あなたが今すぐつみたてNISAをやるべき理由
日本の株式市場は今、大きな変貌を遂げようとしています。そして、若い人ほど、いまこそつみたてNISAを始めるべきだと思います。今回はその理由について考えてみたいと思います。まず、ご覧いただきたいのが下記のシミュレーションです。1978年に米国の大卒の22歳の若者が、毎月3万円を主要500社平均株価指数(S&P500)に連動する投信に掛け続けたとするシミュレーション結果です。配当金は全て同ファンドに再投資し、それが子株、孫株と順次生み続ける莫大な複利効果により、退職を迎えた2017年末に資産が2億1,292万円(税引き前)となったことを示しています。投資金額累計は1,440万円ですが、配当とその再投資による効果が極めて大きく、勿論、最終的にこの間25倍となった指数の値上がりの恩恵も受けます。
アメリカでは世界に先駆けて1980年頃から投資教育や「貯蓄から投資」を促してきました。結果として国民を大いに富ませることに成功しています。一方、企業は株式市場の信用を損ねないようガラス張りの監視に晒され、またROEや株主還元のプレッシャーを受けることで、株価上昇に繋がるのです。
米国、ドイツの周回遅れで続く日本
ここで先進国の家計部門の金融資産に占める株式への比率を比較してみましょう。1980年代より改革を進めてきた米国が最も進んでおり、8,750兆円もある金融資産のうち36%が株式、さらに11%ある投資信託や31%ある保険、年金資産の多くも株式型のファンドによって運用されています。一方、日本の金融資産は1,800兆円ですが、うち株式は10%、投信は5%とごく僅かな構成です。実はこの構成比率とそっくりだったのが1990年時点のドイツでした。しかしドイツは株式持ち合い解消などの改革を1990年代に進め、今ではユーロ圏の構成を見る限り、かなり米国に近付いており、その結果ドイツDAX指数も長期的に最高値更新続きとなっています。ユーロ圏の金融資産は日本より大きい3,100兆円です。
現在、日本の個人投資家による持ち株比率は過去最低となる17%となっていますが、これは「株は投機」という印象を長年野放しにしてきた政府と、平成の時代に全く上がらなかった相場の結果です。しかし今は底です。細かく見ると、バブル世代が高値回復で売りを出す一方、NISA等を通じて新しい若い世代が株を買い始めています。
いまこそつみたてNISAを始めよう!
日本では、ようやく安倍政権になって矢継ぎ早にコーポレートガバナンス改革とスチュワードシップコードが採用され、企業統治が強化されてきました。同時に麻生財務相と森金融庁長官の下で、真に投資家の資産形成に役立たない投信への批判が強まり、分配金ばかり出して複利運用の機会を減らす投信から大幅な資金流出が起きています。こうした金融商品は投資家の為でなく、販売会社の利益にしかならないからです。金融機関だけが儲かる商品の排除に本気で取り組んだのは森長官が最初と思います。日本も米国が重視してきた点に気づいたのです。積立NISAも開始されていますが、運用対象は投資家の長期的な資産形成に役立つとの審査をクリアした投信だけとなっています。ここから先は年号が変わり、正しい政策の下で株購入の世代交代が進みます。そして公正クリーンな株式市場と、ROE・株主還元の高まり、さらに真に投資家の為の金融商品の登場によって、1990年代にドイツが辿ったように、米国化していくところです。もうインサイダーや仕手筋、怪しい噂話の闊歩するマイナー市場でなく、長期の資産形成を国民全体が目指すメジャー市場となって行きます。
コーポレートガバナンスコード、スチュワードシップコード、NISA、確定拠出型年金などは全てその方向に沿った正しい政策です。そうすると1800兆円の金融資産のうちから数百兆円が株式市場に流れ、買うから上がる、騰がるからまた買う、という米国と同じ好循環に入って行きます。こうして米国の国民総資産は1京円を超えてきたのであって、欧州、日本もそれに遅れて気づいてきたところだと思います。
日本も新時代にこのようになって行きます。そうすれば日経平均の5万円や10万円程度など、米国株の25倍に比べれば、無理なくイメージできるでしょう。勿論これは超長期の話であり、米国ダウも40ドル台から2万5千ドルへ500倍超となった過去90年弱の間に、幾度も暴落相場がありました。それでも超長期にこうしたイメージをしっかりと持ち、上の平均的な米国人投資家の例のように、億単位の資産を形成して行って欲しいと思います。市場が健全に機能すれば、何もアマゾン株で数百倍を当てなくとも、平均的な指数連動投信を買うだけで良かったのです。
このように考えていくと、今年開始されたつみたてNISAは株式投資を始めるのに最適だと思います。
参考:日本株通信
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