航空券

「プレミアムエコノミー」とは?エコノミークラスとの違いと特徴

飛行機の国際線で、エコノミークラスとビジネスクラスの中間にあたる搭乗クラスが「プレミアムエコノミー」クラスです。エコノミークラスとのサービスや料金の差、導入する主な航空会社、アップグレードの方法などを紹介します。

シカマ アキ

執筆者:シカマ アキ

飛行機の旅ガイド

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エールフランス航空の「プレミアム」クラス。最新「エアバスA350」の座席 ©Air France

飛行機に乗る時に「エコノミークラスでは体力的にしんどい」「ビジネスクラスは高すぎる」という方々に「プレミアムエコノミー」クラスがおすすめです。
<目次>

近年増加の「プレミアムエコノミー」とは?

「プレミアムエコノミー」とは、エコノミークラスとビジネスクラスの中間にあたる座席のクラス。近年、プレミアムエコノミーを導入する航空会社が増えています。国内エアラインでは、ANAとJALが、国際線の主要路線で導入しています。

空港や機内で「プチ贅沢」な気分も味わえる、プレミアムエコノミー。実際のところエコノミークラスとどのくらい違うのでしょうか。両クラスをよく利用する飛行機の旅ガイドが、プレミアムエコノミーの主なサービスや導入する航空会社、上手にアップグレードする方法まで分かりやすく紹介します。

プレミアムエコノミーの主なサービスは?

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フィンエアーの「プレミアムエコノミー」の座席。エコノミークラスよりシートピッチが広くて快適

プレミアムエコノミーは、一言でいうと「エコノミー以上ビジネス未満」です。航空会社によってサービス内容は異なりますが、一般的に、エコノミークラスに「プラスα」のサービスがあると考えてください。以下が一例です。(ラウンジ利用などない航空会社もあります)
  • 優先チェックイン、優先搭乗、手荷物の優先受け取り
  • ウェルカムドリンクの提供
  • エコノミークラスの機内食に加えたデザートなどの提供
  • 機内で使える歯ブラシなどのアメニティの提供
  • 空港でラウンジが利用できる
  • 受託手荷物の優遇、など
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フィンエアー、プレミアムエコノミーの機内食(1回目)は料理が皿で提供されるのが、紙箱で提供のエコノミークラスとの大きな違い

航空会社によって、同じプレミアムエコノミーでもサービス内容が違います。

例えば、空港にある航空会社ラウンジは、利用できる航空会社とそうでない航空会社があります。また、歯ブラシなどのアメニティも、立派なポーチに入って提供する航空会社もあれば、そのまま渡されることもあります。
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シンガポール航空は機内食でプレミアムエコノミー専用メニューを用意する

機内食は、プレミアムエコノミーだと、エコノミークラスと同じ内容にスイーツなどの「追加」があったり、事前予約できたりする航空会社も。エコノミークラスに少し「差」をつける部分と、乗るたびに感じます。

エコノミークラスとの大きな違いは「座席」

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エミレーツ航空「プレミアムエコノミー」の座席。エアバスA380とボーイング777で導入している

エコノミークラスとの大きく違うのは「座席」です。これはどの航空会社でも共通事項となっています。

エミレーツ航空のプレミアムエコノミーは、ビジネスクラスとエコノミークラスの間のクラスで、エコノミークラスの前方に位置しています。 シートピッチ(座席前の足元の広さ)は約102cmでエコノミークラスより約20cm広く、クッション付きレッグレストで快適です。
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エールフランス航空の「プレミアム」クラス。広々とした座席に機内食などがエコノミークラスと異なり、アメニティポーチも提供 ©Air France

エールフランス航空の場合、シートピッチが94~97cm、リクライニング角は最大124度で、エコノミークラスより40%も広い空間が特徴。ヘッドレスト、フットレスト、レッグレストなどを自分好みで調節でき、快適なフライトを過ごすことができます。
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ニュージーランド航空のプレミアムエコノミー。エコノミークラスよりリクライニング角度1.5倍で広々くつろげる ©Air New Zealand

また、ニュージーランド航空では、エコノミークラスよりもゆとりあるスペースと、シートはエコノミークラスより1.5倍のリクライニング角度、アームレストやレッグレストを備えています。

その他、手荷物の優遇、豊富なワインリストなど。さらに、アオテアのセラピー効果の高いハラケケシードオイル&マヌカウォーター ハンド&ボディクリームが入ったアメニティー・キットを提供しています。
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ANAの国際線、プレミアムエコノミー。座席が広いだけでなくモニターも大きい

