日本の映画賞ってどんなのがあるの?
外国映画に負けない興行成績を叩きだすようになった日本映画。ゆえに日本の映画賞も盛り上がりを見せており、スター俳優たちが授賞式の檀上に上がることが多いのです。ニュースにもなりますからみなさんもご存じでしょう。
その年でいちばん多くの賞を受賞した映画は何かを知ることは、映画を見るきっかけにもなりますよね。また映画賞それぞれの特色もあり、日本の映画賞はおもしろいんです!
今回は、個性豊かな日本の映画賞をご紹介しましょう。
テレビ放映もあり!一番有名な「日本アカデミー賞」
日本アカデミー賞はテレビ放映もされるので、いちばんメジャーな賞だと言えますね。1978年からスタート。審査は日本アカデミー賞協会会員(国内の映画関係者)による投票です。第41回の授賞式は、2018年3月2日に開催。作品賞、主演男優賞・女優賞、助演男優賞・女優賞など各賞の優秀賞に選ばれた作品・俳優・製作スタッフの中から、最優秀賞が決定します。
授賞式の放映は2018年3月2日21時より(日本テレビ系)でオンエア。司会は西田敏行さんと前年度の主演女優賞受賞の宮沢りえさん。
2018年の最優秀賞候補作品は『君の膵臓をたべたい』『三度目の殺人』『関ヶ原』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『花戦さ』。う~ん、私が選ぶのなら『三度目の殺人』ですね。
日本アカデミー賞公式サイト
前年度の主演男優・女優が司会を担当する「ブルーリボン賞」
ブルーリボン賞は、東京のスポーツ新聞、スポーツ報知・デイリースポーツ・サンケイスポーツ・東京中日スポーツ・東京スポーツ・スポーツニッポン・日刊スポーツの映画担当記者による「東京映画記者会」が選ぶ、1950年から始まった映画賞です。授賞式の司会は、前年度の主演男優・女優受賞者が務めることになっており、毎回ハプニングが起こったり、司会がグダグタでわけわかんなくなったりと、笑いに包まれることでも有名です。
2017年は大泉洋さんのトークショー的な雰囲気に包まれ、2018年は松山ケンイチさんと大竹しのぶさんの珍司会ぶりが楽しい授賞式に。テレビ放映がないのが残念!
2017年度の受賞作は作品賞『あゝ、荒野』。主演男優賞受賞は阿部サダヲさん(『彼女がその名を知らない鳥たち』)、主演女優賞は新垣結衣さん(『ミックス。』)。来年はこの二人が司会を務めます。
映画賞レースのトップを切る!「報知映画賞」
報知新聞社主催の映画賞で、1976年に設立された映画賞。映画賞レースの中でも早い時期に発表されます。2017年度の授賞式は、2017年12月に行われました。映画ファンや関係者にとっては、報知映画賞の結果が、その後、次々発表される映画賞の目安になっているといえるかもしれません。
ちなみに2017年度は作品賞『あゝ、荒野』。主演男優賞は菅田将暉(『あゝ、荒野』ほか)、主演女優賞は蒼井優(『彼女がその名を知らない鳥たち』)などが受賞しました。2017年度の菅田くんと蒼井さんの映画賞総なめの勢いは、報知映画賞から始まったのです!
報知映画賞
戦前からある歴史ある重要賞「毎日映画コンクール」
毎日映画コンクールの歴史は、戦前1935年にさかのぼります。第二次世界大戦中に一時期中断していましたが、1946年、一級の娯楽である映画で、日本復興の後押しをしようと再スタートしました。映画評論家、映画記者などによる第一次選考の投票。この上位の票数の作品や俳優たちを第二次選考で協議をして賞が確定します。
また「TSUTAYA × Filmarks映画ファン賞」という部門もあり、これは映画ファンの一般投票で「日本映画部門」「外国映画部門」が決定します。ファン賞があるのはうれしいですね!
