成り立ちは違っても、同じ意味で使われている字がある
成り立ちは違っても同じ意味の字がある
A:苑はオンやソノ、園はエン、ソノと読んで女の子の名前に使われます。霊園とか墓苑とかいう熟語もあるのでイメージを心配される人もいますが、支障ありません。漢字を組み合わせて別の意味を作ったのが熟語であり、熟語から漢字の意味を考えると間違えます。
本来「苑」は人が腰を下ろして休む場所であり、「園」は歩いて散歩する場所のことですが、実際は区別されずに同じ意味で使われています。
このように、成り立ちの違う別の字が同じ意味で使われているという例は他にもあります。たとえば「姫」は上流の女性のことであり、「媛」は生活にゆとりのある女性のことですが、とくに区別されてはいません。
また道(大通り)と路(近道)、そして樹(栽培された植物)と木(自然界の木)などもそうで、今ではまとめて道路、樹木などと呼ばれ、意味は区別されていません。
成り立ちは似ていても、違う意味の字もある
逆に、成り立ち(元の絵)がほとんど同じなのに、意味の違う別の字になっているという例もたくさんあります。わかりやすいのは、同じ水の流れを描いた絵が「水」「川」の2つの字になった、というようなものです。他には次のような例があります。- ヒシャクの絵……斗(量の単位)と升(量の単位)の字
- 踊る人の絵……舞(おどる)と無(ない)の字
- 短冊の絵……刊(書物を作る)と栞(しおり)の字
- 矢の絵……矢(や)と寅(とら)の字
- ショベルの絵……以(用いる)と台(積む)の字
- 容器と蓋の絵……吉(充実する)と古(保存する)の字
- 細かい枝の絵……末(すえ)と未(完成しない)の字
- 湧き水の絵……泉(いずみ)と原(はらっぱ)の字
- 高い建物の絵……高(たかい)と京(みやこ)の字
- 太陽と草木の絵……春(はる)と萌(草木が伸びる)の字
成り立ちが同じで、意味も同じ字もある
ついでながら、漢字のなかには、成り立ち(元の絵)が同じで、意味も同じというものもあります。それならわざわざ2つの字を作らなくてもいいのに、と思いたくなります。名前によく使われる字としては、たとえば「花」と「華」がそうです。また「凜」と「凛」もそうで、どちらも緊張することをあらわします。1つの文字が、偶然2つの文字に分かれた例もある
さらにややこしいのは、1つの字が途中で2つの字に分かれたという例もかなりあるのです。たとえば能は始めはクマを表す字だったのですが、のちに能(できる)と熊(クマ)の字に分かれました。他には、
- 説(ほどく)の字……説(わかるように言う)と悦(喜ぶ)の字
- 昭(てらす)の字……昭(あきらか)と照(てる)の字
- 然(もえる)の字……然(そのようになる)と燃(もえる)の字
- 著(くっつく)の字……著(書く)と着(つく)の字
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