引っ越しとセットで考えざるを得ない「保育園問題」
共働きで未就学児の子供をもつ家庭が引っ越しを考えたとき、まず気になるのが保育園問題でしょう。保育園は家と近いのがベストですが、保育園不足のエリアでは近くで見つけるのが簡単ではない場合もあります。
総務省統計局の発表した平成29年就業構造基本調査によれば、育児をしている女性の有業率は平成24年と平成29年で比較をすると25~29歳で47.4%→60.0%、30~34歳で51.2%→62.0%と大きく増加しています。家族が子育てをしながら安心して働くためにはどうすればよいのでしょうか。
こうした「万が一の対応」をふまえて親子近居を考える家族も多くなっています。UR(都市再生機構)では、こうした親子近居のニーズに応えるよう、同じ団地内に二世帯が近居するケースなど一定の条件下で賃料を減額する「近居割」を設けています。また、多摩ニュータウンなどの大規模分譲団地では、子供の出産を機に親が近くにいる団地内のマンションを購入して住む人も目立つようになってきています。しかし、出身地から離れて勤務している人など、必ずしも親子近居ができる人ばかりではありません。
「子育て世代応援型」の大規模賃貸マンションが登場
全国的な保育園不足もあり、大規模な分譲マンションには子育て支援施設の設置を行政が義務付けるケースが多く、認可保育園を併設したマンションはよく見かけます。しかし、認可保育園不足もあり、そのマンションの入居者が必ずしも入園できるわけではないのが実情です。都心近郊の某大規模マンション(竣工済み)に併設されている認可保育園の今春の1歳児の倍率を区に問い合わせたところ7.6倍でした。併設のマンションと言っても、地域の状況はよく確認する必要がありそうです。
2018年2月に「柏の葉キャンパス」駅徒歩3分にオープンした総戸数492戸の「パークシティ柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワー ウエスト」(千葉県柏市)は、「子育て世代応援型」という点がユニークな大規模賃貸レジデンスです。中でもあえて認可外保育園を設けることで、「せっかくマンションを借りたのに一杯で保育園に入園できない」ことを防いでいます。
敷地内の1階には、365日無休の小児科医院が開院。一時保育にも対応できる認可外保育園を設置し学童保育にも対応しています。病児保育施設も1階に設置するなど子育てをしながら働く家族を幅広くサポートします。一定枠内の賃貸入居者に対し入園(審査はあり)を保証している点が特徴で、分譲マンション併設の認可保育園にままある、近いけど入園できない不自由さが無いように計画されています。
柏の葉は分譲マンションの供給が続いているエリアなので、保育期間が終わったら分譲マンションに住み替える選択もできそうです。「ららぽーと柏の葉」にも連絡通路で直結していて生活利便性も高い。こんなマンションに住めれば子育てしながら働くストレスも減らせそうです。
分譲マンションでも認可外保育園を併設したマンションが登場しています。JR塚口駅徒歩2分の大規模開発「プラウドシティ塚口」(兵庫県尼崎市)の1階には、都市型保育園ポポラーが設けられ入園が始まっています(取材時では、1歳児の空きがありました)。保育が必要な家族が便利な場所で利用できる。そうしたマンションがさらに増えると良いですね。