今年は作品賞『花筐/HANAGATAMI』、男優主演賞は菅田将暉(『あゝ、荒野』)、女優主演賞は長澤まさみ(『散歩する侵略者』)が受賞しました。
毎日映画コンクール
日本で一番古い映画賞!「キネマ旬報ベストテン」
キネマ旬報ベストテンのスタートは1924年! 日本の映画賞でいちばん古い歴史ある映画賞です。最初は外国語映画のみを選出していましたが、1926年から日本映画も選出するようになりました。選ぶのは、映画評論家、新聞記者、映画雑誌編集者などから選抜した120人前後の選考委員。それぞれが各部門の10本の映画を選び、1位:10点など数値化して合計点で受賞を決定します。
決してヒット作が受賞するとは限らず、キネマ旬報ベストテンだけが他の賞と結果が異なることも。しかし、キネマ旬報本誌で各自の選考理由や得点の集計を掲載するので、透明性はいちばんありますね。
2017年度の作品賞は『夜空はいつでも最高密度の青色だ』、主演男優賞は菅田将暉(『あゝ、荒野』ほか)、主演女優賞は蒼井優(『彼女がその名を知らない鳥たち』)。
キネマ旬報ベストテン
映画好きが集まった手作り感が人気「ヨコハマ映画祭」
1980年に映画好きのサラリーマン3名が始めた「ヨコハマ映画祭」は、年を重ねるごとに大きく成長。映画ファンによる授賞式ですから、映画製作者や俳優さんたちはうれしいですよね。
2017年度のベストテン1位は『夜空はいつでも最高密度の青色だ』、主演男優賞は池松壮亮(『夜空はいつでも最高密度の青色だ』)、主演女優賞は蒼井優(『彼女がその名を知らない鳥たち』)。
授賞式では賞の授与だけでなく、受賞作の上映もあるのが特徴。まさに映画ファンのための祭典なのです。
ヨコハマ映画祭
群馬発信のちょっとツウな映画賞「高崎映画祭」
群馬県高崎市にて毎年3月下旬~4月に開催される高崎映画祭(2018年は3月25日開催)。高崎映画祭選考委員が選出した映画の各賞授賞式とは別に、受賞作品の上映や受賞作品の予告編上映会などのイベントも期間中にあります。受賞作品には高崎映画祭ならではの個性的な作品が集まり、ちょっとツウな映画祭。映画関係者の注目も集め、映画祭の授賞式には多数の監督や俳優が訪れることで有名。
2017年度は『エルネスト』、最優秀男優賞は仲代達也(『海辺のリア』)、最優秀女優賞は満島ひかり(『海辺の生と死』)が選ばれました。
高崎映画祭
映画ファンの温もりが感じられる「TAMA映画賞」
“「明日への元気を与えてくれる、夢を見させてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰します”というのがTAMA映画賞のポリシー。2009年からスタートし、TAMA映画フォーラム実行委員(市民ボランティア)より選ばれます。この映画賞もファンが選ぶ映画賞に近いかもしれません。
各映画賞の中でも先陣を切って発表された第9回TAMA映画賞。最優秀作品賞は『散歩する侵略者』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』、最優秀男優賞は浅野忠信(『幼な子われらに生まれ』など)、池松壮亮(『夜空はいつでも最高密度の青色だ』など)、最優秀女優賞は満島ひかり(『海辺の生と死』など)長澤まさみ(『散歩する侵略者』など)。
個人賞の受賞は1つの作品ではなく、その年に出演した作品での受賞。つまり「活躍賞」みたいな趣があり、それもまた俳優さんはうれしいですね。
TAMA映画賞
女優だけが受賞できる「山路ふみ子映画賞」
個人名が冠になっているこの映画賞。山路ふみ子さんは女優として活躍した方で2004年に他界されるまで映画界を支えた方です。私財で山路ふみ子財団を設立し、1977年に映画賞をスタートさせました。
賞は7部門ありますが、俳優部門は女優のみに与えられるのが特徴です。毎年、授賞式には女優たちが出席し、授賞式で客席のファンからの質問に答えるコーナーも。映画ファンに人気のある授賞式です。
2017年は映画賞を三島有紀子監督が受賞(『幼な子われらに生まれ』)。女優賞は田中麗奈(『幼な子われらに生まれ』)、新人女優賞は石橋静河(『夜空はいつでも最高密度の青色だ』)
山路ふみ子映画賞
北野武が好き放題に選出する「東京スポーツ映画大賞」
東京スポーツの客員編集長でもある北野武さんが審査委員長になり選出する映画賞。1992年から始まり、2017年で26回を迎えました。歴史ある映画賞なのですが、基本的に北野武独断と偏見の賞でもあるので、北野監督作品がある年は、必然的に北野作品が受賞をしているようです。
また過去に主演男優賞がゴジラだったり、主演女優賞が草薙素子(『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』のヒロイン)だったり、真面目な選出の中に「?」という受賞者がまざるという北野武さんらしいギャグもあり。
ちなみに2017年は作品賞『アウトレイジ 最終章』。男優賞はほとんど『アウトレイジ 最終章』の男優たちがまとめて受賞しています。主演女優賞は長澤まさみ(『散歩する侵略者』)。
北野武さんの受賞者いじりが見られる、笑いがいっぱいの楽しい授賞式でもあります。
東京スポーツ映画大賞
日本の映画賞は、にぎやかで楽しく、またその年に誰が活躍したのか、どの映画が映画界で人気があったのかが、受賞作を見るとよくわかります。
2017年は男優では菅田将暉さん、女優では蒼井優さんと長澤まさみさんが大健闘! 2018年は誰が活躍するのか? また、大ヒット作だからといって受賞するってことではないんですよね。そこが映画賞の面白さ!
これからはハリウッドのアカデミー賞だけでなく、日本の映画賞にも注目してください。授賞式に足をは運べばスター俳優たちを生で見られてお得感もありますよ。