アドバイス1:家計のカギは趣味娯楽費を削ることができるかどうか
現状、貯蓄が「0円」ですが、一刻も早くここから脱すること。何はともあれ、これを最優先に今後を考える必要があります。家計を見る限り、趣味娯楽費以外は問題はありません。逆に言えば、趣味娯楽費にかかってしまうため、他を削らざるを得ないということ。食費2万円はまさにその結果の金額です。ボーナスの一部を貯蓄に回すこともできそうですが、今年は入院費用等で無理だとしても、これまで貯蓄できずにきたわけですから、来年以降できる保証はありません。では、どうすれば貯蓄ができるか。2年後に現在の職場で正社員に登用される可能性も踏まえて、現実的な方法として考えられるのは以下のどちらか。趣味娯楽費を削るか、あるいは転職して収入アップを目指すか、です。
前者は、家計の見直しなので、転職よりは手軽に着手できます。ただし、趣味娯楽費については「妥協できない」とのこと。しかし、他の支出を削るとしても、今より家賃の低いところに引っ越す以外は無理があります。ただ、その引っ越し費用もありません。そうなると「妥協する」しかないことになります。
ネイルとスポーツ、どちらかをしばらくお休みする。あるいは、交際費を少なくとも3分の1程度に抑えてみる。どう削るかはご本人の判断ですが、結果的に1万5,000円に抑え、2万円は貯蓄に回してほしいと思います。
アドバイス2:ボーナスからもその半分は貯蓄に回す
またボーナスについても、少なくとも半分は貯蓄したい。現状、保険料の年払いや固定資産税の支払いなど、年間で発生する固定支出はないわけですから、決して無理ではないはず。使えるのは年間15万円と枠を決め、その範囲で収めるよう自身を律するしかありません。これで、貯蓄額は年間40万円ほど。3年で120万円となりますから、最初の目標には達したと言えるでしょう。さらに、正社員に登用されて収入が1.5倍になれば、貯蓄率も上がります。仮にアップの大部分を貯蓄に回すことができれば、現状のままの支出でも、年間100万円の貯蓄が十分可能。怖いのは、アップをゆとりと感じて支出も増えてしまうこと。そこはしっかり意識してください。
アドバイス3:勤務を継続しながら転職の道を探りたい
もうひとつの貯蓄方法が、先に述べました転職です。収入アップと同時に正社員での就職が条件となります。メリットは、2年間を待たずに、収入アップが望めることです。しかし、今の勤務先での正社員登用後の収入(今の1.5倍)と同等かそれ以上の収入を得るような正社員の募集があり、実際に採用されるかどうか。そこは当然、不確定です。一方、正社員に登用されるのは毎年3名ほどとのこと。詳しい実態はわかりませんが、契約社員200人全員が希望しての数字なら、相当な狭き門です。結論として、FPの立場としては転職を目指すべきだと考えます。正社員登用が確実でない中、節約だけでは貯蓄を増やすことに限界があるからです。ただし、今の職場は辞めずに転職活動をするということが条件となります。2年間、転職で希望するような結果が得られない可能性もありますから、正社員登用の道を残しておくということです。転職のための行動は早い方がいいでしょう。今は全体に売り手市場の様相ですが、これが今後2年、3年続くとは限りません。
また、保険による保障が現在まったくありません。死亡保障は不要ですが、医療保障は確保したいところです。現状でもっとも怖いのは、大きな病気やケガです。医療保険なら入院5,000円、終身保障終身払いで、特約をつけなければ保険料は月額2000円を切るはず。あるいは同等の保障の共済でもいいでしょう。
相談者「ゆう」さんから寄せられた感想
アドバイスいただき、大変勉強になりました。自分でも収入に見合わない支出とはうすうす感じてはいたものの妥協しないでおりました。でも妥協しないと貯まるわけがないので、思い切ってスポーツもネイルもやめました。積立定期預金も再開し、2万円は毎月貯める仕組みにしたところです。転職はすぐには難しくても探しながら仕事を続けていきます。アドバイスいただきよかったです!先生ありがとうございました。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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