高齢者が最期まで安心して暮せる町とは

最期まで安心して暮せる街

自分が住んでいる町にはどのような支援がある?

多くの人は、できれば慣れ親しんだ町の我が家で暮し続けたいと願っています。

一方で、年を経ると日々の暮しには、人の手や生活支援サービスの助けが必要になってきます。そうなることを見越して、自分が住んでいる町には、どのような暮らしの手助け体制が整っているかを予め知っておくことをおすすめします。

そうすれば、生活の不安から、慌てて有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などへ入居し、「やっぱり我が家へ戻りたい!」と後悔することはないでしょう。

行政の高齢者向け生活支援を知る

まず、知っておきたいのは、行政が提供する生活支援サービスです。税収の多寡、住民の年齢層など地域の実状に応じてサービス内容は異なります。また、サービス自体も多岐にわたるので、いざとなったときに、速やかに利用するためには、事前に状況を把握しておくことはとても大事です。

東京都港区の主なひとり暮らし高齢者への支援をあげてみましょう。(表参照)
自治体の高齢者への支援
 

 
ゴミ屋敷化を防止するための「ごみの戸別訪問」「粗大ごみの運び出し収集」。料理、片付け、掃除が一時的に無理になったときの「家事援助」「配食サービス」、外出の機会をつくり人との交流を促進するための「会食サービス」など、多様な生活支援サービスが提供されています。 

さらに、まさかの時に誰も助けてくれる人が傍にいないという、最大の不安を「緊急通報システム」「緊急一時介護人派遣」が解消してくれます。

自治体らしいサービスも

自治体によっては、それぞれ特色のあるサービスを実施しているところもあります。

運転免許の返納後の移動手段として、自主返納者に対してタクシーの料金を補助する「マイタク」サービス(群馬県前橋市)。「安心して徘徊できる街」をキャッチフレーズに、認知症の高齢者が行方不明にならないよう地域住民の見守りネットワーク(福岡県大牟田市)など。

自治体により特色のある支援が打ち出されています。

自宅で最期を迎えたいなら、訪問看護は外せない

もうひとつ自宅で最期を迎えるにあたり、はずせないのが訪問看護です。

訪問看護利用者数の多い、ひいては訪問看護事業者数の多い都道府県では、在宅で死亡する者の割合が多いという調査結果(厚労省医政局調査)があります。該当するのは長野県、滋賀県、京都府、兵庫県など。

地元の在宅医療の充実度はどうなっているのか、是非確認しておきましょう。

民間のサービスも増えている

片付け・食事づくり・掃除・洗濯といった家事全般から庭仕事(草むしりなど)、大工仕事(棚、手摺の取り付けなど)まで、日常生活に係る代行業務を引き受ける地域密着型の便利屋、家事代行業者が増えてきました。また、食事を自宅へ届けるサービス(ワタミ、セブン・イレブンなど)や宅配業者による安否確認など大手事業者が手がけるビジネスも増えています。

タクシー会社による高齢者移送サービスは普及していますが、ウーバーのライドシェアシステムを使い、住民ドライバーが住民を運ぶ「ささえあい交通」(京都丹後町のNPO法人)はユニークな試みです。京丹後市丹後町は高齢化率40パーセントの過疎地区です。同様に過疎化が進む岩手県や北海道での安否確認を含めたコンビニ移動販売。秋田県の50品目のレトルト食品を箱に入れて配置し、週1回集金と補充に事業者が訪問する富山の置き薬型配食の試みなど、地域事情に応じた生活支援サービスも登場しています。

こうした情報を探索しておくことも準備として重要でしょう。


生活支援を担う町の人を知る

そして、実際の生活支援の担い手は町の人です。最も身近な存在は、自分が属する町内会、自治会の民生委員です。日常生活の困りごとについて相談すれば、専門の機関、たとえば市町村、福祉事務所、社会福祉協議会などへつないでくれます。どこに何を相談して良いか分からないときに、頼りになる存在です。

また、高齢者の生活の困り事の万事相談所として地元の地域包括ケアセンターがあります。ここに所属している社会福祉士や保険士が健康、介護予防、生活支援、消費者被害についての相談にのってくれます。こうした人たちの存在を知っておくことも準備の一環といえます。

最期まで安心して暮らせる町へ住み替える

こうして見ていくと、今住んでいる町が、最期まで暮らすには、必ずしも良い条件を備えているとはいない、ということに気付く人もいるのではないでしょうか?とりわけ近所付き合いの機会が乏しい大都市の集合住宅暮らしは、高齢者の孤立を招き、老化も早く進みがちです。

一方、多少の煩わしさは伴うものの、近所づきあいが欠かせない地方都市。長く元気で暮らし続けるには、案外地方のほうが適しているかもしれません。主たる産業の乏しい地方の自治体は、高齢者福祉ビジネスを一大産業と位置付け、高齢者施設や生活支援サービスに注力している点も、ゆくゆく自力では暮らせなくなる段階を見越した時にも安心です。

東京は団塊世代が後期高齢期に入る2025年には生活支援サービスの担い手不足、介護施設の不足が懸念されています。こうしたことから、長く元気で暮らすために、思い切って住み替えることも視野にいれ、人生の後半戦の生活設計を考えてみてはいかがでしょうか?

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。