3歳児の癇癪……ひどいイヤイヤ期などの反抗期に対する対処法
2歳よりもさらにパワーアップしたように思える3歳反抗期の特徴とは?
そこで、今回は、「悪魔の3歳児」とも呼ばれる時期の”イヤイヤ”にフォーカスし、2歳との違いや特に気をつけていきたいわがままや癇癪などへの対処について、子育て心理学で解説していきます。
3歳の子の心の発達、その特徴とは?
人間の成長は、どちらかというと、カラダ先行型と言えます。生まれたばかりのときは寝てばかりだった赤ちゃんも、1歳、2歳代で、身体能力を大きく発達させます。立つ、歩く、走る、そして話す……。このように、体の自立は、目覚ましい勢いで進んでいきます。よって、3歳の子は、「ボクはもう歩けるし、走れるし、話せるし、すごい!」と自分の身体能力への信頼感を持っています。一方、心はどうかというと、まだまだママと離れて遊ぶと寂しくなったり、ちょっとのことで泣いてしまったりと、体のようにスイスイとは行かない、どうも納得が行かない状態です。
「心が体の自立に追いついていない…」
その状態を調整すべく、イヤイヤ期が存在し、この時期に、一気に自我を発達させ、心の自立を図ろうとするのです。
この時期の子の特徴として、他者の視点を理解することが、まだ困難ということが挙げられます。ママに甘えるのも好き、お友達と遊ぶのも好き、と他者との関わりを好むものの、物事を解釈するときは、自分中心的な傾向が見られ、欲求先行型です。
また、おしゃべり上手で言葉は知っていても、まだそれを用いて、柔軟に思考できる段階ではありません。言葉は言葉通りに受け取るので、行間を読むのはもちろん苦手。ママの「いいかげんにしなさい」は、「いいかげんってどんな加減?」という程度にしか響きません。まだまだ考え方や行動に柔軟性がない状態です。
この時期は、目で見える部分は、もうしっかりと”子供”なので、親は、「これくらいなら分かるはず」と思ってしまうことも多いのですが、まだまだシンプルかつ楽観的な思考で日々を過ごしています。表に見える「体の成長」と、見えにくい「心の成長」のギャップが大きい時期だということを、心に留めておくことがポイントになります。
2歳からパワーアップ!? なぜ3歳の反抗期は大変なのか
イヤイヤばかりする子を「魔の2歳児」と呼ぶこともあり、イヤイヤ期というのは、2歳のときにやってくるものという印象が強いものです。しかし、実際には、2歳の誕生日ぴったりにやってくるわけではなく、当然ながら個人差があります。1歳後半で、「もしかしてイヤイヤ期」という子もいますし、3歳がピークという子も多く見受けられます。そして、「2歳のときよりも大変になった。どんどん巧みになってきた」と感じるママも多いようです。この部分に、3歳の反抗期の特徴が表れていると言えるでしょう。
生まれてから数年の子供の成長は著しく、たとえば、2歳0か月の子と3歳0か月の子を比べても、認知面、心理面、身体面で大きく違います。2歳代の12か月間の間に、言語能力、身体能力が飛躍的に伸び、数多くの「できなかったこと」が、「できるようになる」成長目まぐるしい1年です。それにより、同じ「イヤイヤ」が、さらに巧みになってきたように感じられるのです。おしゃべりが上達したことで、ママがイラっとするような生意気なことを言い返したり、エネルギッシュに動く体力がついたことで、ママがヘトヘトになるほど振り回されたり……。
言い返す言葉、踏ん張る力、諦めない体力、これらが、2歳代よりも、さらにパワーアップしているため、ママが、「手に負えない」と感じることが増えてしまうようです。
イヤイヤ期中のわがままや癇癪に対する対処法
この時期のママが困ってしまう、子供の行動の代表例が、「わがまま」と「癇癪」です。イヤイヤ期に見られるわがままや癇癪に対し、ママはどう対処していったらいいのでしょうか?■わがまま
