「ネットゲーム依存」が疾病指定へ。海外では死亡例も
ゲーム依存は怖い病気。依存度をチェックして予防することが大切です
では、ゲーム依存症とはどのような病気なのでしょうか。ゲーム依存症の症状やチェック方法、原因と治療法、予防法までをご紹介していきます。
<目次>
ゲーム依存症の症状とは
WHOによると、ゲーム依存症の具体的な症状は、「ゲームをする衝動が止められない」「ゲームを最優先する」「健康を損なうなどの問題が起きてもゲームを続ける」「個人や家族、社会、学習、仕事などに重大な問題が生じる」などが特徴です。症状が12ヶ月以上続いた場合、ゲーム依存症と診断されます。ただし進行が早い幼少期の場合は、前述の症状に該当し重症であれば、もっと短い期間でもゲーム依存症と診断されます。
不登校になった挙句退学してしまったり、会社をやめてしまったり、子育てを放棄したり、引きこもりになるなど、社会生活や人間関係などに重大な支障が起きる点が最大の問題とされています。それだけでなく、健康に重大な被害が及び、エコノミークラス症候群や脳溢血などで死亡する例も起きています。
インターネット依存症チェック項目で依存度を調べる
スマホが普及しすぐにネットへアクセスできる環境に
「気がつくと思っていたより長い時間インターネットをしていることがありますか」
「インターネットをする時間を増やすために、家庭での仕事や役割をおろそかにすることがありますか」
「配偶者や友人と過ごすよりも、インターネットを選ぶことがありますか」
「インターネットをしている時間が長くて、学校の成績や学業に支障をきたすことがありますか」
などの20問の質問に、「全くない」「まれにある」「ときどきある」「よくある」「いつもある」で回答し、点数によって判断するというものです。ぜひ自分や子供のインターネット依存度をチェックしておくといいでしょう。
ネットゲーム依存症で死亡例も
受診する医療機関は、ネットゲーム・ネット依存外来のある専門の病院になります。そのような病院では、診察の上、カウンセリングやデイケア、入院などを通して治療をしていきます。韓国では2002年、インターネットカフェで24歳の男性が86時間不眠不休でオンラインゲームをやり続け、死亡しました。ネットゲームをやり続けた結果死亡する例は世界中で報告されています。
これらの事件を問題視し、2011年より韓国では、午前0時から6時まで16歳未満がオンラインゲームにアクセスできない法律「青少年夜間ゲームシャットダウン制」を制定しました。日本では利用環境が違うのでこのような方法は難しいものの、世界中で悩んでいる人が多いことがわかります。
また韓国では、ネット依存傾向が見られる子どもには保護者同伴でカウセリングを実施し、必要に応じて外来・入院治療も行われています。Kスケールで高リスク群や潜在リスク群に入った中高生を対象に、11泊12日のキャンプ「レスキュースクール」も開催されています。
いずれの場合も、ネットゲームを利用する時間を段階的に減らしていき、ゲーム以外のアウトドアやスポーツなどによって心身の健康を取り戻そうとするものが多いようです。
ネットゲーム依存症になる原因とは
単純に結果が出やすいゲームが心のよりどころに
また、ゲームの中には協力プレイが必要なものや、ランキングによって上位を競うものも数多くあります。深夜でもプレイしているプレイヤーも多く、利用に拍車がかかりやすくなります。スマホゲームにも、毎日利用し続けたり、一定時間で利用するとアイテムがもらえるなどのメリットがあるものが多くあり、利用したい気持ちが強くなります。
ほかのプレイヤーが気になったり、使命感を感じてしまったり、中毒性の高い仕組みによって利用し続けてしまい、中毒化していくというわけです。
利用のコントロールが大切
ゲーム依存症は怖い病気ですが、ゲームには悪いことばかりではありません。たとえば、「e-スポーツ」をご存知でしょうか。エレクトロニック・スポーツの略で、コンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技としてとらえる際にこのように呼ばれます。e-スポーツはスポーツの祭典であるアジア大会の正式競技にも選ばれています。普及が進むe-スポーツ。衆議院議員選挙とコラボするイベントなども。写真は「eスポーツ体験イベント~日本の未来を決める~」
ゲームはこのように活躍の場が広がっており、注目の分野でもあります。しかしこれまで述べてきたように、ゲーム依存症になってしまうと社会生活や人間関係に重大な支障が出たり、健康に悪影響が出たりします。
適切な利用をできるように、コントロールできるようになることが重要です。そのためには、ゲームを一日に利用する時間、利用していい場所、課金などについてあらかじめルールを決めておき、親子で意識して守るようにすることが大切です。