お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

31歳貯金130万。自己資金がない中住宅を購入しました(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、自己資金がない中、マイホームを購入し、住宅購入後の教育資金づくりや老後準備が心配な31歳の主婦の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 コストがアップしても30年返済、全期間固定を

まずは住宅ローンについて。返済期間で悩まれているとのことですが、まだ間に合えば30年返済にすべきです。

現時点で35年返済を考えられているようですが、そうなると完済がご主人73歳のとき。世帯収入が公的年金だけだとすると、その半分以上が住宅ローンで消えます。これは家計的にきびしい。しかも、夫婦とも勤務先は60歳定年で再雇用はなく、退職金制度もないとのこと。定年までに、老後資金をかなり用意しなくてはなりません。

返済期間が30年であれば、完済がご主人68歳のとき。それでもきびしいことに変わりはありません。可能ならできるだけ完済を60歳に近い年齢にしたいところですが、そうなると、現状で返済が大きな負担となります。30年が現実的ということになります。

しかも、全期間固定を選択してほしいと思います。変動は低金利がメリットですが、金利上昇のリスクをともないます。それでも、低金利のうちに繰上返済を行って元金を減らしたり、まとまった額の貯蓄や退職金で対応できる場合もあります。しかし、あったさんの場合、現状ではそれらの対策が確実に取れるとは言いがたく、結果的に金利上昇が相当なダメージになりかねません。

借り入れを検討している金融機関でも、フラット35も扱っているはずです。金利が仮に1.4%だとすると、月の支払いは14万6000円ほど。変動金利で35年返済の場合よりも、月額2万円返済額がアップしますが、家計を見直せば、返済しながら貯蓄も十分できると考えています。
 

アドバイス2 4000万円超を貯められる能力がある

では、具体的にどう見直していけばいいでしょうか。

まず、下のお子さんが認可保育園に移ることで、保育料が現状より5万円も下がります。これが大きい。ただ、家計を見直せば、それ以外にも貯蓄に回せるはず。あったさんの家計支出の特徴は「おしなべて高い」ということ。逆に言えば、どの支出費目も金額を下げる余地があります。今後、格安スマホに切り替えるとのことですが、そういった努力は他の費目でもできるはずです。

まず保険。ご主人の死亡保障は現在、収入保障保険だけで約2600万円。これで必要最小限の保障は確保していますので、終身保険の必要性は低いことになります。払済保険にしましょう。一方、あったさんの死亡保障は、収入から考えて1500万円はほしいところ。保険期間15年の定期保険で保険料は月額1500円ほど。加入と同時に、200万円の終身保険も同様に払済保険にします。

あと、夫婦とも医療保険が割高。現在の年齢、入院の短期化を考慮すれば、ともに入院給付は日額5000円、60日型で十分と考えます。高額療養費制度も利用できますし、不足分は貯蓄から捻出すると考える方が合理的。これで医療保険の保険料も半分程度に抑えられますから、先の終身保険と合わせて、月1万4000円前後、保険料コストが下がります。

他の支出費目については、世帯によって見直しやすいものが異なるでしょうが、食費、趣味娯楽費や雑費、家族の小遣いなどから、トータルで月3万~4万円下げることを目標に。住宅コストは、住宅ローンを30年返済、全期間固定にした場合、今よりアップ額は月3万円程度。対して、保険も含めた家計の見直しと保育料のダウンで、月10万円は今より貯蓄ペースが上がりますから、相殺してプラス7万円。

現在、毎月の収支は7万5000円の黒字なので、毎月の貯蓄額は14万5000円となり、ボーナスからは20万円貯蓄できるとすると、年間で計194万円。ご主人が定年までの22年間で4268万円となり、手持ち資金と合わせて約4400万円。つまりは、このくらいは貯められる潜在能力が、あったさんの家計にはあるということです。
 

アドバイス3 夫婦とも65歳まで働くことは不可欠

教育資金については、学資保険がわりの終身保険もありますので、先の貯蓄4400万円から1400万円を充てるとすると、残りは3000万円。そこから、住宅ローンの繰上返済として、下のお子さんが大学入学となる16年後に1000万円を充てると、返済期間が6年7カ月短縮され、支払利息は160万円軽減されます。定年となる22年後でも、返済期間は6年短縮、支払利息の軽減額は70万円軽減。どちらにしても、60歳でほぼ完済となります。一度に1000万円を返済するのではなく、手数料にもよりますが、数回に分けて行ってもいいと思います。

繰上返済後、手元に残る資金は2000万円。これが老後資金になりますが、今後発生する住宅のリフォームや修繕にかかる費用(少なくとも500万円)、さらには長生きリスクを考え合わせると、夫婦とも65歳までは働いて収入を得ることは不可欠です。元気であればそれ以上、70歳までは働くという気持ちが必要と考えます。

また、家計はリスクをできるだけ抑え、貯蓄=現金を増やしていくことが優先されますので、投資に関してはiDeCo5000円、つみたてNISA1万円だけにとどめ、あとは貯蓄商品にシフトしていく方が賢明でしょう。
 

相談者「あった」さんから寄せられた感想

住宅ローンを固定にすることは全く考えていなかったため全期間固定やフラット35の金利を金融機関に確認してみようと思います。また保険も具体的にどう見直せば良いのか悩んでいなかったのでアドバイスいただいた通りに契約を変更しようと思います。貯金がないながらも、これからの努力次第で家の修繕費や教育費、老後資金が貯められるとわかり安心できました。アドバイスいただいた通りに家計の見直しを頑張ります。ありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武

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