食と健康

ノンカフェイン・カフェインレス・デカフェの違い

【管理栄養士が解説】ノンカフェイン、カフェインレス、デカフェなど様々な種類の飲料がありますが、それぞれの違いを知っていますか? コーヒーなどカフェインを含むものを控えたい人におすすめのカフェイン少なめの飲み物の種類と違い、注意点について解説します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

コーヒーやお茶に含まれるカフェインの効果・デメリット

コーヒー

覚醒効果があるカフェイン入りの飲み物。カフェインレスにしても、飲み過ぎには少し注意が必要です

多くの人が日常的に飲んでいるコーヒーやお茶などのカフェイン飲料。味はもちろん覚醒効果があるため、仕事中や勉強中にリフレッシュしたいときや集中したいときのカンフル剤として手放せないという方も多いかもしれません。

しかしカフェインには飲みすぎると眠れなくなるなどの弊害もあります。実際に、カフェインの摂りすぎは、めまい、不眠症、心拍数の増加等を引き起こすことが報告されています。コーヒーは大好きだけど寝つきが悪くならないように夕方以降は控えている方や、妊娠中で胎児への影響などを懸念してカフェインを摂りすぎないよう気をつけている妊婦さんもいらっしゃるでしょう。

これらのコーヒーやお茶は好きだけどカフェインは控えたいという需要に応えて、最近はカフェインを減らした飲料も多く見られます。「ノンカフェイン」「カフェインレス」「デカフェ」などの表示がある飲料です。これらの製品ならば飲みすぎてもカフェインの副作用が起こることはないのでしょうか? 詳しく解説します。

<目次>  

「カフェインの摂りすぎ」はどれくらい? 安全な摂取量の目安

まず、そもそもどれくらいの量からがカフェインの摂りすぎになってしまうのかを見てみましょう。日本ではカフェイン摂取量の個人差が大きいことから、明確な基準は定められていません。そのため、どのくらいの量で眠れないなどの症状が起こるのかは現状では定かではないのです。

ただし、厚生労働省がカフェインの過剰摂取についての注意喚起をしている「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A 」によると、WHOの国際基準では、妊産婦はコーヒーならマグカップで3~4杯を目安にそれ以上は飲みすぎないようにとしています。また、エナジードリンクやコーラ飲料などはコーヒーよりもカフェイン含量が多いものがあるので、飲み過ぎないよう注意喚起されています。

日本人はコーヒーだけでなく、緑茶や紅茶もよく飲む習慣があります。緑茶の場合は煎茶でコーヒー1/3程度、紅茶の場合も1/2程度のカフェインを含むので、これらのカフェインも見逃さないようにしたいところです。カフェイン含量の詳細は農林水産省の「カフェインの過剰摂取について」を参照して下さい。
 

ノンカフェイン・カフェインレス・デカフェの違い

いわゆる「ノンカフェイン飲料」には官公庁による取り決めはありませんが、カフェインを控えたい人向けの飲料は、大きく以下の3種類に分けられそうです。
  • ノンカフェイン
  • カフェインレス
  • デカフェ
全くカフェインを含まないものもありますが、カフェインを含むものもあります。それぞれの違いを解説します。

■ノンカフェインとは……カフェインゼロのノンカフェイン飲料一覧
カフェインを含まない原材料だけを使ったお茶で、「ノンカフェイン茶」とか「ノンカフェイン飲料」と称しています。文字通り、カフェインは全く含まれていません。

具体的には、麦茶、はと麦茶、甜茶、そば茶、杜仲茶、ルイボスティ、カモミールティ、コーン茶、小豆茶、タンポポ茶、タンポポコーヒー、どくだみ茶などがノンカフェイン飲料に該当します。

これらは「茶」という文字が入っていますが、狭義の「茶葉」を使っていない飲み物です。どういう意味かと思われそうですが、皆さんがご存知の通り、カフェインを含む「お茶」にはせん茶、番茶、ほうじ茶、抹茶、玉露などを含む緑茶や、ウーロン茶、紅茶がありますが、これらはすべて同じ茶葉からできています。発酵状態や蒸し方の違いなどで風味が異なりますが、原材料の「茶葉」はすべて同じで、カフェインが含まれます。この「茶葉」を使用していない上記の飲み物には、カフェインは含まれていません。

そもそもお茶ではないのに「茶」という文字が使われているのが紛らわしいのですが、「煎じて飲む」という点ではお茶と同じであるため、狭義の意味ではお茶ではないものの、お茶と呼ばれるようになったのではないかと思います。

■カフェインレス飲料とは……わずかながらカフェインを含む飲料
カフェインレス飲料は「カフェインを減らした飲料」ですので、もともとカフェインを含んでいるお茶やコーヒーからカフェインをとりのぞいたものです。カフェインレス飲料に関しては「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約・施行規則(PDF)」で厳密に取り決めがなされています。

コーヒーにあっては、その形状にかかわらず「コーヒー」と記載する。ただし、カフェインを90%以上除去したコーヒーにあっては、その形状にかかわらず「カフェインレスコーヒー」と記載する。

カフェインレスコーヒーの場合、普通のコーヒーの1割弱のカフェインが含まれているということが分かると思います。紅茶や緑茶などにはここまで厳密な決まりはないようですが、カフェインレス商品は何らかのカフェインを取り除く作業が行われているのは間違いありません。

■デカフェとは……わずかながらカフェインを含むコーヒー
フランス語でカフェインレスと同様の意味であり、特にカフェインレスコーヒーを指すことが多いようです。
 

カフェイン摂取を抑えたいときの注意点

以上から分かる通り、「ノンカフェイン飲料」と書かれているものは、もともとカフェインを含まない原材料を使った飲み物なので、どれだけ飲んでもカフェインの摂りすぎになることはありません。

一方で「カフェインレス」「デカフェ」と書かれている飲み物はカフェインを取り除いてはいるものの若干は残っている可能性があるため、大量に飲んでしまうと、人によっては眠れなくなってしまうなどのカフェインの弊害が出ることがあると考えられます。

好きな飲み物を飲みながらゆっくりしたり、カフェイン効果でスッキリと気分転換を図ったりすることも大切ですが、過ぎたるは猶及ばざるがごとし。ノンカフェイン、カフェインレス飲料などのそれぞれの特徴も知った上で、睡眠などに影響を与えない時間と量を考え、カフェインの効果を上手に利用していきたいものですね。

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