実験的ともいえる戸建てコーポラティブハウス
「スロービレッジ こうぽらの森」の試み



ウィークエンドホームズ社が「ネットコンペで街づくり」をやると聞いて取材に行ってきました。建築家たちの知力を結集して、環境共生型の共有の庭=コモンスペースを持つ戸建てコーポラティブハウスを千葉の大規模住宅地の中につくるという試み「スロービレッジ こうぽらの森」、ちょっと注目のコンペです。



東急不動産と、コーポラティブハウスでは実績のある事業コーディネーター=ランドブレイン社、それにネットコンペのウィークエンドホームズ社が組んで始めたという戸建てコーポラティブハウスとは何か? それは大げさにいえば、街づくりの未来を示唆するちょっと冒険的な試みといえそう。
その舞台となるのは千葉市の「あすみが丘東」(緑区)地区。広大な昭和の森公園に隣接する全戸数2200戸の大規模住宅地「あすみが丘東」の一画に、わずか5世帯とはいえまったく一から計画される「スロービレッジ こうぽらの森」が誕生するわけですね。

その基本的なコンセプトは、コーポラティブハウスの発想を平地に持ち込み、自然環境を取り込んだ共有の庭と5つの戸建て住宅をコンペ形式で建ててしまおうというもの。もちろんコンペというのは建築家によるアイデアの公募ということです。いま行われているのはこのうちの共有の庭、つまりコモンスペースと呼ばれる場所をどうデザインするかというコンペ。これはウィークエンドホームズ社のサイトで「投票審査開催中」になっており、なかなかおもしろいプランが集まってきています。

ウィークエンドホームズ社のコマーシャル事業部 企画開発ユニットのリーダー・天児実さんは言います。
「コモンスペースの設計コンペは第1段階なんです。まずは5つの住宅をつなぐ環境共生型の庭をどうプランニングするか、それによってこの『スロービレッジ こうぽらの森』の理念を伝えていこうと。一戸一戸の設計デザインはこのコモンスペースに調和するかたちで、建て主さんの要望を実現していくことになります。基本はコーポラティブハウスですから、外観はまわりとの調和を図りながら第1段階のコンペを勝ち抜いた建築家がデザインし、インテリアは建て主さんの意見を入れながら一戸一戸デザインしていくということですね」
つまり最初に全体構成のルールを住まい手たちが決め、そのルールに沿った形で設計コンペを実施。その当選者が次に一戸一戸をデザインしてわけです。

その意味ではウィークエンドホームズ社が細田工務店と組んでやった杉並の建て売り住宅のコンペとはまったく違う。ここはあくまでもコーポラティブハウス、家の中のデザインは住まい手が好きにできるんですねー。
「このコモンスペースを先に決めることで、それに賛同した住まい手たちが集まってくる。そこにはお互いの生き方を尊重しあうような関係が生まれると思います」(コマーシャル事業部 企画開発ユニット・清水朝子さん)というのもわかります。

ここで集まったプランの一部をご紹介しましょう。



「森の筏」



まずは「森の筏」 と題されたJ.M.M.建築計画事務所(坂倉英二・前野武彦・宗高仁泰) のプラン。各住戸に大きな木を1本ずつ配し、それが各住戸から張り出した長いバルコニーとつなっがていくというプランです。家にいながらにしてちょっと隠れ家的な愉しみを味わえそうです。まさに家そのものが自然環境を体内に取り込もうとしているような面白さがあります。





「ピーターラビットの住む街」



続いては「ピーターラビットの住む街」 と題された各住戸に菜園付きのプラン。アイム設計(大岩義充) が示すコモンスペースの要素は次のとおりです。

(1)土手や小さな丘をつくる
(2)井戸を設け小川ビオトープを実現
(3)木陰をあちこちに設け夏でも涼しい工夫
(4)トマトやキャベツをつくれるよう各戸にクラインガルデンを設ける
(5)ローズアーチなどで仕切られた垣根のない庭の実現

なるほど、ピーターラビットがここへ逃げ込んでも十分暮らしていけそうな環境バツグンのプランですね。外溝工事費は750万円と提示されています。