することです。建物の内部へ水分が浸透している可能性が高いです。
〈ひび割れ対策のアドバイス〉
ひび割れは施工によるものが多いのです。ひび割れで大きな問題になるのは建物構造によるひび割れですが、近年は地盤調査をして、基礎もしっかりつくるので、構造によるひび割れは少ないようです。
ひび割れはモルタルなど水を使う工法によって起きます。もし将来にわたって不安であれば、水を使わない乾式工法を採用するとよいのです。具体的には窯業系サイディングや金属系サイディングなどです。
【サイディングについてはこちらの記事を確認】
外装サイディングの種類と特徴&選び方のポイント
施工力がある工務店であれば、モルタルなど水を使った湿式工法は目地も無く、スッキリと仕上がるので、そのあたりは採用にあたって工務店と打合せをして下さい。万一ひび割れをしたら、保証をしてくれる工務店もあります。
雨漏りは屋根より注意すべき箇所がある
雨漏りといえば、屋根からというのは過去の話です。現在では屋根というより、外壁との取り合いやバルコニー、そして建物の形が複雑な箇所で多く発生するのです。
〈雨漏り対策のアドバイス〉
最近の住まいは一般にスッキリとしたキュービックな形態で、白系の色を使い、外壁材はサイディングが多く使われている傾向にあります。軒や庇も無く、デザイン的にはきれいです。仮に軒の出はなくても、その箇所にに注意を払い、雨仕舞の納まりをしっかりしたものにしましょう。
次にサイディングですが、サイディングは目地が多くなるので、接合部などから雨水が侵入しても中の防水紙によって進入を止め、そのまま通気層から外部へ排出する工法をしないといけません。一般に通気構法と呼ばれます。
サイディングを採用するのであれば、ほとんどの工務店は対応すると思いますが、なかにはこの構法をしないこともあるので、施工する際に確認しておくことです。それと最近は集中豪雨が多いです。ベランダから室内に水が逆流することがあります。サッシの下部スペースを15mm確保しておきましょう。
万一のトラブルは住宅瑕疵担保履行法でカバー
住宅瑕疵担保履行法は、新築住宅を供給する施工会社に住宅の引き渡しから10年間、瑕疵担保責任を義務付ける法律です。瑕疵(かし)とは欠陥ということです。構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分がこれにあたります。仮に施工会社が倒産した後に瑕疵が見つかった場合でも、少ない負担で修理補修の費用をカバーしてくれます。全ての住宅に加入が義務付けられている保険なので安心です。
当然、保険契約が前提となるわけですから、それなりの施工基準が決められています。少なくともこの施工基準を理解していない工務店を選んではいけないということです。