わがままとは、自分の思うままにすること、しようとすることを言います。イヤイヤ期は、そもそもは「自我の急成長期」のため、それを促進するために、自然と自己主張をする回数が増えます。それに加えて、自分中心的な思考が優勢なので、いわゆる「わがまま」が増えることになります。
■癇癪
癇癪とは、何か気に入らないことがあると、火がついたように感情的に怒る性質のことを言います。現象としては、大声で泣き叫んだり、かみついたり、たたいたり、蹴ったり、物にあたったりなどが挙げられます。道路に寝転がって地団駄を踏む子もいます。一般的には、言葉がまだ自由にならない幼少期によく見られ、3歳を過ぎると減ってきますが、イヤイヤ期のフラストレーションから、癇癪を起こす子もいます。
■ママの向き合い方
イヤイヤ期は、2歳前後に見られる「自我の急成長期」なので、期間限定です。よって、イヤイヤ期の自我成長の過程で見られるわがままや癇癪であれば、基本的に、イヤイヤ期が過ぎれば収まるものです。
大人の世界で言えば、自分の意思を強く押し通そうとするその姿は、「わがまま」とも取れますが、この時期の特徴的な部分ですので、目に余るわがままでなければ、イヤイヤ期の範囲内と受け止め、家庭内のルールに沿って、対応していくのが望ましいです(範囲外のものについては後述します)。
さらには、ママがその子の自我成長を促す働きかけを積極的に取り入れることで、イヤイヤ期中であっても、わがままや癇癪の頻度が収まることがよくあります。たとえば、好奇心に応じた体験を増やす、チャレンジや冒険をさせるなど。それらの経験を通し、「自分でやった」という気持ちが満たされるからです。
しかし、3歳くらいに見られるあまりにひどい癇癪やわがままには、別の原因があることがあります。私はそれを「偽イヤイヤ期」と呼んでいます。
ひどいわがままや癇癪には、しつけの仕切り直しも有効
イヤイヤ期と同じ時期に、ただただひたすらわがままを押し通し、癇癪で落とすという場合、それはイヤイヤ期、つまり、自我発達の過程によるものではなく、単に、「言うことを聞かずにやりたい放題」であることが考えられます。その子にとって、「癇癪」が効果的な道具になってしまっているケースで、自分のわがままを押し通すために、最後は、泣き落としで癇癪を起こしてしまうのです。その子が「癇癪」を使う理由は、それが効果的なツールだと認識しているからです。それまでの経験で、癇癪が、もっとも手っ取り早く自分の意思を叶えるツールになってしまっているため、繰り返し使うようになっています。
もちろん、持って生まれた気性で泣いて訴えることが多いお子さんはいます。その一方で、それまでの環境で、「言うことを聞かなくても、なんとかなる」という認識ができてしまっている場合があります。
たとえば、家庭のルールがあいまいで、子供が泣くとママが結果的に折れてしまうような形でやってきた場合(例:泣いたらお菓子をくれた、おもちゃを買ってくれた、など)、その子はルールや約束を守るということを知らずにきているために、3歳の段階で、ママが、「ダメだよ」「〇〇しなさい」と注意したりすると、癇癪を起こしてしまうというパターンです。
イヤイヤ期であっても、いえ、イヤイヤ期だからこそ、「ここまではOK」だけど、「ここからはダメだよ」という線をはっきりすることが大事で、もしこの時期、「ま、イヤイヤ期だから仕方ないか」と、わがままを全て受け入れてしまうような対応をしてしまうと、4歳を過ぎて、ママが困り、小学校に入って、その子が困ることになります。
「自分の意見を持つこと」「自分の意思を外に出すこと」はとても大事な自我成長のプロセスですが、それと「単なるわがまま」を混同しないように過ごすことが、この時期の大切なしつけのポイントになります。
【関連記事】