雑誌の付録は難しくても、ニンテンドーラボはできた
手作りでコントローラーを作るという不思議なゲーム。でも、本当に自分で作れる……?
ガイドは早速「Nintendo Labo Toy-Con 01: Variety Kit」を5歳の娘と一緒に作ることにしました。しかし、娘は保育園でも周りのお子さんと比べて決して器用とは言えません。というか、おそらく不器用な方じゃないかなと思います。ひらがなとかたかなは読めるようになったものの、複雑な文章を理解するのはなかなか難しく、雑誌の付録などの説明書なんてお父さんが読んであげても理解するのは難しい……という感じです。
もっとも、工作そのものは大好きで、普段からダンボールを使って虹色のピアノなどを自分なりに作っています。というわけで、基本的にはお父さんが作ってあげて、「ここを曲げて」とか、簡単にできるところだけ具体的に指示してあげて、作ってる感を出してあげようと、そう思っていました。
そう思っていたんですが、おどろくべきことに、試しにチュートリアルのJoy-Conカバー、続いて1番簡単なリモコンカーを作ってみると、なんとほとんど娘が1人でできてしまいました。娘はニコニコして「できたー!」と高らかに宣言していますが、お父さんは心の中で「(娘が……あの娘が……!!)」とちょっと泣きそうです。できあがって、シールやペンでデコしたリモコンカーを母親に見せる時「これ、娘ちゃんが1人で作ったんだよ」と報告すると、目を丸くして思わず「うそっ」という母親。娘はニコニコで「うそじゃないでしょー」と言っています。
というわけで、雑誌の付録は作れない娘はNintendo Laboのリモコンカーは作れたのか、お話したいと思います。
普通の付録はどうやって作るか
雑誌の付録ももちろん楽しいんですが、難しいこともあります
1番の難題は、とにかく指示が難しいことだと思います。一般的な付録というのは、紙の上に「やまおり」や「たにおり」、「のり」や「きりとり」なんて言葉がちりばめられ、さらに番号や記号がいっぱいふってあります。それを見て、ここはやまおり、ここはたにおり、ここは切り取って1番と1番をのりで張り付けて、★マークのツメを別の場所にある★マークの穴に入れて……というようなことをやっていくわけです。これがもう10か所、20か所、あるいはもっと印刷してあって、説明書を頼りにそれを解読していく、というような作業になります。これはほとんど娘には不可能なんですね。というか、ちょっと複雑なものになるとお父さんだってボチボチつらい作業だったりします。
指示の書いていないダンボール
ダンボールには、驚くほどに字が書いてありません
Nintendo Laboはダンボールだけではなく、きちんとゲームソフトが付いてきます。このゲームソフトをニンテンドースイッチで起動すると、なんとデジタルで説明書を観ることができます。今、便宜的に説明書を観るという言い方をしましたが、それはやや正確ではないかもしれません。
なにしろ、この説明書は3DCGで描かれたダンボールを、好きな角度でみながら進めることができる、インタラクティブなものなのです。説明書というよりは、動画……というより、ゲームのチュートリアルという印象です。そして、ゲームのチュートリアルは、紙の説明書よりも圧倒的に分かりやすくできるのです。
読まなくてもできる
いかに分かりやすく説明するかは、ゲーム業界が必死になって研究してきたことです
文章での指示もでますが、娘に見せてみると、ほとんど文章を読まずに映像だけを頼りに進めます。段ボールのパーツをシートからはずすと、バリバリバリと気持ちよく外れます。細かいことですが、ダンボールのミシン目もとても細かくて非常にやりやすいです。これも、ものによっては粗いものがあって、娘にはそれが難しいことがあるんですね。
こっちをこっちを折って、あっちを折って、こっちの詰めをあっちの穴に………。画面の中のダンボールが実際に折れ曲がっているのを見て、娘も同じ形になるように折り目をつけていきます。分かりにくいところは何度でも「すすむ」と「もどる」を押すと映像が行ったり来たりします。拡大したり、角度を変えたり、形をよく見て、ダンボールと挌闘です。
Nintendo Laboのもう1つ素晴らしいところは、はさみも、のりも、テープも、一切使わないところでしょうか。ものによっては輪ゴムなどの細かいパーツを使うものもありますが、それらを含めてキットの中に入っているものだけで作り上げることができます。なにより、のりやはさみがないことも、難易度を格段に下げてくれます。はさみやのりは間違えた時に戻りにくい作業ですからね。
自分で作ったリモコンカーが……動いた!
ただ動かすだけじゃなく、プログラミングに近いことをしてオリジナルのゲームやおもちゃを作ってしまうこともできちゃいます(イラスト 橋本モチチ)
組みあがったリモコンカーを目の前に「シールはったりお絵かきしたりしていいよ」と告げると、娘はシールを張りまくり、ペンでぬりぬりして、一生懸命デコします。娘がニコニコ顔で「できたー!」というと、お父さんがおもむろにニンテンドースイッチ本体を握ります。ポチっとな。リモコンカーがニンテンドースイッチの操作で動き出します。そうです、リモコンカーはタイヤの代わりにリモコンの振動を動力として、実際に操縦することができるのです。
娘は目をキラキラさせて「やらせて! やらせて! やらせてー!」と飛びつきます。それはそうです。娘からしたら、ダンボールで作った車は、手で持って「ブブーン」とやるものです。それが、お父さんがニンテンドースイッチ本体をもって何かすると、右に左に前へと自由自在に動くじゃないですか。完成品を買ってきたおもちゃじゃありません、今自分が作ったリモコンカーが動いているのです。
Nintendo Laboは非常に奥の深いゲームで、発想力次第で色んなことができてしまいます。すでにピアノを使って多彩な演奏をしたり、ガレージ機能を使ってオリジナルのおもちゃを発明する人がいっぱいでてきています。しかし、もう1つ注目していただきたいのは、工作に対する敷居を見事に下げていることです。ゲーム機の特性を最大限に生かして、できるだけ簡単でありつつ、特別なものが作れる工作を実現しています。
お子さんと一緒に作ろうかな、でも難しいかな、と思っているお父さんやお母さんは、ぜひ思い切って遊んでみて欲しいと思います。考えているよりもずっとずっと簡単に、そして特別なものができると思います。複雑に思える工作があまりに簡単にできるので、Nintendo Laboを作っていると、自分がまるで工作がうまくなったかのような勘違いをさせてくれます。その勘違いは、子どもの意欲をかきたててくれる魔法のようなものです。
その魔法にかかった子どもが、どんどんチャレンジしていく姿が大変に嬉しいということ。そして「できた!」の声に一緒になって喜んでしまうということは、ゲームガイドというよりは1人の父親として、お伝えしておきたいと思います。
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