福田さんは杭工事の負担を減らすため家をあえて南側に寄せて、地盤の悪い北側を庭としてここから眺望を楽しむことができるプランを提案したのです。
三角屋根の黒い家
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| 東南側の外観。南側の壁に階段室が張り出している。2階にバルコニーが見える。 |
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| 北東側の外観。手前は広めの駐車スペース。 |
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| 室内からそのまま前庭にデッキテラスが伸びる。テラスの奥行きは約2m、長さは約7m。 |
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| 敷地の西側から前庭を見る。 |
最寄りの駅から車で約5分ほど坂道を入って行くと、やがて眺めの良い丘の頂部の住宅地に出ます。道を挟んだ南側に公園の緑が迫る一画に、三角の屋根と黒い壁が印象的な2階建ての家が建っています。
東側にコンクリートの駐車場スペースが設けられ、フェンスの向うに芝生の敷かれた前庭が広がっています。庭の先には約5mの段差があることで、前の隣家は屋根だけが頭を出しています。
眺めの良い大窓のリビング
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| リビングから前庭を眺める。デッキテラスがリビングから段差無く伸びる。 |
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| キッチンから東側を見る。床はクリのフローリング。奥様が選ばれた水浅葱(ミズアサギ)色の壁の内側は玄関収納。 |
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| テラスからリビングを見る。背後に玄関と階段が控える。 |
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| リビングから西側のキッチンを見る。北側に向かってダイニングがL字形に張り出している。 |
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| キッチンとダイニングのカウンターが一体となって伸びる。カウンターの幅は80cm。 |
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| 床の段差がキッチンとダイニングを分ける。壁際の収納カウンターとキッチンカウンターの収納はOさんのお父様による労作。 |
玄関から入ると大きな窓越しに、前庭の芝生の緑とその先に広がる丘の眺めが目に飛び込んできます。夜には遠く調布飛行場の明かりも見えるそうです。
この家のリビングは約12帖というゆったりした大空間になっています。室内には構造の要である柱と梁によるフレームが表しになっていて、庭に向かって設けられた大開口はこの構造によって実現できたのです。このフレームは特別な金物を使わない工法で組み立てられています。
北側には庭を囲うようにダイニングがL字形に張り出しています。キッチンカウンターはダイニングテーブルと一体になるようにデザインされていて、床に段差を設けることで高さを揃えています。ダイニングの奥にも眺めの良い縦長の窓が設けられていて、居ながらにして外の眺めを楽しみながら食事をとることができるにおです。
また、2階の寝室のベッドスペースの床を一段上げることにより、ダイニングの窓も高い位置に設けることができました。1階の特徴的な壁の表情は、杉板にワトコオイルを塗装して拭き取り仕上げにして出来たものです。
自由に使いこなせる2階の個室
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| 2階の窓から入り込む外光が階段室を明るく照らす。 |
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| 階段を上がって2階の西側を見る。柱と梁、屋根の小屋組が表しになっている。北側に眺望を楽しむための出窓が設けられている。出窓の奥行きは45cm。 |
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| 2階の東側を見る。東側にバルコニー、南側の階段室の上に窓が設けられている。 |
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| ロフトから個室を見下ろす。床はクリのフローリング。 |
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| 物干し場を兼ねた2階東側のバルコニー。広さは約2.5帖。 |
2階は約14帖の広々としたワンルームになっています。天井は小屋組の連続する梁が東西に伸びて、開放的な雰囲気に溢れています。ここは生活に合わせてどのようにも使える多目的な個室なのです。南北に一対で設けられた窓からは、北側に広がるパノラマの眺望と、南側の公園の豊かな緑を満喫できます。
東側はの掃き出し窓を開けると、物干し場を兼ねた小さなバルコニーになっていて、ここからの眺めも抜群です。
また、1階と2階の柱と梁のフレームと天井の小屋組は、特別な金物を使わない工法で組み立てられています。
コンパクトでコージーな寝室
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| 勾配天井の寝室。壁はラーチ合板。 |
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| 造り付けの収納の上部には、屋根の小屋組の端が表れている。 |
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| 置き型の陶器の洗面台。上の鏡張りの収納は三面鏡になる。 |
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| 約1.5帖のユニットのバスルーム。北側の滑り出し窓は換気と採光を兼ねる。 |
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| バスルームの上にある約1.5帖のロフト。天井までの高さは約1.4m。 |
2階の北西側は約5.5帖のコージーな寝室です。1階のダイニングと同じく、母屋からL字形に張り出しています。勾配天井と収納部分に表しになった母屋の屋根の小屋梁が、山小屋のような落着いた雰囲気をつくりだしています。
寝室の収納と壁を隔てて、母屋の西側に洗面室と脱衣室とバスルームがあります。その上はロフトになっていて梯子で上がります。ロフトの天井まで屋根を支える梁が続いています。
「日本の民家のように、木造らしく構造が見える家」を望まれた建て主のOさん。内側に柱と梁を表しにして1階と2階に2つのおおらかな空間を造り出し、その上に小屋組による大きな三角屋根を載せることで、ローコストでありながら豊かで快適な家が生まれたのです。
| [日野の住宅] | |
| 所在地: | 東京都日野市 |
| 構造・規模: | 木造 地上2階 |
| 竣工年月: | 2017年12月 |
| 敷地面積: | 199.10m2 |
| 建築面積: | 53.30m2 |
| 延床面積: | 94.55m2 |
| 設計・監理: | フクダ アーキテクツ/福田 創 |
| 構造設計: | H&A構造研究所/東條正道 |
福田 創[フクダ アーキテクツ]プロフィール
福田さんは大学卒業後に坂倉準三の流れを汲む設計事務所で、佐藤さんは大学卒業後に構造設計の事務所で経験を積み、2009年に共同でフクダ アーキテクツをスタート。これまでに戸建て住宅を中心に、意欲的な活動を続けています。「肩のこらない、カジュアルで快適な空間を創る。」をモットーに、これまでに数多くの戸建て住宅を設計してきました。| フクダ アーキテクツ |
| Tel.045-488-3366 |
| http://fukuda-archi.com/ |
福田 創 [Fukuda Sou] 佐藤紀子[Sato Noriko] |




















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