日系航空会社では、ANAの場合、エコノミークラスのシートピッチ(足元のスペース)が約79cmなのに対し、プレミアムエコノミーは約97cmと約18cmの差があります。

JALの最新「A350-1000」のプレミアムエコノミーは、「大型パーテーション」「シートピッチ最大約107cm」「電動リクライニング」「16インチの4K大画面モニター」「全席でPC電源とUSB Type-A、Type-C」「大型テーブル」「カクテルトレイ」などが特徴。東京(羽田)-ニューヨーク線、ロンドン線など続々導入しています。

プレミアムエコノミーを導入する主な航空会社

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デルタ航空「デルタ・プレミアムセレクト」のゆとりある座席。専用機内食や機内アメニティなども提供 ©Delta

プレミアムエコノミーは、国内および海外の航空会社で、主にビジネス利用が多い中長距離路線で多く導入されています。日本発着の主な航空会社で、プレミアムエコノミーを設定する航空会社は以下の通りです。

【国内エアライン】
ANA、JAL

【海外エアライン】
デルタ航空「デルタ・プレミアムセレクト」、アメリカン航空、ユナイテッド航空「ユナイテッドプラス」、エアカナダ、ブリティッシュエアウェイズ「ワールド・トラベラー・プラス」、エールフランス航空「プレミアム」、ルフトハンザ航空、フィンエアー、スカンジナビア航空、ITAエアウェイズ、エミレーツ航空、カンタス航空、ニュージーランド航空、シンガポール航空、キャセイパシフィック航空など

プレミアムエコノミー、気になる「運賃」は?

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キャセイパシフィック航空のプレミアムエコノミー。2024年以降、新シートに順次リニューアルしている ©Cathay Pacific

エコノミークラスよりも快適なプレミアムエコノミー。その運賃はというと、例えば、ヨーロッパやアメリカへの路線で利用するとなると、時期によるものの、おおよそ往復40~50万円ほどします。エコノミークラスだと通常20~30万円ほどなので、決して安くはありません。しかし、時には往復100万円近くすることもあるビジネスクラスと比べると安く、比較的余裕があるビジネスパーソンや中高年層を中心に人気です。

運賃が高めな一方で、航空会社の「マイル」がよく貯まるのも、メリットの1つ。特に最近、エコノミークラスの安い運賃だと、マイルがほんのわずかしか貯まらないところ、プレミアムエコノミーにすると倍以上貯まることも。マイルを貯めている人、飛行機によく乗る人にとっては、航空券のお得度が少し上がります。

また、ANAやJALのセール時、プレミアムエコノミーがお得に買えることも。国際線のセール情報は、逐一チェックしましょう。

マイルや直前アップグレード、当日空席があれば追加料金でも

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エア・カナダのプレミアムエコノミー。直前アップグレードで座れるチャンスも ©Air Canada

エコノミークラスの運賃で購入し、プレミアムエコノミーにアップグレードする方法がいくつかあります。

まず、「マイルを使ってのアップグレード」です。これは多くの航空会社が、自社のマイル会員向けによく導入するパターン。ただ、セールなどの格安運賃だと「アップグレード不可」も多いので、くれぐれも注意してください。

近年よく見られるのが、事前の「入札」です。入札の希望金額を登録し、もし入札できれば、登録済みのクレジットカードから入札額が引き落とされる仕組み。ただこれもやや割高で、安い入札額だと競り落とせないのが難点です。
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キャセイパシフィック航空、プレミアムエコノミーの座席(旧タイプ) 大きめの枕やヘッドフォンなどがエコノミークラスと異なる

最もおすすめなのが「直前アップグレード」です。これは、出発前のオンライン・チェックイン開始と同時に、プレミアムエコノミーの座席を追加購入すること。もし、プレミアムエコノミーに空席があれば、マイルを使うアップグレードや入札などよりも安くアップグレードできる方法です。ただし、空席がない(満席)また残りわずかである場合は指定できず、事前に確保できないリスクがあります。

さらに、「出発当日の空港でアップグレード購入」ができることも。JALでは、空港のカウンターで、プレミアムエコノミーに空席がある場合のみ、有料でのアップグレードを販売しています。その料金は日本円では、欧米など長距離線で5万円、東南アジアで2万5000円など。なお、マイルなどは購入時の運賃に基づきます。

国際線、特に長時間で乗る便で、「プレミアムエコノミー」はエコノミークラスより快適度が格段に上がります。できる限りお得に座る方法を、ぜひ探ってみてください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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